Hypetrak 第2弾シングル『凍京』リリース記念 VaVa x TAPPEI スペシャル対談 ── “ワクワク”のその先へ

プライベートでも親交のある二人がお互いの印象やクリエーションについて語る初対談が実現

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『Hypebeast(ハイプビースト)』の展開する「ミュージシャンをメディアでサポートする」音楽ディストリビューション・レーベルブランド「Hypetrak(ハイプトラック)」のディストリビューション作品第2弾として、日本のヒップホップシーンで活躍するクリエイティブ集団 CreativeDrugStore(クリエイティブドラッグストア)のメンバーであり、音楽レーベル「SUMMIT(サミット)」所属のプロデューサー/ラッパー VaVa(ヴァヴァ)の最新シングル『凍京』が、本日7月3日(水)にリリースされた。

今年5月に発表された第1弾シングル『Rolling Stone』に引き続き「Hypetrak」から登場する本楽曲のリリースを記念し、ファッションブランドとの協業や個展の開催など、従来の彫り師の枠を超え、タトゥーアーティストとして活躍するTAPPEI(タッペイ)との対談を敢行。以前からプライベートで親交のあるという二人の初対談は、VaVa本人の希望により実現した。VaVaのスタジオ兼自宅で行われた今回の対談では、出会いのきっかけからお互いのクリエーションへの共感、さらには共通の趣味であるゲームといった同世代らしいトピックが飛び出し、今後のコラボレーションを予感させる展開に。ニューシングル『凍京』のライナーノーツ代わりに、リラックス感あふれる二人の対話を楽しんでいただきたい。


Hypebeast:今回の対談は、VaVaさんがTAPPEIさんを指名する形で実現しましたが、その理由からお伺いできればと思います。

VaVa(以下、V):普段は音楽シーンの人としか話す機会が無いので、こういった企画では思い切って別業界の人と対談したかったんです。その中で、彫り師の方々はどういったクリエーションに影響を受けて、どういったものをインスピレーションにしているのか、前々から聞いてみたくて。特に、TAPPEIさんには自分の全てのタトゥーをお願いしているように、圧倒的な存在の彫り師だから対談のオファーをさせていただきました。

TAPPEI(以下、T):そんなこと言ってもらえるなんてありがたいですし、僕も音楽シーンの人と話す機会がないので今日は楽しみにしていました。ただ、改めて対談となると小っ恥ずかしいし、めちゃくちゃ緊張しますね(笑)。

V:無理を言ってしまってすいません(笑)。

お二人の出会いのきっかけは?

T:CreativeDrugStoreのメンバーとして結構前から知ってはいて、共通の友人が大勢いたしイベントやパーティーでも何回も顔を合わせていたので、数年前から会釈だけするような関係でした。初めてちゃんと会ったと言えるのは、僕がVaVaくんにタトゥーを入れた時ですよね?

V:そうです!初めてタトゥーを入れる時にTAPPEIさんにお願いしたくて、共通の友人の1人だったBIMに紹介してもらいました。2~3年前だったと思います。

なぜTAPPEIさんだったのでしょうか?

V:作風が好きだったし、ラッパーとしての憧れの1人でもあるオオスミさん(*オオスミタケシ。ヒップホップユニット SHAKKAZOMBIEのメンバーで、BIG-Oの名でも活躍)のタトゥーを担当していることを知っていたからですね。

2~3年前というと、VaVaさんが楽曲 “tAtu”をリリースされた頃ですよね。

V:タトゥーは全然入れるつもりがなかったんですけど、“楽曲は一度リリースしたら二度と消えない”というのがタトゥーと同じだと思って“tAtu”を制作したら、どうしても入れたくなってしまって(笑)。

T:だいぶ珍しいパターンですよ(笑)。

V:ただ、やっぱりファーストタトゥーは悩みに悩みましたね。自分らしさを考え抜いた結果、鳥山明さんのデザインがめっちゃ好きだったので、小学生の頃にやり込んで一番思い出があるゲームの『テリーのワンダーランド』の原画を参考に、「キラーマシーンを入れてもらってもいいですか?」と無理難題を押し付けてしまって……。

T:僕も『テリーのワンダーランド』は死ぬほどやり込んでいたので、提案された時は嬉しかったですよ。

V:ならよかった……。その日のシャワーはめっちゃ覚えていて、「すげー!こいつと死ぬまで一緒か!よろしく!」みたいになりましたね(笑)。

以降、VaVaさんのタトゥーは全てTAPPEIさんが担当されていると。

T:全部で5つを彫らせていただきました。タトゥーのイメージが無かったので、ファーストを頼んでくれた時は嬉しかったですね。それから段々とペースが上がっている気持ちが分かります(笑)。

V:もっと入れたいと思っちゃうんですよね。

T:入れ始めてから1年で5個は早い方ですよ。

V:こんなに楽しいとは知りませんでしたね。“自分の彫ったデザインが一生残る”というのは、どういう気持ちなんですか?

T:「タトゥーは一生消えない」と言われますけど、死んでしまったら消えて無くなってしまうんですよね。例えば絵画は、転売や投資目的で購入する人がいるじゃないですか。でも、タトゥーには転売も投資も無くて純粋に体に絵を入れたいという気持ちだけ。でも、死んだら残らない。それが好きだし、楽曲との大きな違いで憧れにも繋がっています。

V:だからこそタトゥーには入れる人の好みが出て、見るだけで話さなくても人柄や人格が分かりますよね。

VaVaさんは6つ目のタトゥーのデザイン案は浮かんでいるのでしょうか?

V:ゲームや漫画にインスピレーションを受けた自分らしいデザインは、パッと浮かびはするんですけど、ありすぎて悩んでいます。

T:入れる順番もありますもんね。

V:まさに……。でも、とりあえずこれまでと同じようなテイストだとは思います。

VaVaさんに限らず、TAPPEIさんからデザインの提案をされることは?

T:ありがたいことに、お客様は僕のオリジナルの作品をそのまま入れたいと希望する方が多いのでほとんどがお任せの方ですが、友達とかはどっちのパターンもありますよ。絵画は常に体にあるものではないので飾る場所を変えられますが、タトゥーは体に直接残るものだから、 VaVaくんのように趣味を集める感覚でタトゥーを入れるのも好きですね。ただ、僕の作品が好きでタトゥーとして入れたいと言ってくださるのであればとても嬉しいですし、彫らせていただきます。

VaVaさんはTAPPEIさんの作品に、TAPPEIさんはVaVaさんの楽曲に、どのような印象をお持ちですか?

V:売っているビートを買ってラップを乗せる ── いわゆるタイプビートだと僕は個性をあまり感じられず、音楽理論が成立していなくても、どれだけ楽曲が歪でも、自分で制作している“アクのあるアーティスト”が好きなんですけど、同じような感覚をTAPPEIさんに抱いています。タッチが独特で唯一無二だし、それまでタトゥーに抱いていた印象を変えてくれたのもTAPPEIさんのおかげです。

T:似たような感覚を僕も持っているんですよ。VaVaくんの楽曲は、典型的な悪ぶったようなラッパーのリリックではなく寄り添ってくれる感じがするし、例えばライブで“( ・ω・) -Aschii Art-”を披露するときにバック映像でアスキーアートが流れるのも、ギャグじゃなくて本当に好きなのが伝わってくる。僕の作品はラフに見られるんですけど、僕が本当に良いと思っているから彫ったり描いたりしているわけで、この感覚が聴いていると共感するんですよ。

V:確かに、「これ、バズるだろ!」とか思って楽曲制作することはないですね。

T:今日、初めて自宅にお邪魔したんですけど、この部屋を見ても“テンションが上がるから買う”が先行して、おしゃれやファッションで小物を置いていないのが伝わってきますよ。

V:僕からしたら、ファッションで置く考えが浮かぶことがすごいですけどね(笑)。

まさに趣味を凝縮したような部屋ですが、TAPPEIさんの作品も飾られていますね。

T:4コマ漫画も描いているんですが、昨年その展示を開いた際にVaVaくんが来て買ってくれたんですよ。

V:オリジナルのガチャガチャが設置されているのもアツくて、TAPPEIくんの仕掛ける“ワクワク”に自分もフィールすることが多くて。やっぱり、“ワクワク”したいんですよ。

T:お互いが作品に“ワクワク”を求めているから、引き合ったのかもしれませんね。

では、対談だからこそお互いに改めて聞いてみたいことはありますか?

V:前々から聞いてみたいことが1つあって、人生で初めてタトゥーを彫った時の感情は覚えていますか?

T:高校の友達に彫らせてもらったんですけど、その前に自分にめちゃくちゃ彫っていたので意外と緊張はしなかったですし、他人だと痛みが分からないから不思議な感覚でしたね。

V:それは何歳の時ですか?

T:18歳ですね。

V:18……。

T:高校を卒業すればタトゥーがOKになるので、卒業式の日に彫ってもらいに行って、その時に彫り師さんが使っている機材とかを全て調べて、それを参考に自分で買って練習し始めましたね。僕が聞きたいことは、なんでヒップホップを好きになって、アーティストになろうと思ったかですね。

V:ある日、iPod shuffleを買ったら兄貴に楽曲を入れられてて、中身を確認したら全部ハードなスタイルのラップで。最初は全然刺さらなかったんですけど、次第にカッコ良さに気付くことができて、聴いているときだけ自分が強く感じれるスーパーサイヤ人状態みたいなのがかっこいいと思って。そこで自分はHIPHOPに救われました。そこから自分で作りたくなったんですよ。それで、tofubeatsさんがHARDOFF(ハードオフ)で1000円以内で買ったレコードからサンプリングしてビートを作る映像を観たら、「こんなサクサクとビートって作れるものなの!?」と思ったので、速攻バイトして秋葉原のSofmap(ソフマップ)に中古のパソコンを買いに行きましたね。

T:ちなみに、なんのバイトをしていたんですか?

V:スポーツジムのインストラクターとか引っ越しですね。コンビニも弁当屋もやったことありますよ。

T:パソコンを手に入れたのは何歳の時?

V:高校1~2年生の時で、一緒にレコーディングマイクも買ってラップを録ったものの自分には向いていないと思い、ラップは他の人たちに任せてビートメイクに専念することにしたんです。それから大学1年生になった時、同じクラスの友達から「お前と合いそうなやつがいる」って紹介されたのがBIMでした。BIMは1つ年下なので当時高校3年生で、「高校生の間に楽曲を作ってみたい」と言われたから、僕の部屋にBIMとin-dが初めて来てレコーディングしたんですよ。

T:そうだったんですね。全然話は変わるんですけど、僕らが高校生の時に出会っていたらどうなっていたと思います?

V:自分、本当に人見知りだし、めっちゃ静かでしたよ(笑)。

T:僕もイケてるグループではなかったし、なんならイケてるやつらが嫌いなグループだったんで(笑)。年齢は1歳違いますけど、もし高校で一緒のクラスだったら多分めちゃくちゃ仲良くなっていたと思います。

V:世代的にPSPの『モンスターハンター ポータブル 2nd G』を一緒にやってそうですよね。

T:まさに、めちゃくちゃ『モンハン』やってましたよ。

V:やっぱり!一緒に狩りに行って、大タル爆弾を置きたかった(笑)。今のオンラインで同時プレイもいいですけど、実際に友達と会ってゲームしていたのは良い思い出です。

T:他に夢中になれるものが少なかったとはいえ、そういうの抜きにしても楽しかった気がするんですよね。ただ、もともとゲームで酔う体質が最近は酷くなってしまったのもあって、全然ゲームをしなくなってしまいました。漫画なら最近もずっと読んでいて、おすすめとかあります?

V:滅多に漫画を買わないんですけど、僕が好きだったのは諸星大二郎さんの『暗黒神話』ですね。全てがカオスな内容が、自分の暗い度とマッチして(笑)。

T:(iPhoneで調べて)奥行きがありそうな漫画で、僕も好きだと思います!ありがとうございます。

そもそも、今回の対談はVaVaさんの新曲がHypebeastのディストリビューション・レーベルブランド Hypetrakから配信されるということで企画されましたので、TAPPEIさんに聴いていただければと思います。

V:新曲は、冷え切った街やフロアを燃やし尽くすイメージで“凍京(とうきょう)”と名付けました。アートワークは、アール・スウェットシャツ(Earl Sweatshirt)とアルケミスト(the Alchemist)のコラボアルバム『Voir Dire』のジャケットも描いた人にお願いして。「ラッパー ライブでよく聞く調子 / でも聞いてる方がよくない調子」のラインが気に入っています。ただ、自分の目の前で新曲を友達に聴いてもらうって、信じられないくらい恥ずかしいですね……。

T:第一印象は、シンプルにめっちゃカッコいい。夜の感じがするけどダークさは無いというか。ちょっと言語化が難しいですね(笑)。

最後に、もしコラボができるとしたら実現したいことはありますか?

V:自分は音楽的なサポートしかできないので、展示の世界観を音楽で伝えたいと思うことがあれば、ぜひ制作させていただきたいです。

T:本当ですか!?ぜひお願いしたいです!今パッと思ったのは、僕がキャラクターやグラフィックを描いて、VaVa君がテーマ曲を作ったゲームとか面白そうですよね。複雑なゲームではなくて、ガラケー時代のクソゲーのようなクオリティでもいいので(笑)。

V:自分、途中までゲームを作っていたことありますよ。

T:え!なら実現できちゃうかもですね。8bitくらいがカッコいいかも?

V:TAPPEIさんとゲームを作れたら、夢ですよ。実現させましょう!


アーティスト:VaVa, Roland Jones
タイトル:『凍京』
配信日:7月3日(水)

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テキスト
フォトグラファー
Ryusei Sabi
インタビュアー
Riku Ogawa
エディター
Takeshi Kikuchi / Hypebeast
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