これが Levi’s® 本社が所有する最古の1874年製ジーンズの正体だ
“原点にして頂点”とされる「501」の、本当の原点












1874年に作られたとするブルージーンズ“9Rivet”の復刻版を〈Levi’s®(リーバイス®)〉が発売。同時に、このオリジナルがリーバイ・ストラウス社の現在所有する最古の1本であることが改めて明らかとなった。なぜ、〈Levi’s®〉は、1870年代のアーカイブを複数所有するなかで、この“9Rivet”を最古のブルージーンズと結論づけたのであろうか。
〈Levi’s®〉は、いまより150年以上前の1873年からリベット付きジーンズを生産していた(当時はオーヴァーオールズと呼び、1890年以降ロットナンバー「501」が付く)。そして、1870年代につくられた複数の“最古系ジーンズ”には、革パッチがシンチバックの間のセンターに付いていた。この時代の革パッチの多くには1875年3月16日という再特許の日付が記されているのだが、再特許日が書かれていないモデルがあった。その革パッチに他に何が書かれていたかという情報は、経年劣化により読み取れなかったそうだが、再特許日付表記のないモデルはシンチバックの左右の根本をリベットで補強しておらず、合計9つのリベットを持つ1本だった。他の“最古系ジーンズ”は、シンチバックの左右根本にもリベットがあり、合計11つのリベットがあった。
1906年4月18日に起こったサンフランス地震によって、リーバイ・ストラウス社の社屋・工場は倒壊・消失しており、その時の資料やオリジナルのモデルなどは完璧な状態で残ってはいない。しかし、スミソニアン国立アメリカ歴史博物館には、1964年にリーバイ・ストラウス社から寄贈されたという〈Levi’s®〉のリベット付きダック生地のオーヴァーオールがあったという。その革パッチは、シンチバックの間に無傷の状態で存在していたそうだ。そして、アーカイブ室に眠る9つのリベットのモデルと同様に、1875年3月16日という再特許の日付が省略されていたという。1870年代は、デニム生地のオーヴァーオールズだけでなく、ダック生地のオーヴァーオールズも〈Levi’s®〉は生産しており、このダック生地のモデルが、おそらく9つのリベットだったこと、そして革パッチに再特許日の日付が書かれていなかったことから、1875年の再特許以前に生産されたシリーズであると断定。
そして、おそらくスミソニアン国立アメリカ歴史博物館所蔵のダック生地の1本を比較対象としながら、ポケットのステッチの処理方法、生地感、ボタンの種類などまでを緻密に検証した結果、リベットが9つで再特許の日付が革パッチに書かれていないモデルを、1875年以前の最古のブルージーンズと結論づけたに違いない。以下に、〈Levi’s®〉本社が所有する最古の1874年製ジーンズの特徴を記しておくので、“原点にして頂点”とされる「501」の、本当の原点を確認してみてほしい。
Vintage LEVI’S 1874 “9Rivet”
●最大の特徴であるリベット数は9つ(その補強箇所は、両フロントポケットの開口部左右、ウォッチポケットの開口部左右、1つだけあるバックポケットの開口部左右、股下)
●アーキュエイトステッチのついた最初期のモデル
●ボタンやリベットにリーバイスの刻印はない
●ポケットは、右後ろのみ(バックポケットが左右になるのは、1901年頃から)
●刻印のないサスペンダーボタンで穿く(ベルトループがつくのは1922年頃から)
●革パッチは、後ろの中央(シンチバックの間)につく
●ウエスト(W)は、置き寸法で表記されていたとするのが日本のヴィンテージ識者の見解。つまり、W32の個体はW16と表記されていた
●当時1/2綾デニムと1/3綾デニムの展開があり、内側生地の綾目見る限り1/3綾デニムの個体と思われる