ポール・スミスが31年ぶりの Pitti UOMO で自らルックを力説
2025年春夏コレクションを発表するにあたって、ポール・スミスは4,600点を越える数十年分のアーカイヴを掘り起こしたという
〈Paul Smith(ポール スミス)〉が、イタリア・フィレンツェで開催中のメンズプレタポルテ見本市「Pitti Immagine Uomo 106(ピッティ・イマージネ・ウォモ 106)」の初日、2025年春夏コレクションを披露した。今回は、ランウェイ形式ではなく、ポール・スミス(Paul Smith)本人が自ら解説を行うプレゼンテーション形式で発表された。なお〈Paul Smith〉が、ピッティ・ウォモで発表するのは、1993年以来31年ぶり。
会場となったのは、建築家 ジュゼッペ・ポッジ(Giuseppe Poggi)の代表作のひとつであるファヴァール宮。ここの一画を、ポール・スミスはイタリアのカフェの要素を組み込んだ「Bar Paul」に改造した。「私が今ピッティでショーをする理由は、私たちが服のことを忘れているからです。誰もがより大きく、より良く、より高価になろうとしています。私は自分自身にこう思いました。『もう一度プレゼンテーションをしたらどうだろう? 心から服について語る何かをしたらどうだろう? パーソナルなものにしよう』」とポールは語ったという。
今回、ポール・スミスがこだわったのは、各ルックのデザインとスタイルを丁寧に説明することだろう。派手さや仮装大賞に走りがちなファッションを、55年もの間、現役であり続ける英国人デザイナーが、シンプルでさりげないことの素晴らしさを考え方とともに特別に披露した。そうしたからかったこその、プレゼンテーションという展示方法である。「デザイナーであることの喜びは、頭と心の中にアイデアを持ち、それを実現させることです」。
この〈Paul Smith〉2025年春夏コレクションを発表するにあたって、ポール・スミスは4,600点を越える数十年分のアーカイヴを掘り起こしたという。時を越えて着ることのできる英国テイストは、モダンにアレンジしてもなお時を越えることのできる、と言っているようだった。全体を通して、テーラードをベースとしたクラシック&コンテンポラリーなルックをさりげなく崩したスタイルが中心だったが、注目はデニムにもある。〈Lee(リー)〉とのコラボレーションアイテムが登場したのだ。ジーンズだけでなく、カバーオールやウェスタンなども登場し、英国のモダンテイストにアメリカンな味付けがなされていた。