「スター・ウォーズ」の世界観を表現した PARCO 展覧会をレポート
「スター・ウォーズ」に魅せられたアーティストたちの珠玉の作品が並ぶ本展について、キューレーターの『NANZUKA』代表・南塚真史にインタビューを実施










2024年に誕生55周年を迎えた『PARCO(パルコ)』は今年のゴールデンウィークキャンペーンとして、世界的な人気を誇る映画「スター・ウォーズ」を大々的にフィーチャーした“STAR WARS G.W. COLLECTION”を、4月26日(金)~5月12日(日)の期間に全国の『PARCO』16店舗と『サンエー浦添西海岸 PARCO CITY』で開催中だ。本キャンペーンは、〈kolor(カラー)〉や〈beautiful people(ビューティフルピープル)〉など26ブランドが「スター・ウォーズ」をテーマに制作したスペシャルアイテムを販売するほか、「スター・ウォーズ ファントム/メナス(エピソード 1))」初4K上映、展示、ポップアップといった、さまざまなコンテンツを展開している。
そして今回のキャンペーンのメインコンテンツとして、『NANZUKA(ナンヅカ)』がキュレーションを手掛けた「スター・ウォーズ」の大規模なアートプロジェクト “STAR WARS EXHIBITION – PASSION STRENGTH POWER”が東京でスタートした。キービジュアルを手がけた佃弘樹を筆頭に、ジェームス・ジャービス(James Jarvis)、空山基、ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)など、世界各国のアーティスト13名が作品を提供し、さらに、大平龍一が制作した“ダース・ベイダー”や“ミレニアム・ファルコン”の大型立体作品をパブリックアートとして展示。そこで『Hypebeast』では、注目の集まる“STAR WARS EXHIBITION – PASSION STRENGTH POWER”の東京会場へ潜入し、その様子をレポートとしてお届け。さらに、本展のキュレーションを手掛けた『NANZUKA』の代表、南塚真史氏へインタビューを行い、開催までの経緯や「スター・ウォーズ」とアートの関係性など、今回のエキシビジョンを楽しむためのポイントを訊いた。
“STAR WARS EXHIBITION – PASSION STRENGTH POWER”の東京会場は、『渋谷PARCO』の4Fに位置する『PARCO MUSEUM TOKYO』であり、こちらでは日ごろからアートのみならずデザインやファッションなど独自の企画が展開されている。そして今回の展覧会では「スター・ウォーズ」シリーズに登場するさまざまなキャラクターを、各アーティストたちがそれぞれのフィルターで表現した作品が展示され、会場自体も映画の世界観を反映させたダークな空間に。また、開催を記念したアイテムの販売ブースまでもが用意され、コアなファンのみならず「スター・ウォーズ」初心者の人でも楽しめる展覧会となっている。
Shinji Nanzuka(NANZUKA Director)
Hypebeast:まずは開催おめでとうございます! 本展の実現にいたるまでのストーリーから教えていただけますか。
3年前(2021年)に、今回と同じチームで、“Mickey Mouse Now and Future”という展覧会をやったのですが、その時からディズニー・ジャパンの担当者に、次は「スター・ウォーズ」でやりたいとオファーをしていました。それから紆余曲折を経て、今回“STAR WARS
EXHIBITION – PASSION STRENGTH POWER”が実現しました。
そもそも「スター・ウォーズ」はお好きだったということでしょうか?
当然大好きですね!
「スター・ウォーズ」シリーズとの最初の出合いは覚えていますか?
いつだったかな。ちゃんと記憶しているわけではないのですが、おそらく僕が小学生低学年の時(1980年代中頃)。テレビで(「スター・ウォーズ」が)放送されたのを観たんだと思います。子供の僕にとっては、ものすごい衝撃でした。こんなリアルに宇宙の世界を描いた映画があるんだ、すげー!って感じです(笑)
その時観たのは公開順第1作目の「エピソード4/新たなる希望」のことですよね?
子供だったので正直ストーリーはあまりよく分かっていなかったと思うのですが、とにかく圧倒的なスケールの映像が魅力的でした。宇宙船が飛んで撃ち合いをして、光るソード(*ライトセーバー)なんかも出てきて、もうそれだけで少年にとっては夢のような世界でした。
印象に残ったキャラクターはいましたか?
圧倒的にダース・ベイダーです。真っ黒な姿形で、フォースで相手を投げ飛ばしたりする悪役としての圧倒的なパワーが画面からモワーって伝わってきて、気付けば例のテーマソングと共に虜になっていましたね。
今も変わらずダース・ベイダーは南塚さんを魅了していますか?
大人になってから、スターウォーズがただの勧善懲悪の物語ではなく、ベイダーにも親としての愛情や葛藤があることや、日本の戦国時代の甲冑にデザイン的な影響を受けていることなどを知って、アートの視点から見てもやはり一番魅力的に感じます。ルーカスが黒澤明を師と崇め、「七人の侍」を参考にしている事は有名ですが、ベイダーの存在は「七人の侍」にはない重要なキャラクターだと思います。
今回の展示を見てみても南塚さんのみならず、参加アーティストの皆さんがダークサイドに魅了されているように感じました。
闇の世界に脚光を当てて、その文脈を重要なテーマとして描いている映画は、やはりアーティスト魂に訴えかけるものがあるんだと思います。今回の展覧会でも、アーティストのみんなには、好きなキャラクターを選んでくださいって言いましたが、ベイダーが一番人気でした。
展覧会のタイトルにも登場する“PASSION STRENGTH POWER”を南塚さんはどのように解釈していますか?
スター・ウォーズを象徴する言葉としてセレクトしましたが、シスの教義である、「シス・コード」からの引用で、ダークサイドに由来する言葉です。スター・ウォーズはスペースオペラという設定なので、その世界観をアートを通じて、より多次元的に解釈しようと試みたのが今回の展覧会です。
展示に向けて意識的に取り組んだことがあれば教えてください。
この展覧会の最後のピースとして、展示する空間のデザイン自体もこだわりました。プランは本展にも参加しているYOSHIROTTEN(ヨシロットン)率いる「YAR(ヤール)」にお任せしました。個々の作品は実に多様ですが、阿吽の呼吸と言いますが、アイコンタクト的に目指す展覧会の文脈を理解してくれているので、満額回答の展示プランをデザインしてくれました。ダークルームに怪しげな赤い光が印象的な展示空間を見た時は、僕が想像していた以上の世界が広がっていて、とても嬉しくなりました。
各アーティストの選定はどのようなものでしたか?
まず「スター・ウォーズ」が好きかどうかを、それぞれのアーティストたちに聞きました。この質問は今回のみならず、このような企画展をキュレーションする時には必ず最初にやることなのですが、そうやって制作された作品は、自然といいものになっていくんですよ。例えば今回のキービジュアルを担当した佃弘樹は、かなりの「スター・ウォーズ」マニアで、誰よりも詳しい。だからこそ彼には、この企画を立案する時に、一番最初に声をかけました。
ありがとうございます。最後にHypebeastの読者に向けてメッセージをお願いします。
とにかく会場に足を運んで、自分の目で作品を観てこの空間を体感して欲しいです。体験型のアトラクションだと思って、ぜひ“STAR WARS EXHIBITION – PASSION STRENGTH POWER”に遊びに来てください!
STAR WARS EXHIBITION “PASSION STRENGTH POWER”
【東京】
会期:2024年4月26日(金)〜5月13日(月)
会場:PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1
時間:11:00-21:00
パブリックアート展示場所①:渋谷PARCO 1Fスペイン坂広場「ダース・ベイダー」「ストームトルーパー」
パブリックアート展示場所②:渋谷PARCO 1F店頭(公園通り側)「Millennium Falcon」【大阪】
会期:2024年5月17日(金)〜6月3日(月)
会場:PARCO GALLERY(心斎橋PARCO 14F)
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋1丁目8-3
時間:10:00-20:00*両会場とも入場は閉場の30分前まで(最終日18:00閉場)
入場料:一般 1,000円(税込)、小学生以下無料
主催:PARCO
キュレーション:NANZUKA
協力:ウォルト・ディズニー・ジャパン
デザイン:YAR
展覧会公式サイト