日本に本格進出を果たした LQQK Studio の今とこれから | Interviews

〈LQQK Studio〉のボスであるアレックス・ドンデロに9年ぶりのインタビューを敢行

ファッション 
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2010年に設立された、米ニューヨーク・ブルックリンを拠点とするプリントスタジオ兼5人組のデザイン集団「LQQK Studio(ルックスタジオ)」は、ユニークなグラフィックを落とし込んだウェアのコレクションで国内でも多くのファンがいることはもちろん、2022年9月に閉店した渋谷のクラブ『Contact』で“The Gateway”というパーティを3度開催するなど、東京とニューヨークのカルチャーシーンの交流において大きな役割を担ってきた。

これまで〈N.HOOLYWOOD(N.ハリウッド)〉とのコラボレーションなど国内でも数店舗の数店舗の取り扱いはあり、2023年秋冬コレクションからは池ノ上のセレクトショップ『MIN-NANO(ミンナノ)』の中津川吾郎と祐天寺のアポイント制ショップ『everyone(エブリワン)』の三好良をディレクターとして迎えることで、日本に本格的に進出。ブランド規模を徐々に拡大している。この度、『Hypebeast』では、2024年秋冬シーズンの展示会に際して来日した「LQQK Studio」のファウンダーでありボスのアレックス・ドンデロ(Alex Dondero)に、2015年以来、9年ぶりとなるインタビューを敢行。彼らの今とこれからについて、話を訊いた。


Hypebeast:今回、なぜ来日したのですか。

年に2回、展示会シーズンに来日しています。今は日本のマーケットを強化しているので、ミーティングをしたり、街ゆく人がどういったスタイリングをしていて、どういうモノを求めているのかを実際に見てリサーチすることも目的の1つです。先日街を散策している中で、青山のCOMME Des GARÇONSの目の前の神社(大松稲荷神社)でリノベーションのような作業が行われているのを見かけました。日本の大工仕事をはじめて生で見て、その古典的で丁寧なクラフトマンシップに感銘を受けましたね。

中津川さんや三好さんとの出会い、日本への本格進出のきっかけを教えてください。

少し前から、規模を大きくしたいと思っていたんです。MIN-NANOではLQQK Studioを長年取り扱ってもらっていて、吾郎は僕らのことをよく知っているので、一緒に仕事をするのは自然な流れでした。三好は、生産面での経験が豊富ということで紹介してもらい、知り合いましたね。私たちのことを理解してくれる人ばかりなので、良いチームができたと思っています。

2人が関わりはじめたことにより、環境やチームの動きに変化はありましたか?

これまでは自分ひとりで最初から最後まで作業していたのですが、徐々に人に仕事をお願いすることが増えました。私自身はアーティスティックな姿勢でのみいたいのですが、他人に私と同じような芸術的な決断を求めることはできませんし、誰かが代わりに土壇場でデザインを調整してくれるわけでもありません。だからこそ、(ほかの難しい案件で時間を奪われず)チームで仕事ができるよう、制作プロセスをしっかりと整えています。

2シーズン続けてDOVER STREET MARKET GINZA(以下DSMG)
でポップアップを行っていますが、そのきっかけを教えてください。

吾郎がDSMGと良い関係を築いていたことから、ポップアップを開催することになりました。ニューヨークやロンドンのDOVER STREET MARKETのプロジェクトに参加したこともあります。DSMGはとてもセンスがいいので、日本国内でブランドが進化していく上で重要だと考えていますね。今回のポップアップでは、昨年リリースしたDSMG限定のAddress T-Shirtsの新色を展開しています。

2024年春夏コレクションのデザインプロセスや注目すべきアイテムを教えてください。

今シーズンは、似たような色のバリエーションでたくさん遊びました。キーとなるピースは、スイカ、オレンジ、キウイといったフルーツのグラフィックをプリントしたTシャツですかね。地元のアーティストと協力してこのデザインを作り上げたいと思い、SupremeやSandy Liangらともコラボしているアーティストのサラに、エアブラシでのグラフィックを依頼しました。ローカルの人たちとの共同作業は私たちにとって重要です。サイクリングシャツには、友人がハットに自分の育てたトマトを入れて撮った写真をプリントしました。この写真が友人から送られてきたときに、直感でいいなと思ったんです。コレクション全体を見るとシンプルなものが中心ですが、クレイジーなアイテムも用意しています。両者のバランスが大事で、組み合わせて着やすいように作っています。

Hypebeast Japanが最初にインタビューしてから9年が経っています。長い活動期間の中でコンセプトやデザインの面で変化したことはありますか?

9年前? 本当に!? もちろん長い年月なので、変化はしていますが、コアバリューには忠実であり続けています。プリントショップからはじまっているので、もちろん今でも外注でプリントの仕事を受けています。とはいえ昔は印刷が主軸でしたが、パターンやグラフィックなどのデザインワークに力を入れるようになりました。もちろんニューヨークのコミュニティに貢献することもずっと大事にしています。そして、年を重ねたことで、失敗から学び、少しは賢い決断ができようになったかもしれません。ですが、私たちの興味があることはあまり変わっていないとも思います。

ニューヨークのコミュニティの変化と、注目しているムーブメントについて教えてください。

パンデミックを機に、シーンから去っていく同世代の人々も少なくはなかったですね。これは残念なことですが、最近はまた若い世代のDJやクリエイターが増えています。彼らのおかげで、街には新しくクレイジーなエネルギーが溢れているし、素晴らしいと思います。けれど、まだ彼らはどうにかしてお金を稼がなければならないということに気付いていませんし、もう少しそこにフォーカスしないと燃え尽きてしまうかもしれません。だからこそ、若いエネルギーは本当に刺激的なのかもしれませんが(笑)。

その中で、今Hypebeast Japanの読者に紹介したい人はいますか?

もちろんたくさんいます。“次はこの人”と今決めるのは難しいけれど、先ほど話した通り、ニューヨークでは若くて新しいDJやアーティストが頭角を表してきています。以前は、ニューヨークのDJや友達を日本に連れてきてThe Gatewayというパーティを開催していたので、そのようなことを続けていきたいですね。Contactがなくなってしまったのはとても悲しいです。あそこは私のホームでした。渋谷の翠月も好きだけれど、小さい場所なのでニューヨークからたくさんのDJを呼ぶのは予算的に難しいんです。遊ぶのであれば、25人しか入らないような小箱も大好きですけどね(笑)。

最後に、今後の展望があれば教えてください。

フィジカルでの発信を続けて、よりブランドを発展させていきたいです。ニューヨークからDJやアーティストを日本に連れて来て、現地の人たちと繋げて、コミュニティに貢献したいですね。文化的意義のある活動をすることが本当に重要だと考えています。そして、私たちはチームで動いているから、ひとつのブランドやひとりの人間としてだけではなく、もっと大きなプロジェクトであることをみんなに知ってもらいたいです。

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テキスト
フォトグラファー
Ryota Chiba / Hypebeast
インタビュアー
Reona Kondo
エディター
Rina Sugo
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