Levi’s® のキーマン、ポール・オニールに聞いたLVCの行方

Levi’s® Vintage Clothingや、Levi’s® SKATEBOARDING、Levi’s® Made in Japan コレクションのデザインディレクターを務めるポール・オニールが来日。世界一有名なブランドのキーパーソンに、今後の戦略や日本のレプリカ・ジーンズをどう思うか……などあれこれ話を伺った

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ある時は1960年代のNYミュージシャンにインスパイアされた“Folk City”テーマに、またある時は1950年代の異端ジャズをイメージした“Blue Daze”テーマに。デニムが側にあったカルチャーにスポットを当てながら、ユニークなアートワーク&ルックブックでシーズン・コレクションを展開していた〈Levi’s® Vintage Clothing(リーバイス ビンテージ クロージング)〉が、突如そのような発表をやめた。そのきっかけは、1873年5月20日に誕生した501が150周年を迎えたことだという。ただ、501をここでいったん落ち着かせて……というのは微塵もなく、さらに501の歴史的変遷にフォーカスし、究極のジーンズである501をさらに深いものにしようと考えているそうだ。このプロジェクトのキーパーソンであり、〈Levi’s® Vintage Clothing〉のデザインディレクターであるポール・オニール(Paul O’Neill)に、今後の行方を聞いた。

Levi’s® のキーマン、ポール・オニールに聞いたLVCの行方 Paul O'Neill

Hypebeast:Levi’s® Vintage Clothingの、シーズンテーマがなくなりましたね?

そうなんだ。これからは、501のコレクションを再構築しようと思っている。いまだと店頭には、1890年モデルからラインアップしている。そのほか1933年、1937年、1944年、1947年や1954年のモデルなどたくさんの501があるが、まだ復刻していない年代の501にも細かい特徴が詰まっていたりするので、これらの501のタイム・ライン・コレクションをもっともっと拡充させようと思っている。ウォッシュ加工や色落ち加工モデルも展開していきながらね。とはいえ、501は150周年でひと区切りを迎えたので、501以外も拡充させるよ。たとえば、ロット4やロット3、ロット2のシリーズ。

Hypebeast:まさかそれって、1910年代に廉価版として発売されたというリーバイス333や、(女性用の)リーバイス701の前身とされるリーバイス401でしょうか? どれも幻でほとんどの人が見たことないと思います。

そうだね。この春にリーバイス401をリリースした。401というロットは、1934年にリーバイスが女性用のジーンズとして発売した701以前に、市場をテストするために作られたプロトタイプ。今回の401は、リジッドではなく、ワンウォッシュで、世界限定800本。フレズノ州立大学に通っていたヴィオラ・ロングエーカーという名の女子大生が穿いていた1本の復刻で、スレーキに彼女のオリジナル文字を刻んでいる。ほかのロット3やロット2は、今年(2024年)後半に復刻していく予定だよ。

Hypebeast:1930年代から女性向けのジーンズ。よく考えばリーバイスはとても先駆ですよね。ポールさんが過去のアーカイブを復刻するとき、その手順はどのように行うのでしょうか? 日本のレプリカブランドのそれとはきっと違いますよね?

おおまかに2つのパターンがある。たとえば、今日僕が穿いているダックキャンバスのボトムスは、1873年というとても古いコレクションの復刻。この場合、アーカイブの実物をデザインオフィスに持ち出すことはできない。なので、リーバイスのアーカイブの倉庫に行って、写真を撮ったり、時にはスケッチしたりして隅々まで調べてディテールをチェックする。ファブリックチームとパターンチームも連れていき、生地やボタンなどを含めて、なるべくオリジナルそのままになるように考えるんだ。そして、サンプルを作って、ヤーンの種類からフィット具合をチェック。オリジナルと同じ素材を用意できないときもあるが、なるべく同一になるように努力している。

Hypebeast:そこまで古くないモデルだとどのように復刻するのでしょうか?

1950〜60年代の比較的最近のものなら、実際に購入している。そのオリジナルを工場に送って、工場の職人さんたちと一緒に、どのような素材などが使われているかなどを詳細に調べて情報を集める。ファブリックの分析だけでなく、ステッチのピッチまで測るよ。その上で、こちらもなるべくオリジナルに近い状態を目指しながら復刻している。

Hypebeast:1950〜60年代のパターン図などは残っていないのでしょうか?

ないんだよ。1970年代以降のパターン図なら残っているよ。

Levi’s® のキーマン、ポール・オニールに聞いたLVCの行方 Paul O'Neill

Hypebeast:最近、アメリカの若者のヴィンテージジーンズに興味を持ち始めていると思います。そのことをどう思いますか?

基本的に、アメリカ人はいつでもデニムが好きだよ。ただ、10代20代の若者がヴィンテージのデニムだけでなく、ヴィンテージの服全体に興味を持ち始めたと思うね。20代のヴィンテージディーラーも増えたし、古参のディーラーより彼らの方が活躍しているようにも思う。きっかけは、ヴィンテージTシャツなんだよ。それは、90年代のポケモンTやディズニーTシャツからブームが始まったと思うけど、そのブームが去ってリーバイスに移った。Tシャツに比べて、リーバイスは素晴らしく特別ってことに気づいたんだと思う(笑)。

Hypebeast:その価値を最初に見出したのは日本人な気もしますが、いっぽうでそのリーバイスを模倣したレプリカも溢れているのが日本です。このことをどう思いますか?

僕の出身でもあるアイルランドの小説家、オスカー・ワイルドが良い格言を残していてね。“Imitation is the sincerest form of flattery that mediocrity can pay to greatness.(模倣は、凡庸が偉大に払える最も誠実なお世辞の形である)” 。誰かにそうなりたいと思われることはいいことだと思うし、彼らは真似する対象を完璧だと思ってそれを目指しているわけだから、オリジナルを超えることはないと思うよ。

Levi’s® のキーマン、ポール・オニールに聞いたLVCの行方 Paul O'Neill

ポール・オニール(Paul O’Neill)
Levi’s® Vintage Clothing/Levi’s® メイド・イン・ジャパン コレクションのデザインディレクター

アイルランド・ダブリン出身。イギリスでアート・ファッションを学んだ後、2009年に、当時Levi’s® Vintage Clothingの本拠地であったオランダ・アムステルダムのリーバイ・ストラウスに勤務。Levi’s® Vintage Clothingのデザインを担当しながら、ルックブックのアートディレクションやスタイリングも自ら行っていた。14年にアメリカ・サンフランシスコのリーバイ・ストラウス本社へと異動。2020年から、〈Levi’s®〉コレクションのデザインディレクターに就任。ヴィンテージレコードのレコードコレクターという顔も。

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テキスト
フォトグラファー
Eric Micotto
翻訳
Sachiko Tsutsumi / Hypebeast
インタビュアー
Noriaki Moriguchi / Hypebeast
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