佐野玲於による Reels というプロジェクト | Interviews
友人のデザイナー DETTO Kをパートナーに迎え、佐野自身が「自分にとってのユニフォーム」と語るストリートダンスを軸にしたアパレルコレクションを発売
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俳優でダンサーの佐野玲於が新たなプロジェクトをスタートした。佐野といえば、ファッション好きとしても有名で、私服にもたびたび注目が集まる。〈Reels(リールス)〉と名付けたそのプロジェクトでは、友人のデザイナー デトケー(DETTO K)をパートナーに迎え、ダンスを軸に、ファッション、音楽、スポーツ、アートなど、佐野自身のライフスタイルに欠かせないカルチャーを新たなレクリエーションとして感じてもらう多様なプロジェクトを展開していく。
11月20日、プロジェクトの公式オンラインショップで、ジャケットやスウェット、ロンT、Tシャツ、パンツ、キャップなど、アパレル数型を発売した。さまざまなバリエーションのロゴを使ったグラフィックに加え、ボディも1から作ったオリジナルで、佐野のこだわりが感じられる。「エンターテインメントも絡めた、新たなアパレルの形」というプロジェクトの全貌を、佐野とDETTOに聞いた。
ダンスウェアやトレーニングウェアといった枠を超えて、日常でも着られる多用途のアイテムにしたかった
Hypebeast:まずは、プロジェクトを始めるに至った経緯を教えてください。
佐野玲於(以下、S):自分にとっての「ユニフォーム」のような、実用的なものが欲しいと思ったのがきっかけです。ダンスの練習着だったりトレーニングウェアだったりツアーでの移動に使える服だったり、そういうものが欲しいと思ったところから始まりました。DETTO君と出会ったのは10年以上前になりますが、当時から彼のブランドが好きで、自分のグループの衣装を手がけてもらったこともあります。僕もDETTO君も愛知県出身という共通点があって、それもあって意気投合しました。彼はスポーツ好きで、野球もサッカーもゴルフもするアウトドア派。日頃から一緒に遊ぶことも多くて、そんな中で自然に構想が固まっていった感じです。
〈Reels〉というプロジェクト名にはどんな想いを込められたのですか?
S:自分の名前や活動と関連性を持たせたものがいいなと。それでDETTO君といろいろ相談しながら、ストリートダンスが自分の原点にあるので、そこから派生したReels(リールス)という名前にしました。
DETTO(以下、D):“Re”には「繰り返す」や「再び」「継続」といった意味があります。それとストリートダンスの動きやカルチャーの要素を結びつけて、ダンスの動きの立体感や視点から着想を得ました。SNSのリール動画といったカルチャーも意識しています。今は本当に動画の時代。その中でも、ダンスは1番重要な表現手段になっています。振り付けの動画も含めて、カルチャーとしてのストリートダンスに着目しました。
佐野さんは服がお好きですよね。
S:そうですね、服は昔から好きです。ただ、これまで自分の名前で服を作って販売した経験はほとんど無くて。昔、NIGOさんに誘っていただいてPOPUPを開催したことがあるくらいでした。だけど、365日、ダンスを中心とした“動き”のある生活が基本だから、自分が最も使うものにこだわりたいという気持ちは強かったんです。
ブランドとして、1番大切にしていることは何ですか?
S:“動き”を軸にしながら、用途を限定しない服ですかね。ダンスウェアやトレーニングウェアといった枠を超えて、日常でも着られる多用途のアイテムにしたかった。だから最初は、自分の私物や普段着ている古着のロンTやカットソーなど、しっくりくるものからヒントを得て、形にしていきました。
D:“玲於らしさ”も大切にしましたね。彼が普段好んで着ている古着のテイストや、動きやすさ、使いやすさが反映されています。
S:実はストリートダンスを軸にした服やそこから派生した服は、他にあまりないんです。ストリートダンサーが着る服はムードを作るものが多くて、機能に特徴があるというより動きを際立たせる役割を果たしている。だから、スウェットやパンツなどを作る際も、特に“ストリートダンス専用”という仕様にはしませんでした。あくまでもコンセプトであって、ダンサーが自由に取り入れる方がかっこいいと思っています。
マインドやスタイルを表現するウェアということですね。
S:その通りです。ストリートダンスにはさまざまなスタイルがあって、それぞれに合った表現方法がありますから。
ストリートダンスの中で着ている洋服が生き生きとして見えてくると。
S:ストリートダンスにとって、自分の目に入る情報ってすごく大切なんです。たとえば僕は、小学生の頃、YouTubeもほとんど普及していない時代にLAのダンサーに憧れて、その人が着ている服を真似したりしていました。ダンサーが服を着て動くことで、その服がさらに魅力的に見えたり、自分もその服を着たいと思わせる力があるんです。
D:モデルがランウェイを歩くのとは違って、ダンサーの動きの中で見えてくる服の表現があるんですよね。今回のルックも玲於の後輩ダンサーに協力してもらって、実際に踊っているシーンを切り取っています。動きが服を引き立てる、そんなスタイルを目指しています。
デザイン面で特にこだわったポイントはありますか?
S:グラフィックやロゴですね。自分としてはシンボルになるようなグラフィックにしたかったのですが、DETTO君がステージで使う「バミリ」(舞台上の立ち位置を示すマーク)に着目してくれて、それをデザインに取り入れています。
D:ブランド名のReelsの「e」を反転させたり、数字の33をアレンジしたエンブレムを作ったり、遊び心を持たせつつも意味のあるロゴをデザインしました。フォントもスポーティーさとクラシックさを融合させています。
ブランドロゴのバリエーションが多いのも特徴的ですね。
D:ロゴは何パターンもサンプルを作って、少しずつ変化を加えながら形にしていきました。
S:ブランドのスタート段階なので、いろいろ試している部分もあります。ロゴにはスポーツウェアらしいイメージを持たせつつ、新しいことに挑戦している感じですね。
次のシーズンの計画は?
S:シーズンを意識したコレクションではないので、まだ次のシーズンのことは決まっていません。今はオンライン販売が中心ですが、ダンサー仲間を集めて小さなイベントを開催しましたし、今後も自分にとって馴染みのある場所で、新しい企画には挑戦していきたいと思っています。
今後の展望について教えてください。
S:自分のペースでDIY的に進めているプロジェクトなので、形式にとらわれず、自由に楽しみながらやっていきたいと思っています。自分の軸にあるのはストリートダンスで、それを通じたコミュニティの可能性や出会いを広げられれば嬉しいですね。このブランドがダンス好きな人たちや、若手のアーティストたちとの橋渡しになる、繋がりを生む存在になれば。ブランドというより、プロジェクトに近い感覚なんです。自分の表現活動の延長線上にあるものなので、これからも自由に進化していけたらと思います。
Reels OFFICIAL ONLINE STORE:https://reelswear.com/collections/all