2023年のBESTスニーカー 10選

Nike / Tiffany & Co. / Corteiz / Adidas Originals / Wales Bonner / Asics / Hal Studios®

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2023年のフットウェア業界を振り返ると、2010年代のスニーカーシーンを牽引してきた故・ヴァージル・アブロー（Virgil Abloh）やカニエ・ウェスト（Kanye West）/Ye（イェ）による“大きな物語”の時代は完全に終焉し、次の時代に向けて小さな潮流が確実に生まれ始めている過渡期の1年だったと言えるだろう。実際、近年多数見られたラグジュアリーブランドとのコラボレーションは、〈Tiffany & Co.（ティファニー）〉と〈Nike（ナイキ）〉のコラボAir Force 1、「Hennessy（ヘネシー）」とキム・ジョーンズ（Kim Jones）によるHNY Low by Kim Jones（HNY ロウバイキム・ジョーンズ）以外は、ほぼ皆無であった。

その代わりにUKの〈Corteiz（コーテイズ）〉や〈LORENZ.OG（LORENZO G FEDERICI）〉、オーストラリアのクリエイティブスタジオ「HAL STUDIOS®（ハルスタジオ）」といった新興レーベルが、ユニークなコラボフットウェアを発表したのは興味深い流れ。世間的には「スニーカーブームは終わった」と囁かれているものの、メーカー単位で言えばコラボモデルでなくともインラインでのヒット作が多数生まれているのも事実であり（*ASICS SportStyle GEL-KAYANO 14など）、ある種のバブルが去ったこれからの方が、傑作が次々と誕生する可能性は高い。本稿ではそんな激動の2023年を代表する10足を『Hypebeast』編集部の目線からセレクト（順番は発売日順）。記事の最後には“あなたが選ぶ2023年のベストスニーカーは？”の投票を実施しているので、是非参加してみてほしい。

Tiffany & Co. x Nike Air Force 1 “1837”

AF1の誕生40周年を記念して製作されたという本モデルは、両者によるコラボコレクション “Legendary Pair”のラインアップの1つとして展開。モデル名の“1837”は〈Tiffany & Co.〉の創業年に因んで名付けられている。アッパーにはブラックのプレミアムスエードを採用し、ヒール部分にスターリングシルバーのパーツをあしらうなど、高級感のある仕上がりに。さらに、スウッシュやインソールなどに〈Tiffany & Co.〉を象徴する“ティファニーブルー”を配置し、シュータンにも“Tiffany”の文字を刺繍で施すなど、歴史あるメゾンのアイデンティティーを随所に散りばめており、“ニューヨーク”という街の文化を体現する1足となっている。

MSCHF Big Red Boot

アメリカ・ブルックリン発のクリエティブエージェンシー「MSCHF（ミスチーフ）」によるBig Red Bootは、スニーカーのカテゴリーには属さないかもしれないが、今年最も話題となったフットウェアの1つ。そのデザインは、米人気テレビアニメ『ドーラといっしょに大冒険』の主人公ドーラの親友である猿（Boots the Monkey）が履いているブーツから着想を得たという。キャッチーな見た目のインパクトから、SNS上でバズを生み出した。その後、このブーツのシルエットを踏襲した〈Crocs（クロックス）〉のコラボシューズも発売されている。

Corteiz x Nike Air Max 95

Clint419（クリント419）率いるUK発の新鋭ストリートウェアブランド〈Corteiz〉と〈Nike〉による初のコラボレーションモデル Air Max 95は、“Sequoia”、“Pink Beam”、“Aegean Storm”の3カラーがオンラインとロンドン/ニューヨーク/パリで行ったポップアップにて販売され、各カラーとも即完売した。また、本モデルのリリースに先駆けて公開されたキャンペーンビデオに、マンチェスター・シティ所属のサッカー選手フィル・フォールデン（Phil Foden）やウォルソール出身の歌姫ジョルジャ・スミス（Jorja Smith）が出演したことも話題に。〈Corteiz〉は2024年にも〈Nike〉とのコラボレーションを控えているとの噂も浮上しており、引き続き両者の動向に注目したい。

TRIPSTER x Vans ComfyCush Authentic

野村訓市率いる「TRIPSTER（トリップスター）」と〈Vans（ヴァンズ）〉のコラボによるComfyCush Authentic（コンフィクッシュオーセンティック）は、意外にも氏が初めて手掛けたシューズという記念碑的な1足。野村氏の偏愛する〈Vans〉AuthenticをComfyCushラインとして現代的にアップデートしつつ、1970〜80年代の古き良きナイロン製ランニングシューズをモチーフとしたアッパー、耐久性の優れたスウェードトゥ、ウレタンが貼られた切りっぱなしのシュータン、表裏でセンチ/インチ仕様のメジャーが印刷されたシューレース、かかとのホールドを高める差し色のスタビライザーなど、随所にこだわりのディテールが散りばめられた唯一無二のモデルとなっている。（*本コラボの裏側に迫ったインタビュー記事は、こちら）

HAL STUDIOS® x ASICS SportStyle GEL-1130 MK II “FOREST”

日本発のスポーツウェアブランド〈ASICS（アシックス）〉の展開するライフスタイルラインの〈ASICS SportStyle（アシックススポーツスタイル）〉と、オーストラリアを拠点とするクリエイティブスタジオ「HAL STUDIOS®」によるGEL-1130™ MK II “Forest”は、両者のコラボ3部作の第2弾として制作された1足。両者のコラボレーションモデルは、2021年12月に第1弾のGEL-1130™ MK I “Earth”、今年4月に第2弾のGEL-1130™ MK II “Forest”、同年8月に第3弾のGEL-1130™ MK III “Glacier”がリリースされた。どのモデルも自然からインスピレーションを得たデザインと、独特の素材/色使いが大きな反響を得ている。「HAL STUDIOS®」の共同設立者兼クリエイティブ・ディレクタージョン・ブーケット（John Bouquet）によると、今後新たなモデルのリリースも計画中とのことなので、オフィシャルの発表を楽しみに待っていよう。

WTAPS x New Balance 990v6

毎回人気の〈WTAPS（ダブルタップス）〉と〈New Balance（ニューバランス）〉による待望のコラボ第3弾は、990シリーズの最新作である990v6をベースとした1足。〈New Balance〉のシグネチャーカラーであるグレーをパーツごとにグラデーションで表現した〈WTAPS〉らしいアレンジが秀逸なデザインは、トレンドに左右されず、永く愛用できるタイムレスなモデルと言えるだろう。

トラヴィス・スコット x Air Jordan 1 Low Golf

長年チームアップを継続しているトラヴィス・スコット（Travis Scott）と〈Jordan Brand（ジョーダンブランド）〉による初のゴルフシューズ Air Jordan 1 Low Golf “Neutral Olive”は、同じ〈Jordan Brand〉ファミリーであるDJ キャレド（DJ Khaled）からゴルフの楽しさを教わったというトラヴィスのこだわりが詰め込まれた1足。張りのあるレザーアッパーにはトラヴィスらしいセイル/オリーブのニュートラルカラーを採用。機能面ではスイングをサポートする設計の複合的なトラクションパターンに加え、アウトソールにNike Airクッショニングを備えた本格仕様となっており、“Hype ゴルファー”には必須の1足となっている。

Cactus Plant Flea Market x Nike Air Flea 2

シンシア・ルー（Cynthia Lu）率いる〈Cactus Plant Flea Market（カクタスプラントフリーマーケット）〉と〈Nike〉による最新コラボフットウェア Air Flea 2（エアフリー 2）は、歴代の〈Nike〉モデルの中で“最大級”と言われる巨大なスウッシュを備えた見た目のインパクトが話題に。なお、この特大スウッシュはアッパーを覆う極太のベルクロストラップに取り付け/取り外しが可能。その他にもタイヤトレッドを備えたボリューミーなソールユニットや、左右のヒール部分に2本づつ備えられたタブ、サーモグラフィーを想起させるカラフルなインソール、暗闇で光る特殊仕様のアウトソールの足裏のグラフィックなど、他に類を見ないユニークなディテールも魅力。NIGO®️（ニゴー）やファレル・ウィリアムス（Pharrell Williams）、トレマイン・エモリー（Tremaine Emory）といった著名人たちがプライベートで着用している姿が目撃されるなど、今年の〈Nike〉のリリースの中でも、特に玄人受けしたモデルかもしれない。

WALES BONNER x adidas Originals Samba

昨年から世界的なブームとなっている〈adidas Originals（アディダスオリジナルス）〉Samba（サンバ）のラインアップの中でも、大本命と言えるのが〈WALES BONNER（ウェールズ・ボナー）〉とのコラボレーションシリーズだ。数年来継続している両者による2023年秋冬シーズンのコラボレーションでは、1990年代のフットボールスタイルにフォーカスし、ライフスタイルの文脈で再解釈したフットウェア/アパレルを展開。このコラボレーションシリーズのシグネチャーとなっているSambaは、今季は2種類のアッパーを用意。フェイクポニーヘアアッパー、スエードアッパーを採用し、クラシックスタイルをアップデートした。

sacai x Nike Magmascape

阿部千登勢の手掛ける〈sacai（サカイ）〉と〈Nike〉による最新コラボフットウェア Magmascape（マグマスケープ）は、両者のコラボでは初となるブーツタイプのモデル。今年1月の〈sacai〉2023年秋冬シーズンのパリ・ファッションウィーク・メンズにてお披露目された本モデルは、1990年代の名作ランニングシューズ Air Footscapeと、〈Nike ACG（ナイキエーシージー）〉が80年代に発表したハイキングブーツ Air Magmaを組み合わせた通好みの1足。通気性の良いアッパーのテキスタイルとアイコニックなサイドのシューレースデザインは前者、タフな作りのアウトソールや丸紐のシューレース、スエードのパネルは後者から着想を得ているという。二重になったアイステイには2本のシューレースを通せるため、好みのフィット感に調節可能に。カラーは“Varsity Royal”、“Pecan”、日本限定の“Black”の3種類が展開された。