adidas が Thom Browne とのスリーストライプスの商標権紛争について再審を請求
事態は収集したかと思われたが……
2021年6月、トレードマークであるスリーストライプスの商標を巡って、米ニューヨークを拠点とするデザイナーブランド〈Thom Browne(トム ブラウン)〉を提訴した〈adidas(アディダス)〉。両ブランド間で解決にはいたらず裁判へと発展した後、今年1月には商標を侵害していないとして〈Thom Browne〉が勝訴し、解決したかと思われた本件だが、ここにきて再び〈adidas〉が再審を請求していることが明らかとなった。
本件の発端は、〈adidas〉が、「Thom Browneが自社のスリーストライプスが著名性を認知していながら、フォーマルウェアだけでなく、同マークに酷似した2〜4本の平行線をあしらったアスレチックスタイルのアパレルおよびフットウェアを販売している」として起訴。さらに、「そのことにより消費者を困惑させ、adidasブランドの価値や信用が大きく侵害されている」と主張していた。
今回、〈adidas〉は、判決を下したジェド・ラコフ(Jed Rakoff)判事が、主張の1つである“消費者の困惑”について、両ブランドを混合することはないとの判断が誤りだとして敗訴を不服とし、再審を請求。“消費者の困惑”について〈adidas〉は、「混合は販売時点である必要はなく、“最初の関心”あるいは“販売後”の段階でも起こりうる」と説明。加えて、ジェド・ラコフ判事が、専門家の1人からの重要な証言を除外したとも述べている。
この請求に対して、先週、〈Thom Browne〉の弁護士は、除外された専門家の証人は「adidasをもっともらしく害するものではない」と反論。また、「adidasの主張は事実の欠落や虚偽に満ちており、判事からはadidasの主張の本質に関する明確な指示を受けた」と発表した。この主張を含めて、〈Thom Browne〉は、〈adidas〉による再審の請求を却下するよう裁判所に求めているとのこと。
現時点で、裁判所が再審を行うかどうかについては決定していないが、手続きにはしばらく時間がかかることが予想される。引き続き、動向を見守ろう。