Interviews: 世界各国で大ブレイク中の AUTRY の新コマーシャルディレクターに就任したエンリコ・パシに訊く、ブランドの新たな展望
“MEDALISTは今後もブランドのアイコンであり続ける”

Interviews: 世界各国で大ブレイク中の AUTRY の新コマーシャルディレクターに就任したエンリコ・パシに訊く、ブランドの新たな展望
“MEDALISTは今後もブランドのアイコンであり続ける”
ブランドの休止状態から近年ヨーロッパで復活を遂げ、今や世界各国で人気を博すアメリカ・テキサス州ダラス発の〈AUTRY(オートリー)〉。スニーカーファンなら世界各国でブレイクをしている同ブランドのアイコンモデルであるMEDALIST(メダリスト)を1度は目にしていることだろう。そんな“アメリカ国旗が刻印された靴(MEDALIST)”の最新作に加え、今秋は“CLC”というニューモデルがリリースされる。そしてこのリリースをきっかけに、〈AUTRY〉はブランドとしてさらなる飛躍を目論んでいる。その役割を担う中心人物が、今年4月にコマーシャルディレクターに就任したばかりのエンリコ・パシ(Enrico Pasi)である。
そもそもエンリコ・パシは、イタリアの老舗リテーラー『SLAM JAM(スラムジャム)』やフットウェアブランド〈SUICOKE(スイコック)〉で経験を積み、〈SUICOKE〉x〈Missoni(ミッソーニ)〉など、話題のコラボレーションやコレクションを手掛けてきたクリエイターだ。しかし、これまで日本のメディアではあまり取り上げられてこなかったため、謎のベールに包まれた人物でもある。
そこで今回『Hypebeast』では、東京に来日を果たしたパシに特別インタビューを敢行。彼の経歴や最新のMEDALIST、気になる〈AUTRY〉の展望などを訊いた。
MEDALISTは今後もブランドのアイコンであり続ける
Hypebeast : まずはエンリコ・パシさんの経歴についてお聞きしたいのですが、もともとはファッションではなく建築家志望だったんですよね?
建築を勉強していた頃にアルバイトでセレクトショップのバイヤーをしていたんですよ。それがファッションにのめり込むきっかけになり、そこからSLAM JAMやSUICOKEに繋がっていったんですよね。
SLAM JAMやSUICOKEでは具体的にどういったことをされていたのでしょうか?
SLAM JAMではセールスやブランドマネージャーとして、ストリートブランドからクラシックなハイブランドまでさまざまなブランドと関わってきました。その当時に培ったハイブリッドなファッション感覚はその後も私の指針となっていて、SUICOKEではグローバルブランドディレクターとして斬新なコラボレーションや革新的なコレクションを数多くリリースできたと思っています。
そんなストリートとハイブランドの両者を掛け合わせたハイブリッドなファッション感覚を持つパシさんから見て、AUTRYとはどのようなブランドですか?
AUTRYを語るうえで外せないのは、やはりこちらのMEDALISTではないでしょうか。80年代のアメリカ、その中でも特にテニスのカルチャーをイメージしたこのモデルは、ブランドを象徴するアイコンであり、まずはこちらを世の中にもっと知ってもらえるようにしていきたいですね。ですので、さまざまなシチュエーションで履くことができるニュートラルなデザインからスタートしようと思い、今回のようなMEDALISTが完成したんです。
今後はより凝ったデザインやディテールのスニーカーがリリースされるということでしょうか?
そうですね。ですが、基本的にはニュートラルなデザインがベースにあるので、ビジネスマンやスポーツ好き、ファッショニスタまで、あらゆる職種の人たちが着用できるアイテムをラインナップしていく予定です。スニーカーに限らずカットソーやジャージなどのアパレルも今後はコレクションに登場していきますので、続報を楽しみにしておいてください。
つまり、これまでとは違った新たなAUTRYになると?
ブランドは常に進化していくものなので、そういった意味では生まれ変わると言えるかもしれませんが、あくまでもAUTRYはAUTRYです。ブランドのバックボーンである、80年代当時のアメリカのテニスカルチャーに対するオマージュというスタイルは常に念頭においてクリエイションをしています。
2020年に復活を遂げてコレクションに追加されたヴィンテージ加工のモデルは、そういった新たなAUTRYの動きを象徴している気がします。
現在お見せできる範囲では“ヴィンテージ加工”が最も分かりやすい進化だと思います。加工自体はすべてイタリアで行っていて、とてもこだわって制作を進めていますね。他にもカラーバリエーションや素材の変更など、さまざまな部分をアップデートしていますが、なにより、MEDALISTは今後もブランドのアイコンであり続けることが大事だと思っています。
世界的なスニーカーブームのトレンドなどは意識しますか?
もちろん注目はしていますよ。個人的には、主張の激しい目立つスニーカーから洗練されたミニマルなスニーカーへとトレンドが移り変わっている気がしていて、そういった意味ではAUTRYは今後ますます需要が高まるブランドになっていくはずです。だからこそ私たちは、誰でも身につけられるベーシックでニュートラルなアイテム作りをしているんですよね。
ありがとうございます。それではAUTRYのこれからの展望について教えてください。
まずは2023年秋冬から登場するCLCという新モデルを皆さまに知っていただきたいです。これまでとは違って、より若い世代(10代後半から30代)に向けて作ったスニーカーで、主張しすぎない洗練されたディテールや加工を施しています。それから、先ほども言いましたが、今後はアパレル類にも力を注いでいく予定で、既にスニーカーだけじゃないトータルコレクションも準備しています。
パシさんがSUICOKE時代に手掛けたSUICOKE x Missoniのような話題のコラボレーションもAUTRYで実現されていくのでしょうか?
現時点で詳しいことは言えないんですよ(笑)。ただ、楽しみにしておいてください。皆さんの想像を超えるような斬新なプロジェクトはすでに進行中で、もしかしたら将来的にAUTRYが手掛ける“トマトパスタ”みたいな、異業種コラボレーションもありえるかもしれません。
楽しみですね。最後に今回の来日の目的についてもお聞きしたいです。
日本にいるビジネスパートナーに会いに来たというのが最大の目的なんですが、今のAUTRYはグローバル、その中でも特にアジアを意識していて、今年中にポップアップストアや旗艦店をアジアのどこかで立ち上げたいと思っています。そのため、現在は日々リサーチをしている段階で、最終的にはブランドの世界観を全身で味わえるようなサービスを提供していきたいですね。
自らのバックボーンを軸にストリートとラグジュアリーの両面を唯一無二のセンスでブレンドするエンリコ・パシ。そんな彼が〈AUTRY〉を手がけるようになってからまだ日は浅いが、今後は多くのプロジェクトを準備しているとのこと。そして、その第1弾とも言える今シーズンのMEDALISTは現在販売中だ。詳しくはブランドの公式ウェブサイトからチェックしてみよう。