LVMH プライズ 2023 のグランプリは YEEZY 出身の日本人デザイナーに決定
異色の経歴を持つデザイナー 桑田悟史のブランド〈SETCHU(セッチュウ)〉がグランプリに輝く

6月7日(現地時間)、「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」主催の若手ファッションクリエーターの育成と支援を目的としたファッションコンテスト「LVMH Prize 2023」の受賞者が発表。今年のグランプリは、イタリア・ミラノを拠点とする日本人デザイナー 桑田悟史の手掛けるブランド〈SETCHU(セッチュウ)〉が受賞した。日本人デザイナーのグランプリ受賞は、2018年の〈doublet(ダブレット)〉の井野将之以来の快挙となる。
1983年に京都で生まれた桑田氏は、ピエール・カルダン(Pierre Cardin)のアシスタントをしていた叔母や芸大出身の祖父、母の影響を受けて幼少期よりファッションに目覚める。高校卒業後は『BEAMS(ビームス)』で働き、21歳で渡英。ロンドンのサヴィル・ロウの〈HUNTSMAN(ハンツマン)〉などでテーラリングを学びながら、セントラル・セント・マーチンズにも通うようになる。在学中に〈GARETH PUGH(ガレス ピュー)〉でファーストアシスタントとして働きはじめ、ビヨンセ(Beyonce)やリアーナ(Rihanna)のコスチューム制作などを手掛ける。その後カニエ・ウェスト(Kanye West)ことYe(イェ)からオファーを受け、彼のオフィスで働くことに。デザイナーとして〈YEEZY(イージー)〉のメンズ/ウィメンズコレクション、コンサート衣装などを担当。当時Yeのブランドにコンサルタント契約のような形で携わっていたデザイナーの中には、マシュー・ウィリアムズ(Matthew M Williams)やアンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)などもいたようだ。
その後はリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)時代の〈Givenchy(ジバンシィ)〉や〈EDUN(イードゥン)〉〈GOLDEN GOOSE(ゴールデン グース)〉などで経験を積み、2020年に自身のブランド〈SETCHU〉をローンチ。ブランド名の〈SETCHU〉は19世紀に唱えられた“和洋折衷”の概念から名付けられたという。ブランドのアイコン的なアイテムである“折り紙ジャケット”など、クラシックなものに一捻りを加えたデザインが国内外で高い評価を受けており、今後の躍進が期待されるデザイナーの1人だ。
今回のグランプリ受賞を受けて、桑田氏には「LVMH」のエキスパートによる1年間のメンターシップの提供と、40万ユーロ(約6,000万円)の賞金が授与される。