Taiga Takahashi がブランド名を T.T に改名し2023年秋冬コレクションを発表
ブランド設立当初より髙橋大雅と歩みをともにしたチームの手掛けた初のコレクション
デザイナーであり、現代美術家としても活躍した故・髙橋大雅自身の名を冠したブランド〈Taiga Takahashi(タイガ タカハシ)〉が、2023年秋冬シーズンよりブランド名を〈T.T〉へと変更。彼の遺志を引き継いだデザインチームの手掛ける2023年秋冬コレクション “BETWEEN SKY & SOIL(空と土のあいだで)”を発表した。
〈Taiga Takahashi〉の創設者である髙橋大雅は、2017年にニューヨークで自身の名を冠したブランドをスタート。当初ウィメンズを主体に展開していたものの、次第に“常に新しいものを作り続ける”というクリエーションの在り方に疑問を抱くようなる。彼は衣服を“記憶を辿る装置”であると捉え、失われつつある文化や伝統を追体験し、100年後の未来にまで残る服作りを追求するようになっていく。2021年秋冬シーズンからメンズウェアに重心を置き、自身が10代から過ごしたさまざまな国々でアンティークディーラーや古美術商を通じて蒐集した数千着以上にも及ぶ70~100年以上前の服を研究し、“応用考古学”の観点から新たなコレクションを生み出していった。髙橋氏の創作は衣服だけに留まらず、彫刻などの美術作品や建築、インスタレーション、パフォーマンス、食にまでその領域を広げていくことに。2021年12月3日には、自らの美学を具現化したブティックを含む総合芸術空間『T.T』と、立礼茶室『然美(さび)』を京都祇園にオープンしている。しかし、2022年4月9日に致死性不整脈により27歳という若さで急逝。志半ばでこの世を去った髙橋氏の生前の計画を実現するため、彼の遺族やさまざまな人々の協力を得て、初の個展 “不在のなかの存在”やインスタレーション “時をうつす鏡”、展覧会 “Texture from Textile Vol.2 時間の衣ー髙橋大雅ヴィンテージ・コレクション”を昨年12月に開催した(*『HOSOO GALLERY』での展覧会のみ3月12日(日)まで開催中)。
そして2023年秋冬シーズンを機に、ブランド名を〈Taiga Takahashi〉から〈T.T〉へと正式に改名。髙橋氏は生前より〈Taiga Takahashi〉は髙橋大雅個人・現代美術家としての名義、〈T.T〉は自身の手がけた衣服を制作発表するプラットフォームとして改名を予定していたとの事で、結果的に計らずともこのタイミングでの変更となった。今後はブランド設立当初より歩みをともにしたチームが、今までの〈Taiga Takahashi〉の核心である「過去の遺物を蘇らせることで、未来の考古物を発掘する」という意志を引き継ぎ、彼の生涯に渡って蒐集したコレクションを礎にし、考古学の観点から現在もしくは未来にも存在する服を研究することで、新たなコレクションを発表していくという。まずは最新コレクションのビジュアルをチェックし、〈T.T〉のこれからのクリエーションに注目しよう。
ブランド:T.T
シーズン:2023年秋冬