スペインのアートフェア ARCO MADRID 2023 にてピカソの遺体を彫刻化した作品が話題に
スペインのアーティスト エウジェニオ・メリノが製作
スペイン・マドリードで開催中の国際コンテンポラリーアートフェア 「ARCO MADRID 2023」にて、Pablo Picasso(パブロ・ピカソ)の遺体を彫刻化した作品が話題を呼んでいる。
『Aquí Murió Picasso(Picasso Died Here), 2017』と名付けられた本作は、スペインのアーティスト Eugenio Merino(エウジェニオ・メリノ)が、スペイン・バルセロナのアートギャラリー『ADN Gallery』およびアートのキュレーションや出版を行う「Los Interventores」とともに製作したもの。これは、実際のPicassoの遺体に基づいておらず、ブルーストライプのブルトンシャツ、白いリネンのパンツ、足元のエスパドリーユといった、彼の大衆的なイメージを落とし込んだ架空の遺体を表現している。なお、彫刻の全長は6フィート(約180cm)ほどあり、5フィート4インチ(約162cm)と言われている実際のPicassoの身長よりも大きく作られているとのことだ。
また、Merinoは『ARTnews』のインタビューで本作品について「この彫刻は、基本的にDean MacCannell(ディーン・マッカネル)が1976年に出版した『The Tourist』に基づいて制作した観光スポットです」と説明。さらに、「この本の中で、著者は観光スポットの特徴を説明していますが、私たちにとっては、それは基本的にアートの世界とアートフェアが変化したものでした。だからこそ、この作品が、販売される対象であると同時に、象徴的な価値を引き出す対象として、自らをオープンに提示することが重要なのです」と続けた。「“ツーリスト・アートの消費者”が自撮りできる場所……Picassoが亡くなった場所であることを思い出させる記念品。それは明らかに、他の観光スポットと同程度に偽物です」と、アート自体を楽しむのではなく、SNS投稿のために美術館やアートフェアに訪れる現代の風潮について、批判を述べた。
本作品は、「ARCO MADRID 2023」にて、彫刻、台座、記念碑の3点セットで45,000ユーロ(約650万円)で販売されていた。現在の販売状況は明らかとなっていないため、そのディテールだけでも上記のフォトギャラリーからチェックしておこう。