NBA オールスター 2023をプレイバック
MVPは55点をあげたジェイソン・テイタムに
2月17日〜19日(現地時間)の週末にかけて、ユタ・ジャズの本拠地 アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティに位置する『ヴィヴィント アリーナ』を中心に開催された「NBA オールスター 2023」。
前夜祭的な位置付けの金曜は、21 Savage(21サヴェージ)らの出場した「セレブリティゲーム」と「ライジング・スターズ・チャレンジ」が、翌日のオールスターサタデーナイトでは、「スキルズ・チャレンジ」「3ポイント・コンテスト」「スラムダンクコンテスト」が実施された。「スキルズ・チャレンジ」には、チーム・アデトクンボ、チーム・ルーキー、チーム・ジャズの3組が参加し、Jordan Clarkson(ジョーダン・クラークソン)、Walker Kessler(ウォーカー・ケスラー)、Collin Sexton(コリン・セクストン)から成る地元のジャズが見事に優勝。続いて行われた「3ポイント・コンテスト」では、第1ラウンドにTyrese Haliburton(タイリース・ハリバートン)がコンテスト記録タイとなる31ポイントを記録。前評判の高かったDamian Lillard(デイミアン・リラード)は第1ラウンド、決勝ラウンドともに26ポイントという安定した勝負強さを見せ、Buddy Hield(バディ・ヒールド)とHaliburtonを退け、見事王者の栄冠に。また、Lillardは、自身の出身校であるユタ州のウェバー州立大学のユニフォームを着用するという粋な計らいを見せ、監修の心を掴んだ。そして、オールスターサタデーナイトのメインイベントとなる「スラムダンク・コンテスト」。Trey Murphy III(トレイ・マーフィー3世)、Jericho Sims(ジェリコ・シムズ)、Kenyon Martin Jr.(ケニオン・マーティンJr.)、Mac McClung(マック・マクラング)の4選手がエントリーした。「スラムダンク・コンテスト」をきっかけに、一晩で歴史に名を残す選手が少なからずいるが、Mac McClungも間違いなくその1人となった。コンテストは、まさに彼の独壇場で、第1ラウンドと決勝ラウンドを通じて、4本中3本で50点満点(しかもノーミス)を叩き出し、その場にいた選手たちも含めて、会場内の全員の度肝をに抜いた(筆者の座っていたメディア席も例外ではない)。さながら、Vince Carter(ヴィンス・カーター)が席巻した2000年のコンテストを彷彿させる空気感だった。しかもMcClungは、NBAで2試合しか出場経験がなく、先日フィラデルフィア・セブンティシクサーズと2ウェイ契約を結んだ下部リーグのGリーグ選手である。
さまざまなイベントが行われる「NBA オールスター」だが、最終日を迎え、いよいよリーグ屈指のスター選手の集結する本戦が開催された。今季は怪我人が多く、残念ながらスタメンに選ばれたKevin Durant(ケビン・デュラント)、Stephen Curry(ステフィン・カリー)、Zion Williamson(ザイオン・ウィリアムソン)が欠場。また今回から、試合直前に両カンファレンスのキャプテンによるドラフトを実施するシステムを導入し、LeBron James(レブロン・ジェームズ)とGiannis Antetokounmpo(ヤニス・アデトクンポ)がベンチメンバー、スターターの順に指名していった。チーム LeBronは、Joel Embiid(ジョエル・エンビード)、Kyrie Irving(カイリー・アービング)、Luka Doncic(ルカ・ドンチッチ)、Nikola Jokic(ニコラ・ヨキッチ)、Anthony Edwards(アンソニー・エドワーズ)、Jaylen Brown(ジェイレン・ブラウン)、Paul George(ポール・ジョージ)、Tyrese Haliburton(タイリース・ハリバートン)、Julius Randle(ジュリアス・ランドル)、De’Aaron Fox(ディアロン・フォックス)、Jaren Jackson Jr(ジャレン・ジャクソンJr.)。チームGiannisはJayson Tatum(ジェイソン・テイタム)、Ja Morant(ジャ・モラント)、Donovan Mitchell(ドノバン・ミッチェル)、Lauri Markkanen(ラウリ・マルカネン)、Damian Lillard、Jrue Holiday(ドリュー・ホリデー)、Shai Gilgeous-Alexander(シェイ・ギルジャス・アレクサンダー)、DeMar DeRozan(デマー・デローザン)、Pascal Siakam(パスカル・シアカム)、Bam Adebayo(バム・アデバヨ)、Domantas Sabonis(ドマンタス・サボニス)。
試合開始早々、両チームともにシュートが次々と決まる展開で、LeBronは華麗なアリウープダンク2本やハーフコート付近から3ポイントなど会場を沸かせるプレーで9得点、LeBronの元相棒であり、今回再結成的な形となったIrvingが11得点、チームGiannisはセルティックスのエース Jayson Tatumが1人アリウープなどのプレーで13得点をあげてチームを牽引。第1Qは46-46の同点で終えた。第2Qは、Pascal Siakamの得点からスタートするも、序盤はそれぞれシュートミスが目立つ内容に。中盤からはLeBron、Anthony Edwards、Ja Morantらによるダンクの応酬が繰り広げられた。ややチームGiannis先行で時間が流れるも、またもや付かず離れずの展開となり、今年もレギュラーシーズンMVP筆頭候補のJokicは、残り3分あたりでようやく初得点。残り1分ほどから、MitchellとIrvingの点の取り合いでリードが入れ替わり続けたが、前日のコンテスト王者のLillardの連続3ポイントシュートによって、チームGiannisが突き放し、53-46で本クォーターを終了。前半を99-92で折り返した。怪我で「スキルズ・チャレンジ」を欠場していたキャプテンのGiannisは、試合開始時に20秒プレーしたのみ。前半終了時点で、Irvingが両チームトップの18得点、Embiidが15得点、LeBronが13得点、チームGiannisはTatumが17得点、Mitchellが16得点とした。ハーフタイムにはLeBronのNBA歴代最多得点更新をたたえ、地元の英雄 Karl Malone(カール・マローン)に加えて、Kareem Abdul-Jabbar(カリーム・アブドゥル・ジャバー)も登場し、通算得点ランキング1、2、3位が揃うセレモニーが行われた。
後半もチームGiannisがリードを奪う流れで、残り8:38で11点差をつけた。Tatum、Mitchell、Irvingは引き続き快調にシュートを決め、Tatumは30点そして40点の大台に1番乗りに。その後もチームGiannisが常に先行し、残り4分強でLillardがハーフコートからシュートを決め、会場全体がどよめく。第3Qの最後はボストンのチームメイト同士であるTatumとBrownの1on1合戦となり、それぞれ得点を決めて、158-141で最終クォーターに突入した。ファイナルターゲットスコア182点を目指し、第4Qを戦う両チーム。Tatumの勢いは止まらず、2017年にAnthony Davis(アンソニー・デイビス)の記録した52得点を上回る55得点をあげ、「NBA オールスター」1試合における最多得点保持者となった。最後はLillardの3ポイントでターゲットスコアに達し、184-175でチームGiannisが勝利を収めた。5年連続で白星を上げていたチームLeBronだったが、6年目で初の黒星を喫する結果に。MVPはTatumが受賞。