ランボルギーニ初の HPEV、レヴエルトの実力は?

HPEV(ハイパフォーマンスEV)ハイブリッド・スーパースポーツカーである「Lamborghini 」のレヴエルトに、モータージャーナリストの大谷達也が乗った。そのリポートをお届け

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「ランボルギーニ(Lamborghini)」がものすごいクルマを作った

その名もレヴエルトは、実に9500rpm(!)まで回る超高回転型V12エンジンにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせ、最高1015psものパワーを炸裂させるモンスターマシン。ちなみにBMW 3シリーズのベーシックモデルは最高出力が156psなので、そのざっと6.5台分もの出力をレヴエルト1台で生み出せることになる。

私はこのレヴエルトに、イタリアのヴァレルンガ・サーキットで試乗してきたのだけれども、それはもう、すさまじい体験だった。

最終コーナーを立ち上がってから1コーナーにたどり着くまでの間に、スピードメーターはあっさりと270km/hオーバーに到達。このとき、もしも1コーナーに向けてブレーキペダルを踏み込まなかったら、簡単に300km/hに達していただろう。

それもそのはず、レヴエルトの最高速度は350km/hと発表されているけれど、これは電子制御で350km/hに抑えているだけの話で、ハイブリッドシステムのモーターが壊れてしまうリスクさえ気にしなければ、それ以上の最高速度を簡単に記録できるほどの実力を備えているのだ。

レヴエルトがすごかったのは、ストレートの速さだけではない

例によって、めちゃくちゃ速い「ランボルギーニ」のインストラクターが操る先導車を追いかけるようにしてレヴエルトを走らせれば、自然とペースが上がっていくのだけれど、そのときのコーナーリングスピードは、両足で踏ん張っていなければ上半身を支えきれないほどの速さ。それでもレヴエルトはまるで姿勢を乱すことなく、ハンドルを切った方向に向けてグイグイと曲がっていく。恐ろしいほどのコーナリング性能と安定感だ。

でも、そうしたコーナリング性能や安定感は、私の“腕”ではなく、レヴエルトのハイテク装備によって生み出されたモノであることが、ステアリング上のツマミを少しひねっただけで明らかになった。

このツマミはANIMA(アニマ。イタリア語で魂の意味)と呼ばれるドライビングモード切り替え用のスイッチで、具体的にはエンジン、4WDシステム、サスペンションなどの設定をガラリと変化させることができるもの。走り始めたとき、私はこのANIMAをサーキット走行用のコルサにしていたのだけれど、これをスポルトに切り替えると、コーナーの出口でアクセルペダルを踏み込んだ瞬間、ズルッと後輪がアウトに流れ始めてドリフト状態になり、ドライバーはカウンターステア(いわゆる逆ハンドル)をあてる楽しさを味わえるようになるのだ。

まさか自分が1000psオーバーのクルマでカウンターステを切るとは思わなかったけれど、そんな走りが簡単にできてしまうのが、ハイブリッドシステムを活用した電子制御式4WD、同じく電子制御で後輪を操舵する4WSといったハイテク装備の威力。こういったテクノロジーを得たことで、初めて、リアヘビーのV12ミッドシップカーであるレヴエルトでも、軽快なオーバーステアが存分に楽しめるようになったのである。

なぜ「ランボルギーニ」はV12エンジンにハイブリッドを組み合わせた?

V12こそは、「ランボルギーニ」の歴史そのものといって構わないエンジンである。

なにしろ「ランボルギーニ」が創業して最初に作ったモデル“350GT”からしてV12エンジンを積んでいた。それ以来、「ランボルギーニ」のフラッグシップモデルは、必ずV12エンジンを積んできた。どちらかといえば、創業者のフェルッチオ・ランボルギーニ(Ferruccio Lamborghini)は、V12エンジンが作りたくて「ランボルギーニ」社を興したんじゃないかと思えるくらい、両者は切っても切れない関係にあるのだ。

けれども、CO2を大量に排出する恐れのあるV12エンジンは、ひとつ間違えれば社会の敵にもされかねない存在。そこでレヴエルトでは、CO2削減に貢献できる可能性を秘めたプラグインハイブリッドシステムと組み合わせることで、V12エンジンが社会的に受け入れてもらえる道筋を探ったのである。

ちなみに、V12エンジンにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせたカタログモデルは、「ランボルギーニ」レヴエルトが史上初めて。その斬新なコンセプトが世界的に高い評価を受け、いま発注しても納車まで2年以上もかかるほどたくさんの受注が舞い込んだという。

この刺激と興奮を、是非、味わってほしいものだ。

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テキスト
Writer
Tatsuya Otani
Editor Assistant
Sachiko Tsutsumi
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