英オークションハウス Sotheby’s が初のスニーカー・オークション “String Theory” を開催
〈Louis Vuitton〉x〈Nike〉AF1の9足すべてが1つのロットとしてオークションに出品されるのは初

英国で1744年に創業した世界最古の国際競売会社『Sotherby’s(サザビーズ)』は、世界で初めてインターネット上での競売を開催したオークションハウスである。その『Sotherby’s』が自信を持ってお届けするという初のスニーカー・オークション “String Theory”がロンドンで開催されている。
“String Theory”は、現実はいくつもの“ひも”で構成され、相互に作用して大規模な現象を生み出すという原則に基づき、スニーカーが“スポーツと競技場”からファッション、アート、コレクションの世界へと超越した存在であることを示す、クロスオーバーな資産を慎重にキュレーションして提供するものだ。ここでは今回出品される中から、特に注目されるアイテムを見ていこう。
Nike“Black Laser Series”for Alexander McQueen, 2004
予想落札価格: 35,000〜40,000ポンド(約560〜650万円)


〈Nike(ナイキ)〉のプロジェクトの中でも最も捉えどころがなく、興味深いものの一つである“Black Laser Series(ブラックレーザーシリーズ)”は、同ブランドによる1点もののアートシリーズ。本シリーズは2004年にイギリス人デザイナー Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)のために開発されたものだ。Air Max 90、エピックバックパック、そして同素材のシングル・ライダースジャケットを含むこのコレクションは、超高級素材で構成され、そして有名なレーザー彫刻技術でプロダクトを飾り、当時の最も重要な〈Nike〉デザイナーたちによって推し進められた。今回この3点がセットでオークションにかけられる。
Nike x Louis Vuitton ‘Air Force 1’ Full Collection, 2022
予想落札価格: 110,000〜175,000ポンド(約1,700〜2,800万円)
Air Force 1が発表されてから40年目の2022年、Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)の手掛けた〈Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)〉×〈Nike〉Air Force 1の発表により、このシルエットの豊かな歴史の集大成が実現された。彼の死後に発表された作品は、〈Nike〉の有名なスニーカーの数十年の歴史をシームレスに繋いでいる。Virgilによる〈Nike〉×〈Louis Vuitton〉Air Force 1の第1弾は、『Sotherby’s』を通じて発売され、限定カラーと付属のパイロットケースで合計200足がオークションに出品。さらに、2022年6月には9足が一般発売された。この2つのビッグネームによるコラボレーションにより、これまでにないオーセンティックなハイエンド・スニーカーが誕生したわけだ。そして今回、9足すべてが1つのロットとしてオークションに出品されるのは、初めての機会となる。
Nike SB Dunk Low Pro ‘Pigeon’ Dual Signed by Jeff Staple, 2005
予想落札価格: 35,000〜40,000ポンド(約約560〜650万円)
〈Staple Design(ステイプル・デザイン)〉のJeff Staple(ジェフ・ステイプル)がデザインしたこのスニーカーの2005年のリリースは、おそらく史上最も悪名高い〈Nike〉のドロップの一つであろう。同年2月22日、Jeffの住む米ニューヨーク・ローワーイーストサイドの店舗である『Reed Space(リード・スペース)』の外には長い行列が出来た。この時、あまりの人混みにニューヨーク市警が出動し、幸運な購入者が安全に帰宅できるよう、治安を維持する警備が敷かれたのだ。このリリースは日刊タブロイド紙『New York Post(ニューヨーク・ポスト)』の表紙を飾り、ストリートウェアのパワーを示す驚くべき例として今日まで語り草となっている。また、このペアはJeffによるデュアルサインが入れられての出品だ。
その他にも、〈Nike〉Huarache 08 Kanye West“Glow In The Dark Tour”Sampleや、〈Nike〉Dunk Low Pro Premium “Splatter”Promo Sampleなどにも高額の予想落札価格が付けられている。オークションの終了は9月9日の15時(現地時間)となっているので、この空前絶後のオークション、スニーカーヘッズならずとも見逃す訳には行かなそうだ。