アメリカン航空がニューヨークからロンドンまで3.5時間で飛行可能な超音速旅客ジェットを20機発注
Concordeの再来?

高いデザイン性と並外れた性能で今でも忘れ得ぬ航空機となっているConcorde(コンコルド)は、2003年の「Air France(エールフランス)」航空4590便の悲劇的な墜落事故を受けて製造中止になるまで、夢の超音速旅客機として空を舞っていた。マッハ2(時速約2200km)での飛行が可能で、飛行時間が大幅に短縮された一方、ソニックブームによる騒音、高い維持費、膨大な燃料消費量、その他安全性に関する多くの問題もあったようだ。しかし、それから20年後の2022年、「American Airline(アメリカン航空)」は、米国の航空機開発製造会社「Boom Supersonic(ブーム・スーパーソニック)」に同社が開発中の超音速機 “Overture(オーバチュア)”を20機発注したと発表した。
オーダーした20機の手付金は「Boom Supersonic」社が約束を果たすことができることを条件に返還されないとされている。「American Airline」は声明で「Boom Supersonic」社は“Overture”を納入する前に、業界標準の運用、性能、安全性という要件と、American Airlineのその他の慣習的条件を満たす必要があります」と書いている。
計画通りに進めば、全長205フィートの超音速ジェット機は2026年に飛行を開始し、2029年には乗客を乗せて運用されることになる。この飛行機は、アメリカ・ニューヨークからイギリス・ロンドンまでの7時間のフライトをわずか3時間半で、ロサンゼルスからオーストラリア・シドニーまでの15時間のフライトを7時間未満で行うことができると言われている。しかし、このスピードアップには割高感があり、「Boom Supersonic」の試算では、チケットの価格は1席5,000ドル(約67万円)まで上昇する可能性があるという。
実証機は今年中に飛行する予定で、現在ソニックブームの音を小さくする方法をテスト中であるとのこと。同社はまた、開発中のジェット機はネット・ゼロ・カーボンになると主張しているが、これをどのように達成するのか、具体的な計画はまだ示されていない。「Boom Supersonic」はアメリカン航空との契約以外にも、「ユナイテッド航空」と15機の契約を結び、他に「ヴァージン・グループ」、そして「日本航空」からも予約を受けているようだ。近未来型航空機が日本の空港に降り立つ日は意外に近いかもしれない。