Apple AirTag を用いたストーカー事件が米国で大量発生中
元パートナーや夫、上司といった身近な男性からのストーカー行為が報告される

「Apple(アップル)」が昨年4月に発表した落とし物トラッカー AirTag。この製品は鍵や財布、バッグなどの自分の持ち物に付けておくだけで、もしそれらを紛失した場合にiPhoneの『探す』アプリで追跡可能となる画期的なアクセサリーとして発売前から大きな話題となっていた。しかしその一方で、専門家の間ではAirTagを利用した犯罪が多発するのでは、という懸念も囁かれていた。そして発売から約1年を経た現在、彼らの予測通りAirTagを悪用したストーカー事件がアメリカ国内でここ数カ月で大量に発生していることが明らかになった。
米テックメディア『Motherboard』のレポートによると、直近8カ月でアメリカで報告されたAirTagに関連する犯罪は150件にものぼるという。そのうち、全体の3分の1に当たる50件が「身に覚えのないAirTagで自分の居場所を追跡されているという通知を(iPhoneから)受けたため、警察に通報した」といった内容のもの。さらにそのうちの25件は、被害者の元パートナーや夫、上司など身近な男性がAirTagを使って彼女たちにストーカー行為や嫌がらせをした事例が報告されている。
プライバシー擁護団体「STOP(Surveillance Technology Oversight Project)」のエグゼクティブ・ディレクターを務めるAlbert Fox Cahnは、このような現状に対して「ストーカー行為やストーキング用ツールは以前から流通していましたが、AirTagの登場によって、Appleはストーカーによる犯罪行為をこれまで以上に安価で簡単にできるようにしてしまったのです」と語った。
「Apple」はユーザーからの報告を受けて、かねてよりAirTagのストーカー防止機能のアップデートを進めているが、まだ完全に犯罪を抑止するまでには至っていないようだ。一刻も早くこれらの問題が改善されることを期待したい。