NeXT 時代にスティーブ・ジョブズの使用していた Macintosh SE がオークションに出品
「Apple」を離れた1980年代後半〜90年代半ばにかけて使用していた貴重な一台が登場
国際的なオークションハウス『Bonhams(ボナムス)』では現在、宇宙や科学、テクノロジーに関する歴史的な文書やプロダクトを集めたオークション “History of Science and Technology, including Space History”が開催中だ。本オークションには「Apple(アップル)」の共同創業者 Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)に関連したアイテムが多数出品されており、その中でも彼の所有していたMacintosh SEがコレクターの注目を集めている。
Jobsは1976年に友人のSteve Wozniak(スティーブ・ウォズニアック)の自作したマイクロコンピュータ Apple Iを販売するため、「Apple」を設立。彼らがその翌年に発表したApple IIは商業的な成功を収め、同社はシリコンバレーを代表する企業に急成長を遂げた。しかし、1984年に発表したパーソナルコンピュータ Macintoshは当初話題になったものの、発売から数カ月後には深刻な販売不振に陥ってしまう。これがきっかけとなり、Jobsは当時のCEOによって全ての業務から解任され、1985年9月に「Apple」から去ることになる。彼は同社退職後、新たな会社「NeXT(ネクスト)」を設立。今回出品されているMacintosh SEは、Jobsが「NeXT」時代に使用していたものだという。
このMacintosh SEは、1987年末から1988年初頭にかけて、Jobsの当時のアシスタントの女性が使用するためにセットアップされたマシン。彼女は1986年からJobsのもとで働き始め、1990年初めまでその職に就いていた模様。ハードディスクには、毎週の仕事や採用活動、旅行、さらにはチャールズ3世(*当時はチャールズ皇太子)との会見の失敗など、Jobsの「NeXT」での仕事に関するデータが保存されているとのこと。また、1990年から1993年にかけて、彼の娘であるLisa Brennan-Jobs(リサ・ブレナン=ジョブズ)が「NeXT」のオフィスに訪れた際に使用していたという証拠も残っている。なお、出品者は1993年にJobsのもとで働き始め、1994年の暮れに彼からMacintosh SEを譲り受けたそう。Jobsはこのマシンを現オーナーに提供する際に「いつか価値が出るかもしれない」と言い残したようだ。
Jobsは1996年に「Apple」に復帰後、iMacやiPod、iPhone、iPadといった革新的なプロダクトを次々と発表し、世界中の人々の生活を一変させることになる。その軌跡を振り返ると、「NeXT」時代が彼にとっていかに重要な時期であったかは言うまでもないだろう。本オークションに出品されたMacintosh SEは、この時期のJobsを支えた歴史的にも重要な一台である。
このMacintosh SEは、10月25日(現地時間)まで『Bonhams』の公式サイトにて出品中。落札予想価格は、20万〜30万ドル(約2,980万〜4,470万円)が見込まれる。