KENZO 2022年秋冬コレクションのバックステージをチェック
髙田賢三のアーカイブをNIGO®️の視点で再解釈した新生〈KENZO〉コレクション
アーティスティック ディレクター NIGO®️(ニゴー)が手掛ける〈KENZO(ケンゾー)〉のデビューとなる2022年秋冬コレクションが、2022年1月23日(現地時間)のパリ・ファッションウィークにてお披露目された。本稿ではバックステージの写真と共に、今回のコレクションを振り返りたい。
NIGO®️は1990年代からストリートウェアのパイオニアとして活躍し、約30年にも渡ってその世界を牽引してきたが、ランウェイ形式でファッションショーを行うのは今回が初。会場となった『Galerie Vivienne(ギャルリー・ヴィヴィエンヌ)』は、1970年に〈KENZO〉の創業者である髙田賢三がブティック『JUNGLE JAP(ジャングル・ジャップ)』をオープンし、初めてファッションショーを行った場所だ。海外では“The King of Streetwear”と形容されるNIGO®️のデビューコレクションには、盟友 Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)を筆頭に、Kanye West(カニエ・ウェスト)改めYe(イェ)とその恋人 Julia Fox(ジュリア・フォックス)、Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)、Pusha T(プシャ・T)、Gunna(ガンナ)、J Balvin(J.バルヴィン)、Steven Victor(スティーブン・ヴィクター)、Dominic Fike(ドミニク・ファイク)、Shygirl(シャイガール)、BMことBig Matthew(ビッグ・マシュー)、Sik-K(シックケイ)といった豪華な顔ぶれが駆けつけた。会場で流れた音楽は、来たる3月25日(現地時間)にリリースが決定したNIGO®️のニューアルバム『I Know NIGO』に収録される楽曲であり、今回のショーはそのお披露目の意味もあったようだ(*『I Know NIGO』の参加アーティストはこちら)。
本コレクションでは、ストリートウェアやワークウェアなどをベースに、高田賢三のアーカイブを再解釈。例えば1970年代に〈KENZO〉が発表したフラワープリントは、マウンテンパーカーやスカーフ、バッグ、シューズなどに用いられている。その他には高田氏が遺したスケッチを全面的にプリントしたグラジュエーションジャケット、ポピーの花を配したウエスタンシャツ、日本とフランスの地図が刺繍されたスーベニアジャケット、デニムのカバーオール、ハリスツイードのオーバーコート、チェックスーツなど、メゾンのヘリテージとNIGO®️自身のシグニチャーを融合させたアイテムが並ぶ。また、陶芸家 藤村州二が描いた赤絵をプリントしたアイテムや作務衣など、和の要素を取り入れたピースもモダンな仕上がりに。足元はワークブーツやサイドゴアシューズなどが中心となり、スニーカーは1点もない。また、コラボレーションアイテムも今回は一切なしという潔さ。メゾンのコードを深く理解し、NIGO®️のフィルターによって現代性を獲得した新生〈KENZO〉コレクションは、“ストリート”と“ラグジュアリー”という概念の間で揺れる現在のファッション界に対する、1つの回答となったと言えるだろう。