史上最も豪華だった2021年夏の欧州移籍市場を振り返る
ロナウド、メッシ、J・グリーリッシュ、ルカク 、ドンナルンマ、そして多くの日本人プレーヤーまで、新天地へと旅立った注目選手をまとめてチェック

欧州フットボールの5大リーグは8月中旬より2021-22シーズンの幕を開け、日本在住のサポーターの皆様は毎週末、眠い目をこすりながら画面の前で贔屓のクラブの応援に熱を入れているだろう。そして、開幕から少々日が経った8月31日(現地時間)、今シーズンの行方を左右する夏の移籍市場が幕を閉じた。
今シーズンは昨シーズンに引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から大枚をはたいて選手を獲得するクラブは少なくなったものの、Jack Grealish(ジャック・グリーリッシュ)はイングランド史上最高額となる1億ポンド(約152億円)の移籍金でマンチェスター・シティに加入し、Romelu Lukaku(ロメル・ルカク)も9,800万ポンド(約148億円)の移籍金で7年ぶりにチェルシーへと復帰。また、Lionel Messi(リオネル・メッシ)がバルセロナの不手際からパリ・サンジェルマン(PSG)へとサプライズ移籍したかと思えば、Cristiano Ronaldo(クリスティアーノ・ロナウド)はマンチェスター・ユナイテッドに電撃復帰したりと、例年にもましてビッグネームの往来が相次いだ。さらには、リスク覚悟でステップアップを決めた若手から、“禁断の移籍”に踏み切ったエース、新天地を求めて退団するベテランまで、ある者に言わせれば“史上最も豪華だった移籍市場”となった。
そこで本稿では、数百を超える移籍の中から注目選手を豆知識と共にピックアップ。情報過多のこの時代だからこそ見過ごしていた移籍もあるはずなので、是非以下より振り返っていただきたい。
Cristiano Ronaldo(クリスティアーノ・ロナウド)
移籍先:マンチェスター・ユナイテッド
移籍元:ユヴェントス
備考:完全移籍。マンチェスター・シティへの移籍が噂される中、恩師 Alex Fergusonからの電話で12年ぶりの復帰を決意。
Lionel Messi(リオネル・メッシ)
移籍先:パリ・サンジェルマン
移籍元:バルセロナ
備考:完全移籍。PSGでの背番号は“30”で、“10”以外を背負うのは2007-08シーズン以来初めて。
Sergio Ramos(セルヒオ・ラモス)
移籍先:パリ・サンジェルマン
移籍元:レアル・マドリード
備考:完全移籍。レアル・マドリードには16年間在籍し、“純粋なDF”としてクラブ初の100ゴールを達成。
Sergio Agüero(セルヒオ・アグエロ)
移籍先:バロセロナ
移籍元:マンチェスター・シティ
備考:完全移籍。マンチェスター・シティを44シーズンぶりのプレミアリーグ優勝へと導いた1点をはじめ、“同リーグで最も多くのゴールを記録した外国人選手”。
Jack Grealish(ジャック・グリーリッシュ)
移籍先:マンチェスター・シティ
移籍元:アストン・ヴィラ
備考:完全移籍。代々アストン・ヴィラのサポーターである家に生まれ、高祖父はリーグ得点王にも輝いたクラブのレジェンド Billy Garratyだけに個人的には物悲しい移籍。
Antoine Griezmann(アントワーヌ・グリーズマン)
移籍先:アトレティコ・マドリード
移籍元:バルセロナ
備考:期限付き移籍。アトレティコ・マドリードはバルセロナから前線の選手を獲得するとリーグ優勝するジンクスがあるものの、Griezmannのいるクラブは優勝できないというジンクスもあるが果たして……。
Romelu Lukaku(ロメル・ルカク)
移籍先:チェルシー
移籍元:インテル
備考:完全移籍。もともとチェルシーに所属し2011年8月にデビューを飾っていたが、移籍を繰り返していたため同クラブでの初ゴールまでに9年360日も掛かった。
Gianluigi Buffon(ジャンルイジ・ブッフォン)
移籍先:ユヴェントス
移籍元:パルマ
備考:完全移籍。父親は砲丸投、母親は円盤投、姉2人はバレーボールのオリンピック選手というアズーリ(イタリア代表の意)一家の長男が、20年ぶりに古巣に復帰。
David Alaba(ダヴィド・アラバ)
移籍先:レアル・マドリード
移籍元:バイエルン・ミュンヘン
備考:完全移籍。ヒップホップ界隈ではTyler, the Creatorに激似と話題で、父親はナイジェリアのレゲエ・レジェンド Majek Fashekとも協業経験のあるDJ George Alaba。
Memphis Depay(メンフィス・デパイ)
移籍先:バルセロナ
移籍元:オリンピック・リヨン
備考:完全移籍。Depayは浮気して蒸発した父親のラストネームであることから、ユニフォームにはファーストネームのMemphisが印字されている。
Gianluigi Donnarumma(ジャンルイジ・ドンナルンマ)
移籍先:パリ・サンジェルマン
移籍元:ACミラン
備考:完全移籍。17歳6カ月でイタリア代表デビューや19歳49日でセリエA100試合出場達成など、GKとして数々の史上最年少記録を持つ逸材。
Jadon Sancho(ジェイドン・サンチョ)
移籍先:マンチェスター・ユナイテッド
移籍元:ボルシア・ドルトムント
備考:完全移籍。2004-05シーズンにFrank Lampardが記録した18アシスト以来、英国人選手として初めて欧州5大リーグで15アシスト以上を挙げた21歳。
Eduardo Camavinga(エドゥアルド・カマヴィンガ)
移籍先:レアル・マドリード
移籍元:レンヌ
備考:完全移籍。Kylian Mbappéをも越える“フランスの超新星”と期待される18歳で、過去に家が火事に遭い身分を証明するものを全て焼失したことがある。
Georginio Wijnaldum(ジョルジニオ・ワイナルドゥム)
移籍先:パリ・サンジェルマン
移籍元:リヴァプール
備考:完全移籍。南野拓実がリヴァプールに加入した際に真っ先に話し掛けるなど、いつも笑顔の絶対にいいヤツ。
Ibrahima Konaté(イブラヒマ・コナテ)
移籍先:リヴァプール
移籍元:RBライプツィヒ
備考:完全移籍。ブンデスリーガ屈指のセンターバックとして評価された22歳が、リヴァプール唯一の新戦力として加入。
Martin Ødegaard(マルティン・ウーデゴール)
移籍先:アーセナル
移籍元:レアル・マドリー
備考:完全移籍。16歳でレアル・マドリードに加入し、代表デビューは同国史上最年少の15歳という“ノルウェーの元神童”。
Raphaël Varane(ラファエル・ヴァラン)
移籍先:マンチェスター・ユナイテッド
移籍元:レアル・マドリード
備考:完全移籍。ベテランのような冷静沈着なプレースタイルから、フランス代表の同僚 Paul Pogbaに“ジジイ”と呼ばれている(現在28歳)。
Eric García(エリック・ガルシア)
移籍先:バルセロナ
移籍元:マンチェスター・シティ
備考:完全移籍。4年ぶりにバルセロナに復帰し、20歳という将来性が見込まれ契約解除金は驚愕の4億ユーロ(約535億9,000万円)に設定。
Achraf Hakimi(アクラフ・ハキミ)
移籍先:パリ・サンジェルマン
移籍元:インテル
備考:完全移籍。移籍発表直後、代理人に下部組織時代から2020年まで所属していたレアル・マドリードへの復帰を夢見ていることを暴露される。
Hakan Çalhanoğlu(ハカン・チャルハノール)
移籍先:インテル
移籍元:ACミラン
備考:完全移籍。まさかの背番号 “10”によるACミランからインテルへの“禁断の移籍”は、元イタリア代表 Antonio Cassano以来9年ぶり。
Dayot Upamecano(ダヨ・ウパメカノ)
移籍先:バイエルン・ミュンヘン
移籍元:RBライプツィヒ
備考:完全移籍。移籍市場が開くたびにビッグクラブへのステップアップが予想されてきた22歳が、ついにドイツ最強軍団に引き抜かれる。
André Silva(アンドレ・シルバ)
移籍先:RBライプツィヒ
移籍元:フランクフルト
備考:完全移籍。Cristiano Ronaldoに後継者として指名されるも数年伸び悩んでいたが、昨シーズンはリーグ戦28ゴールと開花した25歳のアタッカー。
Saúl Ñíguez(サウール・ニゲス)
移籍先:チェルシー
移籍元:アトレティコ・マドリード
備考:期限付き移籍。移籍期間終了の数分前まで契約が交わされず、本人は移籍を諦めていたそう。
Ben White(ベン・ホワイト)
移籍先:アーセナル
移籍元:ブライトン
備考:完全移籍。2019-20シーズンにリーズへレンタルされると17年ぶりのプレミアリーグ昇格に大きく貢献し、シーズン終了後に5歳のリーズファンの男の子からブライトン宛に残留を嘆願する手紙が送られたことがある。
Olivier Giroud(オリヴィエ・ジルー)
移籍先:ACミラン
移籍元:チェルシー
備考:完全移籍。フランス代表として歴代2位の得点数を誇るも実力を低く見られがちな、現代で最も過小評価されているストライカーの1人。
Edin Džeko(エディン・ジェコ)
移籍先:インテル
移籍元:ASローマ
備考:完全移籍。ブンデスリーガ、プレミアリーグ、セリエAという“3つのリーグで50ゴールを挙げた史上初の選手”で、彼もまた現代で最も過小評価されているストライカーの1人。
Manuel Locatelli(マヌエル・ロカテッリ)
移籍先:ユヴェントス
移籍元:サッスオーロ
備考:期限付き移籍。幼少時からユヴェントスのオタクで、「UEFA EURO 2020」での活躍が認められ念願の移籍。
Steven Berghuis(ステフェン・ベルフハイス)
移籍先:アヤックス
移籍元:フェイエノールト
備考:完全移籍。昨シーズン31試合18得点14アシストを記録した背番号 “10”のキャプテンが、まさかの“禁断の移籍”を決断。
Miralem Pjanić(ミラレム・ピャニッチ)
移籍先:ベジクタシュ
移籍元:バルセロナ
備考:期限付き移籍。“ユヴェントスの心臓”とまで言われた男は鳴り物入りでバルセロナに加入するも、構想外となりわずか1シーズンで放出される。
冨安健洋
移籍先:アーセナル
移籍元:ボローニャ
備考:完全移籍。“日本代表史上最高傑作”と称されるDFが、日本人の鬼門である名門に挑戦。
久保建英
移籍先:マジョルカ
移籍元:レアル・マドリード
備考:期限付き移籍。20歳にしてラ・リーガ4度目の移籍で、マジョルカには2シーズンぶりの復帰。
古橋亨梧
移籍先:セルティック
移籍元:ヴィッセル神戸
備考:完全移籍。セルティック移籍直後からゴールを量産したため、一時的にスコティッシュ・プレミアリーグとJリーグの得点ランキングで同時にトップになる珍事が発生。
大迫勇也
移籍先:ブレーメン
移籍元:ヴィッセル神戸
備考:完全移籍。代えのきかない日本代表FWが来年に迫る「2022 FIFAワールドカップ カタール」を見据え、7年半ぶりに国内復帰。
酒井宏樹
移籍先:浦和レッズ
移籍元:マルセイユ
備考:完全移籍。イギリスメディアの選ぶ“21世紀の日本代表ベスト11”にも選ばれた名手が、9年ぶりにJリーグ挑戦。
三笘薫
移籍先:ブライトン
移籍元:川崎フロンターレ
備考:完全移籍。移籍金はJリーグから海外に渡ったケースでは史上最高額となる推定300万ユーロ(約3億9,000万円)だが、労働許可証の関係でベルギーのロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズにローン。
板倉滉
移籍先:マンチェスター・シティ
移籍元:シャルケ04
備考:期限付き移籍。2019年にマンチェスター・シティ初の日本人選手として加入したが、労働許可証の関係で出場機会はゼロ。
食野亮太郎
移籍先:マンチェスター・シティ
移籍元:GDエストリル・プライア
備考:期限付き移籍。江戸時代の豪商・食野家の末裔で、その名前から“日本のMessi”と呼ばれることがある。
原口元気
移籍先:ウニオン・ベルリン
移籍元:ハノーファー
備考:過去にヘルタ・ベルリンにも所属していたことから、“ベルリンの壁崩壊以降、初めてヘルタとウニオンの両方でプレーした選手”に。
岡崎慎司
移籍先:カルタヘナ
移籍元:ウエスカ
備考:完全移籍。日本フットボール史に残る35歳のレジェンドFWは、スペイン2部のクラブからスペイン2部のクラブへと身を移す。
宮市亮
移籍先:ザンクトパウリ
移籍元:横浜F・マリノス
備考:完全移籍。18歳でアーセナルに移籍するも度重なる大怪我に泣いた“ガラスの天才”が、11年ぶりに日本のピッチを駆け巡る。
乾貴士
移籍先:セレッソ大阪
移籍元:エイバル
備考:完全移籍。2020年12月にアジア国籍の選手では歴代1位となるラ・リーガ最多出場数を記録するも、エイバルが2部に降格したことで10年ぶりにセレッソ大阪に帰還。
武藤嘉紀
移籍先:ヴィッセル神戸
移籍元:ニューカッスル・ユナイテッド
備考:完全移籍。セルティックへと旅立った古橋亨梧に代わる形で心機一転、6年ぶりにJリーグへ舞い戻る。
安西幸輝
移籍先:鹿島アントラーズ
移籍元:ポルティモネンセ
備考:完全移籍。2年ぶりに鹿島アントラーズへと復帰し、内田篤人から譲り受けた背番号 “2”を背負う。
鈴木輪太朗イブラヒーム
移籍先:バレンシア
移籍元:徳島ヴォルティス
備考:期限付き移籍。ガーナ人の父親と日本人の母親を持つ身長192cmの18歳が、スペインの名門にまさかのステップアップ。
Carol Farrell(キャロル・ファレル)
所属元:リヴァプール
備考:契約延長。今回の移籍市場でリヴァプールは先述のIbrahima Konatéしか補強しなかったが、食堂で選手を胃袋から支えるおばちゃんと新たに5年契約を結ぶ。