DaBaby が HIV 感染者や同性愛者への差別発言によってこれまでのキャリアを台無しに
デュア・リパをはじめとする多くのアーティストや業界関係者から非難が殺到

音楽ストリーミングサービス『Spotify(スポティファイ)』が発表した2020年における“世界で最も再生された楽曲”でRoddy Ricch(ロディ・リッチ)とのコラボ曲 “Rockstar”が第6位にランクインし、また本稿執筆時点でアーティストとしての再生回数が世界第11位を誇り、名実ともに2020年代を代表するラッパーとなったDaBaby(ダベイビー)が、自らの失言によってこれまでのキャリアを台無しにしようとしている。
7月25日(現地時間)、アメリカ・フロリダ州マイアミで開催された音楽フェス「Rolling Loud Miami」に出演したDaBabyは、ライブ中に「今日、HIVやエイズ、それか2~3週間で死ぬような性感染症にかかってない奴は携帯のライトを空にかざせ!駐車場で他人の性器を咥えてるような奴じゃないなら携帯のライトを空にかざすんだ!」と観客に向かって煽るように言い放った。この彼のHIV感染者や同性愛者への差別発言は、その場にいた観客によってSNSに投稿され、瞬く間に拡散された。その後、彼は世界中から多くの批判を受けることに。
ライブの翌日、DaBabyは自身の発言について「当日その場にいなかった奴らには関係ない」とし、『Instagram』のストーリー上で以下のようなコメントを公開した。「ゲイかストレートかに関わらず、全ての(観客の)携帯のライトが空にかざされたんだ。どうしてかわかるか?俺のゲイのファンはエイズになんてかかってないんだよ。彼らはちゃんと自分の身を守ってる。汚らわしいゲイじゃないんだ。俺が言ってることわかるか?彼らはストリートにいるジャンキーのような奴らじゃない」
この一連の発言に対し、多くの著名人からDaBabyへの批判が殺到。同性愛者であり、HIV/エイズ患者への支援も積極的に行なっているイギリス人アーティストのElton John(エルトン・ジョン)は「先日のDaBabyのショーで、HIVへの誤った認識や、同性愛者/HIV感染者に対する差別的発言があったことを知り、大変ショックを受けています。これでは差別や偏見を助長するだけで、世界がエイズを無くすため、そのエピデミックと闘うための行動とは真逆です。(中略)我々が必要としているのは通説や偏見を壊すことで、それを煽ることではありません」という声明を公開した。
(1/5) We've been shocked to read about the HIV misinformation and homophobic statements made at a recent DaBaby show. This fuels stigma and discrimination and is the opposite of what our world needs to fight the AIDS epidemic.
The facts are: pic.twitter.com/MqCv3vWiz2— Elton John (@eltonofficial) July 28, 2021
また、昨年発表したアルバム『Future Nostalgia』の収録曲 “Levitating”でDaBabyと共演しているDua Lipa(デュア・リパ)も、以下のようなコメントを発表している。「DaBabyの発言に驚き、恐ろしく感じています。私が一緒に仕事をした人と同じ人物だとは思えません。私の心がLGBTQコミュニティとともにあり、100%彼らの味方だということを(私の)ファンは理解してくれているはずです。私たちは団結し、HIV/エイズにまつわる社会的な偏見や無知と闘わなくてはなりません」。彼女に続き、Madonna(マドンナ)も彼の発言に対する批判を行なっている。
これらの報道を受けて、シカゴの音楽フェス「Lollapalooza」は急遽DaBabyのパフォーマンスを中止に。また、ニューヨークとラスベガスでDaBabyが出演予定だったイベントも彼をラインアップから外す旨を表明。その後、彼を出演NGとするイベントの運営組織やプロモーターの発表が相次いだ。さらに、ファッションブランド〈boohooMAN〉もDaBabyとのパートナーシップ契約を解消することを発表した。
各方面からの意見に対し、DaBabyは「エイズやHIVを患ったことがある人たちは俺のコメントに怒る権利があるし、誰かの気分を害するつもりはなかったけど、俺の発言は無神経だった。だから謝るよ。でもLGBTQ+コミュニティに関しては……俺は変なことは言ってないぜ。君たちがしたいようにすればいいさ。君たちの問題は、君たちのことだから」と謝罪したが、さらに批判を受けることに。その後、最終的に以下のようなコメントを公開している。「LGBTQ+コミュニティに、自分の不快な発言について謝罪したいと思う。繰り返しになるけど、HIV/エイズについての誤った発言についても。また、この事に関する教育が重要であることも理解してるよ。みんなに愛を。神のご加護を」