ジョージ・フロイドの殺害事件の一部始終を撮影した少女がピューリッツァー賞の特別賞を受賞
「彼女が記録した映像は、この時代における最も重要な公民権文書の1つです」

6月11日(現地時間)、アメリカにおける報道や文学、音楽などの分野でその年の優れた功績に対して贈られるピューリッツァー賞(Pulitzer Prize)の2021年の授賞式がオンラインで行われた。受賞者には『The New York Times』などの歴史ある報道機関が名を連ねる中、特別賞を若干18歳の少女が受賞したことが大きな話題を呼んでいる。
この女性 Darnella Frazier(ダーネラ・フレイジャー)は、昨年5月25日(現地時間)にミネソタ州ミネアポリスで起きたアフリカ系アメリカ人男性 George Floyd(ジョージ・フロイド)の殺害事件の現場に偶然居合せ、警察による暴力の一部始終をスマートフォンで撮影した。彼女が記録した9分29秒におよぶ動画はSNSなどで瞬く間に拡散され、その後世界中に拡がることになる“Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)”を掲げた人種差別に反対する抗議運動が発生するきっかけとなった。
同賞の選考委員会はFrazierの受賞理由について「彼女が勇気を持ってGeorge Floydの殺人事件を記録した動画は、警察の残虐行為に対する抗議運動を世界中で引き起こし、ジャーナリストが真実と正義を探究する上で市民が果たす重要な役割を浮き彫りにしました」と述べている。受賞後、Frazierは同事件を記録したことは自身にとって“人生を変えるようなトラウマ”になったが、自ら(の行動)を誇りに思うと語った。また、彼女の行動にはJoe Biden(ジョー・バイデン)大統領や映画監督のSpike Lee(スパイク・リー)などの多くの有名人から賛辞が贈られている。アメリカの著名なジャーナリスト Ann Marie Lipinski(アン・マリー・リピンスキー)は同賞の発表後、以下のような言葉をFrazierに贈っている。「彼女が記録した映像は、この時代における最も重要な公民権文書の1つです」
2021年のピューリッツァー賞の全受賞者のリストはこちらでご確認を。