現代アーティスト 松山智一が日本では3年ぶりとなる個展 “Boom Bye Bye Pain” を開催

会期は7月10日(土)まで

アート
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アメリカ・ニューヨークを拠点に活動する現代アーティスト 松山智一の日本では3年ぶりとなる個展 “Boom Bye Bye Pain”が、東京・六本木のアートギャラリー『KOTARO NUKAGA』にて開催中。会期は7月10日(土)まで。

約15点の新作が発表される今回のエキシビション。「どのような環境に置かれても生き残っていかなければならない、人間の根源的な営みと向き合いながら制作に取り組んできた」と松山氏と語る。本展を代表する作品となるのは“Spiracles No Surprises”。これは馬に乗る人物が旗を持ち、もう1人が行く先を示す、松山氏の代表的モチーフである騎馬像のシリーズ。強者や支配者の象徴として描かれてきた騎馬像を、鮮やかな色彩と古今東西の装飾柄や抽象的な表現で描くことによって、そのモチーフに込められた権威性を解体し新たな意味を与えている。

展覧会タイトルの“Boom Bye Bye Pain”は、1992年にリリースされたBuju Banton(ブジュ・バントン)のポップレゲエソング “Boom Bye Bye”と“Pain”という2曲のタイトルを融合したもの。“Boom Bye Bye”というスラングは、アフリカ系アメリカ人たちがゲイの人々に発した差別的なメッセージの意味もあり、発表当時は物議を醸した。マイノリティが自己肯定のために別のマイノリティを否定するという構造は、松山氏自身が人種差別を受けながらもアメリカ社会の中でアーティストとして活動する上で直面する環境であり、痛み=Painを感じつつも“生”を実感させる現実だという。個展開催にあたり、松山氏は以下のようにコメントしている。

私自身もニューヨークでの活動を行う上で、マイノリティ同士の小競り合いの中を生き抜いてきて、今があります。襲われたり、時には銃口を突き付けられることもありましたが、制作活動をするうえでこのような熾烈な生活環境は不可避なリアリティでした。ただ、そうした鮮烈な経験は、今では自分にとって財産となり、ニューヨークで芸術家として生きていく上で、折れない 指針、原動力とさえなりました。人々がもつ様々な背景という差異の中から生まれるその痛み、“Pain”こそ人間の生きる上での証であると感じます。またそうした経験があったからこそ、生き抜くという人間の根底と向き合いながら創作活動に励んでこられました。自分の存在とは何か?自分はだれなのか?我々はだれなのか?芸術において“生と死”という概念は時代を問わず描かれ続けたテーマであり、存在意義を確認することは現代に生きる 私たちにとってもなお、この根源的な命題に直結しています。私は創作を続ける上で、私にとっての生きること(創作を続けること)への意味を模索しつづけてきました。タイトルが表す意味とはパラドキシカルに聞こえるかもしれませんが、私にとりこの展覧会はポジティブな問いを内包しており、我々の存在意義をなぞるきっかけのひとつになればと思っています

松山智一 “Boom Bye Bye Pain”

会場:KOTARO NUKAGA
住所:〒106-0032 東京都港区六本木 6-6-9 ピラミデビル 2F
会期:5月22日(土)〜7月10日(土)
開廊時間:11:00〜18:00(日月祝休廊)
※国や自治体の要請等により、日程や内容が変更になる可能性があります

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