Sole-Searching : Nike Mag 特集
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』でマイケル・J・フォックスが履いていた伝説の1足

毎月1足、歴代の名作スニーカーの歴史を紐解く企画 “Sole-Searching”。今月は2011年のレプリカシューズ発売から10年が経ったあのNike Mag(ナイキ マグ)をご紹介したい。
〈Nike(ナイキ)〉史上最も異彩を放つ1足であるNike Magは、元々1989年公開の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』で、Michael J. Fox(マイケル・J・フォックス)扮する主人公のマーティ・マクフライが未来の靴として着用したスニーカー。デザインは泣く子も黙るTinker Hatfield(ティンカー・ハットフィールド)が手掛けている。同作でマクフライの履く〈Nike〉のシューズが自動でシューレース部をフィットさせるシーンは印象的だが、これを再現するためか〈Nike〉は2008年にオートレーシングシステムの特許を申請。2011年にリリースされた最初のレプリカ版には自動レーシングシステムは搭載されていなかったものの、『ebay』で1,500足がオークションにかけられ、総売上の約470万ドル(約5億4,200万円)がFox主宰の財団「Michael J. Fox Foundation」に寄付された。ちなみに最高額で落札されたのは、ゴールデンサイズのUS10(28cm)で9,959ドル(約103万円)だったという(詳細についてはこちらから)。
2011年版に少しガッカリしたファンもいたかもしれないが、そこから4年が経ち、現実が劇中の設定に追いついた2015年10月21日(現地時間)。〈Nike〉は遂に自動で靴ひもを調整する“Power Laces”システムを搭載した新たなNike Magを公式発表した。Michael J. Foxも『Twitter』や人気番組『Jimmy Kimmel Live!』に主演した際に同モデルを番組内でお披露目。このNike Magに採用されたシステムは、その後発売となったHyperAdapt 1.0.用に開発された足の形状に合わせ機能する“E.A.R.L.(自動シューレース調整システム)”の原型と言われている。
Michael J. Fox models the first self-lacing @Nike Mag pic.twitter.com/bgPWM5CKBE
— michaeljfox.org (@MichaelJFoxOrg) October 21, 2015
余談にはなるが、劇中の未来として設定された2015年を振り返ってみると、当時カリスマ性マックスだったKanye West(カニエ・ウェスト)の影響もあって〈adidas(アディダス)〉からリリースされたUltra Boost、Yeezy 750 Boost、Yeezy Boost 350がシーンを席巻。ラグジュアリーブランドのスニーカーも人気を博していたため〈Nike〉は苦戦を強いられた時代だったと言える。
“Power Laces”システムを備えたNike Magの発表から、さらに1年経った2016年10月にようやく同モデルが販売される運びに。2011年モデルよりはるかに少ない、わずか89足という超希少なスニーカーは84足(US7=11足、US9=22足、US11=33足、US13=18足)が抽選販売、4足がオークション形式で販売された。抽選は1回につき10ドルで応募できる方式を採用し、オークションは香港、ロンドン、ニューヨークで開催。香港でのオークションでは約10万ドル(約1,070万円)で、ロンドンでは56,000ドル(約646万円)で、そして最後のニューヨークでは20万ドル(約2,150万円)という驚きの価格で落札された。抽選応募で集まった金額とオークションの販売売上の全てが前回と同じく「Michael J. Fox Foundation」に寄付され、パーキンソン病の研究のために充てられた。