数千円でセールに出されていたデッサン画に約57億円の価値があることが発覚
ドイツ・ルネサンス期を象徴する芸術家 アルブレヒト・デューラーの全く知られていなかった作品
先日、世界に7つしか現存しない中国・明時代の茶碗がガレージセールで発見されたように、思いがけない場所であるはずのないモノが見つかることがしばしばあるが、またも埋もれていた芸術作品が発見されたというニュースが舞い込んできた。
アメリカ・マサチューセッツ州のボストンに住む匿名男性は2016年、『Smithsonian Museum(スミソニアン博物館)』の建築にも携わった建築家 Jean-Paul Carlhian(ジャン・ポール・カーリアン)のエステートセール(プロと共に行う生前・遺品整理セール)にてモノクロのデッサン画を30ドルで購入。この時点で彼はこの絵画が、ドイツ・ルネサンス期を象徴する芸術家 Albrecht Dürer(アルブレヒト・デューラー)の作品であると睨み、真贋を問うため複数の学芸員に鑑定を依頼するも拒否される事態に。その後、アートディーラー『Agnews Gallery』のオーナー Anthony Crichton-Stuartがこの絵の存在を偶然聞きつけ、実物を見たところ「史上最高の傑作か、贋作のどちらか」と感じ500ドルで購入。そして、『British Museum(大英博物館)』やさまざまな専門家が数年かけて鑑定した結果、Dürerの本物の作品であることが判明したのだ。
“The Virgin and Child with a Flower on a Grassy Bank”と名付けられたこの作品は、Dürerの代表作の1つである水彩画 “The Virgin with a Multitude of Animals(多くの動物といる聖母子)”の下絵だと考えられ、存在が全く知られていなかったことから約5,000万ドル(約57億円)の価値があるとみられているとのこと。
ちなみに、Dürerの作品は過去にもフランスの蚤の市にて販売されていたことがあり、70年近く行方不明だった作品だと気付いた元考古学者の男性が数百円で購入し美術館に寄付していた。