NEXUSⅦ. デザイナー 今野智弘とモデル miu がデニムブランド Wranglerの魅力に迫る

確固たるスタイルを持つ両者のこだわりのデニムスタイルを紹介

ファッション 

創業から100年以上の歴史を誇り、揺るぎない王道デニムブランドとして愛され続けている〈Wrangler(ラングラー)〉。本稿では同ブランドの魅力をより深く熟知するため〈NEXUSVII.(ネクサスセブン)〉のデザイナーである今野智弘と、モデルや女優として活躍する東京のファッション・カルチャーアイコンである miuによる特別インタビューをお届けしたい。確固たるスタイルを持った両者によるこだわりのデニムスタイルを参考に、自身のワードローブにも〈Wrangler〉のアイテムを取り入れてみてはいかがだろうか。

今野智弘

業界きってのヴィンテージ好きとしても知られる今野智弘。自身が手がけるブランド〈NEXUSⅦ.〉のデザインでもヴィンテージの服から学ぶことはとても多いという。本稿では、そんな同氏のヴィンテージコレクションの中でも、特別な逸品であるという〈Wrangler〉のジャケットをご紹介。

このジャケットについて教えてください。

ヴィンテージマニアの中では、幻のジャケットと言われている66MJZです。ロデオ大会のレフェリー用に作ったんじゃないかと言われていて、チャンピオン用に作られた赤の12MJZやサックスブルーの22MJZ、ベージュの33MJZと種類がある中で、このブラックは66MJZという珍しいジャケットなんです。憧れのモデルとしてずっと探していた中、10年前くらいにこれを持っていた友人から譲ってもらったんです。Wranglerのヴィンテージはタイトなサイズが多い中、若干オーバーに着れるサイズ42もかなり珍しいと思います。

このジャケットに惹かれた理由はなんですか?

存在自体は、昔『BOON』などの雑誌で読んだ情報で、刺繍が入った赤のチャンピオンジャケットがナンバー1なんだって思っていたんですが、そこから探しているうちに実は幻の黒が存在することを知ったんです。この形自体がすごく好きで、実際に着てみると、着丈のバランスやハンドポケットも使いやすく、復刻もしていて人気になっているように、すごく着やすいジャケットなんです。現代の復刻は技術がある分、物持ちが良いけれど、これは1950年代のもので、今よりも技術が発達していない分、染色だったり縫製にアジが出る。ステッチも現代の強度なコアスパンと違い、綿糸で縫製されていることで、ダブルステッチの部分も両側で痩せ方が違ったり、所々糸が切れていたり。自分はそういう部分が好きですね。

当時、レフェリー用に作ったモノが、約70年経った今でもデザインとして優れているというのがすごいですよね。

いろんなGジャンを見てきたけれど、Wranglerのこの形が秀逸だなと思いました。ボタンではなくジップというのも良いですね。ジップのジャケットって意外と難しくて、丈があと1,2cm短いとバランスがまた違って見えてきたり、ボタンと違って丈が短いと合わせ辛くなる。そういう細かいところまで考えられているんです。また、Wranglerで1つ思い出があって。アメリカ最古の木版で刷る『ハッチ・ショー・プリント』というお店がアメリカ・テネシー州のナッシュビルにあり、NEXUSⅦ.のポスターを作るために飛行機を乗り継いで行ったことがあります。数日滞在したんですが、そこはカントリーな街で、古着屋とかスリフトのお店にWranglerのバナーやアイテムが誇らしげに飾ってあったことが印象的でした。最近だと映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で Brad Pitt(ブラッド・ピット)が着ていたり、アメリカでは文化的にWranglerが直結している感じがしますよね。

これを着る時はどういうコーディネートをすることが多いですか?

褪色していることが伝わるように中に白を合わせたり。50年代の感じを出すためにピンクを入れたりすることが多いですね。ヴィンテージ用語では、黒にピンクで黒ピンとか、グレーにピンクでグレピンと言われますが、50年代の象徴的なカラーを表すことに学生時代は憧れていました。僕たちよりも上の世代が、50年代の黒ピンのアロハシャツを大事に着ていたりしてカッコイイなと思っていましたね。でも自分は、ロカビリーの分かりやすいリーゼントみたいなスタイルではなかったから、自分なりに崩して、カラーリングだけを取り込んだりしていました。そのおかげで、今でもピンクが好きでNEXUSⅦ.でもよく使用するんだと思います。

現行のアイテムに関してはどう見ますか?

見た目の良さを重視したスタイリッシュなバランスがWranglerの魅力だと思っていて、形そのものがブランドの象徴であるから、生地を現代的に置き換えた今のモノも良いと思います。でも僕は、着込んでボロボロになったものが好きですね。高校生の時も、色落ちをさせるために、制服の中にいつもGジャンを着ていました。最近、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響もあって、長く使えるモノ、経年変化を楽しめるモノに対してより魅力に感じれるようになりました。自分のブランドでも型数を半分以上に減らして、必需品である洋服の要素を追求していったんです。リペアをして長く持つモノとか長く楽しめるモノ。こういうヴィンテージも、前の人が大事にしてきたから、こうやって自分の手に渡っているからであって、Wranglerのように受け継がれていく服をこれからはより意識していきたいと思っています。

miu

ハイファッションからストリートまで、日々モデルとして様々なジャンルの洋服に袖を通すmiu。そんな彼女も、普段のスタイルはワークをベースとした着こなしが多いようだ。プライベートでは、愛犬のしげるを散歩するのが日課。この撮影時もしげるの散歩をしながら、いつも通りのコーディネート感で出演してくれた。国内外のファッション誌をはじめ、広告のモデルや、映画の出演などで存在感を増し続けるmiuが意識するデニムやファッションのスタイルとは。

最近はどういうファッションスタイルが気分ですか?

機能性のあるもので、生活感が出るものが好きです。あまり決めすぎていないラフな感じですかね。素材が良いものだったり、ハイエンドな服も勿論好きで、TPOに合わせてお洒落をする日もあるんですが、普段はワークモノのような着る人によって見え方が変わるものを着ることが多いです。生活感とか人間らしさというのが好きなんです。

意外な視点ですね(笑)

古着も、おじいちゃんが着ていたんだろうなっていうものを着ると、その人の人生とかを背負ったり引き継いだりする感じがして興奮するんですよ(笑)。街を歩いていても、ポケットがいっぱい付いている服とかを見ると「その服どこで買ったんですか?」って聞くくらいときめきます。

ファッションの参考として、映画や写真集、ミュージシャンから影響を受ける人が多いと思いますが、そういう生活感溢れるものというのは面白いですね。今日のコーディネートもそんなイメージがありますか?

そうですね。いつも通りの公園に散歩する時のコーディネートです。でも、そういった映画や音楽、本からスタイルの影響を受けることはもちろん多いですよ。例えば、今日、ハンチングを被っているのもその1つです。18世紀末に起こったフランス革命によって、それまで高価なファッションをしていた上流階級の人たちが、カントリースタイルを取り入れ出したり、乗馬を趣味にする中で激しい動きに合うようにハンチングが流行したというのを歴史で知ったり。そういう必要性が当時、お洒落の中で取り入れていたんだって思うと、今日履いているWranglerはカウボーイの為に生まれたデニムという繋がりや自転車に乗って犬の散歩に行くような生活に当てはまると思って、ハンチングを合わせたんです。

今日履いているWranglerの感想は?

ヒップのハマりがすごく良く、センタープレスが入っていることで品の良さが魅力だなと思います。丈も短くてブーツと合わせやすいところも良いですね。私はロックが好きで、スキンズのスタイルのように夏、どれだけ暑くてもブーツを履くような格好が憧れています。そういうスタイルにもこのデニムはハマるんだろうなと思いました。

普段からデニムは履きますか?

ほぼデニムですね。太いのも、スキニーも、ケミカルやダメージも良く履きます。履けば履くほど自分の形にハマっていくし、裾がほつれてきたり、ポケットに入れた財布の跡とか、生活感が出てきて愛着が強くなっていくのがデニムの魅力です。

それも着る人によって変わる魅力ですね。

同じものでも着る人によって、その人が好きな音楽だったり、生活の一部が服を通して表れるじゃないですか。モデルの仕事でも服で主張というよりは、服を通して自分が表れると良いなと思っています。人間性が出るのが面白いし、そういう自分らしさが出やすいのがデニムだったり、Tシャツだったりするのかな。だから大切な服は簡単には手放せないですよね。カルチャーとか音楽で服を着ている感じをこれからも意識していきたいです。そういえば、こないだ親に連絡をした時にWranglerの話になったんです。親も過去に映画『アウトサイダー』とか『スタンドバイミー』を観た影響で、Wranglerを着ていたりしたそうで。そうやって服を通して好きなカルチャーが親と繋がっているということが、改めて面白いなと思いました。

『HYPEBEAST』がご紹介するその他のファッションニュースの数々もお見逃しなく。

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インタビュアー
Takayasu Yamada / Thousand
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