ロックンロールの先駆者 Little Richard が死去
享年87歳
5月9日(現地時間)、ロックンロールの先駆者の一人でシンガーのLittle Richard(リトル・リチャード)が87歳で亡くなった。彼は2カ月前から病床にあり、家族に囲まれて自宅で息を引き取ったという。死因は癌だった。
1932年12月5日にアメリカ・ジョージア州メイコンで12人の子供のうちの1人として生まれたRichard Wayne Penniman(リチャード・ウェイン・ペニマン)は、幼いときから教会で歌い始める。14歳の時にSister Rosetta Tharpe(シスター・ロゼッタ・サープ)の目に留まり、彼女の公演のオープニング・アクトに招かれた。彼はそれを機にプロのシンガーになることを目指し、15歳で“Little Richard”を名乗り、さまざまな公演に出演。1951年に「RCA Records(RCAレコード)」との最初のレコード契約を結び、1956年にリリースした“Tutti Frutti”で全米R&Bチャートの2位を獲得。その後“Long Tall Sally”、“Rip It Up”、“Good Golly Miss Molly”など立て続けにヒットを飛ばし、全世界で計3,000万枚以上のレコードを売り上げ、スターの地位を確立した。
1957年、人気の絶頂期に突如引退を発表し、大学で神学を修め牧師となった。しばらくはロックを“悪魔の音楽”として遠ざけ、ゴスペルを歌っていたが、1962年にロックシンガーとして復帰。この復帰コンサートの前座を務めたのが、無名時代のThe Beatles(ザ・ビートルズ)。また、この時期のサポート・ギタリストの一人に、Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)がいた。
1958年以降、Little Richardの曲がトップ10入りを果たすことはなかったが、ロックンロールのパイオニアとして彼の影響力は絶大だった。彼のパワフルなステージパフォーマンスや独特の衣装はもちろんのこと、LGBTどころかまだ人種差別がはびこる時代に、自身が同性愛者だとカミングアウトしたことも、後世のミュージシャンに多大な影響を与えることになる。
彼の訃報を受けて、元・The BeatlesのRingo Starr(リンゴ・スター)やPaul McCartney(ポール・マッカートニー)をはじめ、Mick Jagger(ミック・ジャガー)、Bob Dylan(ボブ・ディラン)、Elton John(エルトン・ジョン)など多くのミュージシャンが追悼の言葉を述べている。