英米ファッション協会が業界システムの改革を促す共同声明を発表
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により従来のシステムの抜本的な改革を提案

現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって様々な産業が大きな打撃を受けており、各業界では抜本的なシステムの見直しや改革が求められている。そんな中、先日様々なファッションブランドやデザイナー、リテーラーなどを含む業界人が集結して、ファッション業界の慣例の見直しを提案するオープンレターが公開。この流れに続く形で「BFC(British Fashion Council:英国ファッション協会)」と「CFDA(Council of Fashion Designers of America:アメリカファッション協議会)」は、ファッション業界に向けて共同声明を発表した。
この声明は「ファッションシステムは変化しなければならない、という確固たる信念のもとに団結しています」と始まり、業界の現状を改善するためのさまざまな提案やガイドラインが示されている。具体的な内容としては、ブランド、デザイナー、リテーラーなどに対して業務のペースをスローダウンさせることを促している。近年、一年に発表されるコレクションの数が増加したことにより、デザイナーは多くのコレクションを仕上げる必要を迫られ、ブランドは顧客の需要をはるかに超えた過剰な量の商品を生産/供給してきた。また、バイヤーやジャーナリストが頻繁に出張しなければならないことも、業界に多大な負担をかけている。さらに、毎シーズン大量に廃棄される衣服などによる二酸化炭素の排出量が大幅に増加し、環境にも悪影響を与えてきたことも指摘。これらの問題点を解決するために、年2回のメインコレクションの発表に制限することで、全ての負担を減らすことを提案。創造性と品質のレベルを高め、より少ない製品を生産することによって、結果的に消費者の信頼を得て、商品の価値が高められ、購入者に長く使用してもらうことにも繋がるとしている。また2021年春夏コレクションに関しては、ランウェイなどの対面形式ではなく、オンラインなどで見せられるバーチャル形式での発表を検討しており、カレンダーを調整していく考えだとのこと。
最後に、この共同声明は以下のように締め括られている。「ファッションは新しいアイデアと創造性のビジネスであり、このような困難な時代は革新のチャンスでもあります。私たちはメンバーとパートナーと共に、将来の成功を再考し、創造しながら、業界の発展のために努めたいと思います」。この声明の全文はこちらからチェックしよう。
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