女性の権利や自由を訴えるバーバラ・クルーガーの代表作がポーランド・シュチェチン市内を占拠

人工妊娠中絶がほぼ全面的に禁止されたポーランドで、“Untitled(Your body is a battleground)”のポスターが街中に貼られる

アート
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11月27日(現地時間)より、ポーランドでは人工妊娠中絶がほぼ全面的に禁止された。中絶が認められるのは、強姦や近親相姦による妊娠、また母親に命の危険がある場合のみに限られるという。これにより、女性の権利や自由を訴え、国内では大規模な抗議デモが繰り広げられている。そんな中、アメリカのコンセプチュアル・アーティスト Barbara Kruger(バーバラ・クルーガー)による代表作のポスターが、ポーランド・シュチェチン内に登場した。

その作品は、シルクスクリーンを用いたポートレート作品 “Untitled(Your body is a battleground)”。これは、1989年にアメリカ・ワシントンで中絶禁止法が妊娠中絶を保障する権利への侵害と主張するデモ行進 “ウィメンズ・マーチ”が行われた際に制作されたものである。その頃、ポーランドでは中絶自由化政策を行っていた共産主義政権の後退とともに、中絶や性教育への厳重規制がかけられるようになった。ワルシャワの芸術施設『Ujazdowski Castle Centre for Contemporary Art(ウジャドゥスキー城現代美術センター)』は、ポーランド語で訳された本作品のポスターを刷り、ワルシャワ市内のあらゆる建物に貼っていた歴史がある。

そして時は2020年、本作は再びポーランドの抗議デモを後押しするような形で、シュチェチンの現代アートギャラリー『TRAFO Center for Contemporary Art(TRAFO現代美術センター)』によって、市内のあらゆる所に貼られた。今件に関して、Krugerは「疎外された、権限を失った勢いを増す人々による緊急で勇敢な抗議は、ポーランドの宗教、権限、政治において優勢な過激派からすると脅威です。図々しい偽善的行為を行う教会と右派政権を率いる与党が手を組むことで、男性による支配形態と権力の乱用が起こります」とコメント。ここ数週間で『TRAFO Center for Contemporary Art』の元には、ベルリンの現代アートギャラリー『Sprüth Magers(シュプルート マーガス)』から“Untitled(Your body is a battleground)”のポスターが追加で送られてきたという。「ポーランドで初めてこのポスターが登場したのは、今のように現代社会を形成している段階の時です。四半世紀経った今でも政治体制は重大な問題です。政治家たちは女性の体を物扱いしつつあります。Krugerの作品は今でもとても関連性があり、声を上げるのにぴったりな作品です」とポスターの重要性を解説している。

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