アーティストのケン・プライスが現在のポップアート界に示した道とは

〈Loewe〉とのコラボレーションという形で再びスポットライトが当たるKen Priceが遺した作品の重要性に迫る

Presented by LOEWE
ファッション 

アメリカ・ロサンゼルス出身の陶芸彫刻家/画家のKen Price(ケン・プライス)がこの世を去った2012年、その死を伝えるメディアは、こぞって彼が近代美術ならびに現代美術に与えた大きなインパクトについて言及した。『The New York Times』は、彼を“アメリカにおける戦後最も特出したアーティストの1人”と称し、『Washington Post』は、彼の功績について“アメリカやヨーロッパの正統派彫刻の解釈の幅を広げた”と綴った。

美術の専門家やギャラリーオーナーにとって、Priceと彼の作品の知名度は圧倒的だったが、1960年代以降に同時代を生きたアーティストたちと比べるとその知名度は低い。生前に、Robert Rauschenberg(ロバート・ラウシェンバーグ)やDonald Judd(ドナルド・ジャッド)といった著名なアーティストたちとのグループ展をはじめ、(あのキャンベルのスープ缶も展示した)Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)の西海岸初となる個展を開催したアメリカ・ロサンゼルスの『Ferus Gallery(フェルスギャラリー)』とも所縁があるにも関わらずだ。

Priceの作品が市場に出回ることは稀であり、それ故オークションなどに登場すれば大きなバズを引き起こす。現代アートのオークションを数多く開催する「Sotheby’s(サザビーズ)」の共同経営者、Nicole Schloss(ニコル・シュロス)は彼の作品について「比較的レアだと思います」と言う。「毎年オークションに出品されるのはごく少数です。だからこそ、出品するときは私たちもとてもエキサイトするのです。美術史家やコレクター、団体の間でも一種のカルト的ファンがいますからね」と付け加える。確かに、彼の死後すぐに開催された『LACMA(ロサンゼルス・カウンティ美術館)』での回顧展に合わせて出版された書籍内で、芸術評論家のDave Hickey(デイブ・ヒッキー)は、業界関係者ならではの傾向についてこう語っている。「年老いた今の些細な喜びといえば、Ken Priceの彫刻作品を知ったばかりの若者たちと熱意を共有することさ。いつだって彼らは驚くよ。不機嫌になることもあるけどね」

おそらく機は熟しきっているだろう。彼の作品は、再び注目を集めている。ラグジュアリーブランド〈Loewe(ロエベ)〉は、クリエイティブディレクターのJonathan Anderson(ジョナサン・アンダーソン)指揮のもと、ホリデーシーズンに向けたカプセルコレクションでPrice作品とのコラボレーションを発表した。Priceの作品に描かれたプリントやカラーを採用したアイテムがラインナップされるコレクションについて、Andersonは「Priceの作品は気持ちを高揚させ、タイムリーであり、喜びを感じさせる」と形容する。作品から得たインスピレーションを再考し、アパレルやレザーアクセサリー、バッグに落とし込んだというわけだ。とりわけ、Priceがキャリアを通して手作業にこだわっていたことに敬意を表し、バッグには複雑な技法を必要とするレザーマーケトリーが採用されている。「モチーフの使い方には、特に満足しています」とAnderson。「形にするには熟練の技術を用しますからね」と付け加えた。もちろん、Priceが人生をかけた物作りへの賛辞でもあるのだろう。今こそ、彼の遺したものを見直すべきなのだ。

『LACMA』で開催された回顧展のキュレーションを担当したStephanie Barron(ステファニー・バロン)は、Price最大の美術への貢献は、陶器や粘土の使い方だと言う。「伝統的に、陶器を使って作品を作るアーティストは“デコラティブアート”に分類されていました。なぜなら、常に実用性が伴っていたからです」。そして「しかしながら、Ken PriceをはじめPeter Voulkos(ピーター・ヴォーコス)やJohn Mason(ジョン・メイソン)など、南カリフォルニアをベーとするアーティストたちは、そんな“分類”を打破しようとしていました。1960年代に彼らが巻き起こした戦いです。現代美術の世界が彼らに追いついたのは、つい最近のことですよ」と付け加えた。確かに、Shio Kusaka(シオ・クサカ)やJohn Booth(ジョン・ブース)といった現代の陶芸家の作品には、彼の影響を見ることができる。Schlossは「彼は、陶器を工芸品から芸術品に昇華させた立役者です。アートの歴史における彼最大の功績は、粘土という質素な材料からハイアートを生み出したことでしょう」と語る。

彫刻作品以外では、キャリアを通して精を出していたプリントやスケッチがあるが、それらが後世に及ぼした影響やインパクトに比べると認知度は低い。彼の作品が及ぼした影響は今日の人気アーティストに見ることができ、特に活力あふれる色使いや流れるような動きといったスタイルは、Jeff Koons(ジェフ・クーンズ)やKAWS(カウズ)、はたまた村上隆といったアーティストにも影響を与えたと言っても過言ではない。Priceは、まさに先駆者なのだ。前述のアーティストとは違い、Priceの作品はどれも性的(人間味がある)なイメージがあるにも関わらず、漫画のような作風のアーティストにも道を示していたのだ。確かに、大学時代のPriceは漫画やアニメーションを勉強していたようで、そこから多くのインスピレーションを得ていたという。性的なスケッチに関しても、きっとファインアートにおけるより挑発的な美術の先駆けだったのだろう。「彼は、ハイアートの伝統に下品なユーモアという感情を持ち込んだのです」とSchlossはコメントした。そういった点で、彼はポップアートとそれに付随するムーブメントの橋渡し的役割を果たしたアーティストの1人なのだ。「Priceのプリントにはポップの影響を見て取れます」と、オンラインでの美術品販売を手がける『1stDibs』の美術ディレクター Anthony Barzilay Freund(アンソニー・バージレイ・フロイント)はコメント。同サイトでも、Price作品に対する注目度の高まりを伝えている。さらに、「彼は陶器のコーヒーカップのようなものをハイアートに昇華させることにこだわっていました。それこそポップアートの本質なんですよ。日常を非日常に変えるということです」と続けている。

けれども、Warholの作品と並べると違和感があるのも事実である。それどころか、誰の作品と並べても異質に見えるかもしれない。それは、やはり“分類”という言葉が関係しているのだろう。彼の作品は根本的にミステリアスなものであり、それが他と差別化される要因であり、今日においても魅力的とされる理由なのだ。「彼の取り組みには即興的な一面もあったんです」とBarron。「ジャズで言うところの共鳴というか。さらに、彼の作品を見ればわかると思いますが、どのようにして作られたのかがわからないんです。まさにマジックの一種さ」と加えた。

〈Loewe〉x Ken Priceによるカプセルコレクションは、11月12日(木)から販売開始。詳細は公式サイトをチェックしてみよう。気になる方は是非この機会にゲットしてみてはいかがだろうか。

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Photographer
Benjamin Swanson/Hypebeast
Set Designer
Paulina Piipponen/Hypebeast
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