90年代のストリートシーンへタイムスリップ:ケビン・マや小木“Poggy”基史、BAJOWOO、ヨハン・カンが伝える力強いメッセージ

とにかく大胆であれ

フットウエア

幾度となく我々『HYPEBEAST』も言っていることだが、「いつの時代もファッションは繰り返すもの」である。一見すると古臭いスタイリングやカルチャーであっても、新しい形になって再び脚光を浴びることは決して珍しくない。ただ、そこにはどこか懐かしさも同居していることが多い。近年の90年代リバイバルについては、今さら説明する必要はないだろう。アメリカのヒップホップシーンにとって極めて重要な時期だったのはもちろんだが、アジアのストリートにもある種の勢いを与えたのもこの時代のこと。多くの才能豊かなデザイナーが登場し、各国でストリートカルチャーに沸いていた時代のこと。

加えて、90年代を振り返ってみると、昨今のトレンドもこの頃誕生したものが多いという事実に気がつくだろう。90年代スタイルが闊歩する現在、レトロの復権を象徴するだけでなく、力強さみなぎる90年代という時代への敬意の現れでもあるのだろう。

今回は、『HYPEBEAST』と〈Reebok(リーボック)〉がタッグを組み、Kevin Ma(ケビン・マ)や小木“Poggy”基史BAJOWOO(バジョウ)、そしてYohan Kang(ヨハン・カン)といった4人のストリートアイコンを招き実現したプロジェクトに迫る。各々が90年代に特別な経験をし、当時のカルチャーやストリートシーンにまつわるストーリーを持つ4人。彼らにとって、あの熱い時代はどんな意味を持っているのだろうか。

KEVIN MA & POGGY

ストリートカルチャーにおいて絶対的存在であるKevinとPoggy。友人でもある2人は、90年代のアジアストリートシーンを肌で感じてきた生き証人なのだ。その貴重な経験こそが現在の彼らを形成しており、ストリートカルチャーで自身のテリトリーを確固たるものにできたのである。

間違いなく、90年代はアジアのストリートカルチャーにおける開拓時代である。その先頭にいたのが香港だろう。西洋の文化と中国の伝統的思考が出会い、2つの異なるバックグラウンドがブレンドするなか、香港に“ハイブリッドカルチャー”が生まれた。「海外へ移住するため、私は子供の頃に香港を去りました。そして、独自に西洋の文化と触れ合ったのです。ユニークな視点でファッションやトレンドを見るようになったのも、多種多様な文化的背景があったからこそでしょう。まるでスポンジのように、様々なカルチャーを吸収していきました。香港は、その一部なんです。」と、Kevin。

「バンクーバーに住んでいた頃は、大好きなスニーカーをゲットするために、徹夜でショップに並ぶこともありました。当時は、スニーカーに関する最新情報を手に入れる術もなかったので、近所のスニーカーショップへ通い、オーナーとお喋りするくらいしかできませんでした。その頃通っていたショップは今でも覚えています。『Headquater(ヘッドクォーター)』と『Livestock(ライブストック)』です。そうやってスニーカーショップに通い詰めるなかで、スニーカーシーンに身を投じていったんです」とKevinは続けた。

90年代にスニーカーカルチャーが爆発した大きな要因として、KevinはNBAとヒップホップがあると考える。「スニーカーに関する情報は、インターネットの掲示板でかき集めていました。そこからスニーカーにどっぷり浸かるようになり、2005年に、自宅でスニーカーブログとしての『HYPEBEAST』を始めたんです」とKevinは付け加えた。

一方で音楽をこよなく愛するPoggyは、音楽とカルチャーの融合に価値を見出す。「時代に関係なく、様々なジャンルの音楽を聴くんです。ヒップホップやロック、ジャズなど。90年代に限ったことではありません」とPoggy。「80年代の音楽はより幻想的というか、90年代の方がより日常にマッチしていると思うんです。音楽の進化は、ミュージシャンの服装に影響を与えましたよね。90年代のラッパーたちはオーバーサイズのワークウェアに身を包んでいましたし、まさに今日の僕たちみたいに。また、Kurt Cobain(カート・コバーン)のシンプルなネルシャツ&Tシャツもそうです。一見すると平凡なんですけど、彼だからこそのテイストに溢れていました。90年代は、各々の感性を通じてストリートトレンドが形成された時代なんだと思います。それがベーシックなアイテムであっても、です」と語ってくれた。

かの有名な裏原宿カルチャーが生まれたのもこの時期である。現在へつながる東京ストリートカルチャーのベースであり、Poggyのファッション観にも多大な影響を与えたそうだ。

「デザイン性の高いスニーカーを履けば、誰だって自分のファッションセンスを表現できるんです。90年代当時は、シンプルなものが圧倒的に多かったので、自分自身の個性とミックスさせることでベーシックの先へ行くんです。僕にとっては、Intervalがまさにそれ。90年代ストリートカルチャーの力強さを反映していますよね」とPoggyは付け加えてくれた。

BAJOWOO

スモーキーアイにカラフルな歯、パンクな髪型、そして自身のアイコンでもある穴開きマスク……、一度見たら頭から離れないBAJOWOO(バジョウ)のスタイルだ。彼は、様々な角度から力強さに溢れている。彼のような人間は、世界の全人口の1%ほどしかいないと言っても過言ではないだろう。それこそが自身のブランド〈99%IS-(ナインティナイン パーセント イズ)〉のブランドセオリーなのだ。「世界中の人が気にも留めない1%こそ、俺や仲間たちにとって最も大切なものなのさ。俺からしたら、彼らが99%だよ」とBAJOWOO。

韓国出身のBAJOWOOではあるが、お馴染みのKポップとはかけ離れたところにいる。ソウル・ホンデのナイトライフに多大な影響を受けて育った彼は、「韓国では、90年代がパンクの第一世代だんだ。Cyring Nut(クライン・ナッツ)やNo Brain(ノーブレイン)が代表格さ。当時彼らは20代で、俺は小学校6年生だったよ。あの頃は、若者はみんなホンデに集まっていたのさ。ヒッピーからBボーイ、パンクまで、本当に多種多様だったね。時が経ち、若者の好みも変わってきたね。当時はサブカルチャーだったヒップホップも、今やメインストリームだから」とBAJOWOOは説明してくれた。

「90年代のストリートカルチャーは、全てホンデ、イデ、アックジョン・ロデオ、イテウォンといったエリアに集まっていたよ。当時はインターネットも今ほど発達していなかったし、現実世界でしかサブカルチャーは育まれなかったんだ。今となっては、いたるところでストリートカルチャーが生まれているけど、なかには物理的な場所さえ必要ないもんね」と続けた。

BAJOWOOが小学生だった90年代、彼はスポーツウェアにのめり込んでいたそうだ。そして、ビッグロゴもトレンドだった。「まずは、スニーカーからファッションに入っていたんだ。〈Reebok〉では、“Shaq Attack”が初めてゲットしたスニーカーだったよ」とBAJOWOO。そして、初めてナイトクラブに足を踏み入れたのが6年生のとき。そこから彼の冒険が始まったのだ。スニーカーを脱ぎ、パンクスタイルへと変貌していったのである。
90年代に誕生した〈Reebok〉のIntervalだが、大きなVectorロゴに、力強くもヴィンテージ感ある色使い、とにかく火がつく要素を完璧に満たしていた。まさに90年代の大胆さを凝縮したような1足だったのだ。

Intervalを見たBAJOWOOは言った。「誰にだって思い出というものはある。そんな思い出を呼び戻すのに、場合によっては象徴的アイテムさえあればいいんだ。この〈Reebok〉のIntervalだってそうさ。俺が子供だった頃を思い返させてくれる。シンプルなデザインに大胆なロゴがね。これは復刻版だけど、子供の頃に戻れるタイムマシーンみたいなものだよね。ビッグロゴがデザイン的に優れているんじゃなくて、全体を見たときのビッグロゴが重要なんだ」。

IntervalやアイコニックなVecotorロゴにインスパイアされ、BAJOWOOはシルクスクリーンプリントでアートを完成させた。「俺のブランドの2020年のコレクションでもメタルシルクラインが大きな要素になっているんだ。だから、このアートでも使ったんだよね。いろんなグラフィックがあるなかで上手くバランスを取り、〈Reebok〉の象徴でもある赤と青を使ってね」とBAJOWOO。

「完成したものを見てもらえれば分かると思うけど、パターン自体は決して大胆なものではない。どちらかと言えば控えめかもね。誰だって四六時中大胆に振る舞うことなんてできない。ここぞというときに大胆に振る舞うからこそ意味があるのさ」と加えた。

BAJOWOOが考える大胆さや力強さは、〈99%IS-〉のデザインにも見て取れる。同ブランドのGobchang Pantsと〈Reebok〉のIntervalを合わせる。個性的なドローコードのおかげで、フィットもバッチリなのだ。

90年代のパンクカルチャーに大きく影響されたBAJOWOOだが、彼が生み出すデザインは必ずしもパンクというわけではない。ヒップホップやメタルの要素も絶妙に取り入れることで、G-DRAGON(ジードラゴン)やA$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)といったワールドワイドなセレブからも支持されているのだ。そんな彼は、何か新しいことに取り組んでいるそうだ。「90年代のサブカルチャーにインスパイアされた俺だけど、今は2019年だ。新しいストーリーをどうやって表現するかだよね。楽しみさ。」と締めくくった。

YOHAN KANG

〈Charm’s(チャームス)〉のクリエイティブディレクターを務めるYohan Kang(ヨハン・カン)は、前述のBAJOWOOとは大きく異なり、いわゆるKポップスタイルのデザイナーだ。ストリート的要素も踏まえながら、クリーンなカットで知られる〈Charm’s(チャームス)〉。毎シーズン、カップルでスタイリングしたルックが大きな反響を呼んだのだ。さらにKポップのスターからも人気があり、韓国の若者から絶大な支持を得るブランドである。

Yohanの言葉を借りると、〈Charm’s(チャームス)〉は「世代や性別の垣根を超えたブランドで、普通の生活に飽き、何か新しいチャレンジを欲している人のためのブランド」である。

流行や変化に対して柔軟で、とにかくペースが速い街、それがソウルだ。もちろん、カルチャーにおいては独自の価値観も存在する。だからこそ、アジア諸国のなかでも注目されているのだろう。「ソウルからはたくさんの刺激をもらいました。主だったトレンドを取り入れつつも、アジアのカルチャーをデザインに落とし込むんです。例えば中国の感じだったりオリエンタルなグラフィックだったり。僕のコレクションは90年代のオーバーサイズにも合いますよ。ソウルがどのように僕に影響を与えたかが見て取れると思います」とYohan。

90年代に育ったYohanにとって、90年代と今現在のストリートシーンでは、多くの共通点が見えるそう。「2019年だって、オーバーサイズやヴィンテージ、大きなロゴはトレンドでしょ。たくさんの若者が大胆なスタイルを実践してるじゃないですか」とYohan。ただし、現在の若者は当時のスピリットまでは理解していなのでは、と考える。実際に経験していないのだから、それもごく普通のことだろう。そして、「ファッションはいつだって繰り返されるもの。大きなロゴが復活したみたいにね。若者は独自の視点でそれらを取り入れているのさ」と付け加えてくれた。

Yohan自身は、オリジナルのIntervalとも馴染みがあるようだ。「確か1996年のアトランタオリンピックで見たことがありますね。まだ小さかったので、すごいバランスの取れたデザインという印象でした。今のチャンキーなスニーカーブームにもマッチしそうですし。そして、何よりVectorロゴが目立ちますね。ブランドの歴史やストーリーともリンクしています。今のマーケットには数えきれないほどのスニーカーがあふれ、こんなクラシックなデザインを見つけるのは至難の業ですよ」と語ってくれた。

「僕にとって、スニーカーのデザインで一番大切なのは、そのルックスのバランスなんです。いくらストリートの要素が満載でも、バランスが取れていなければイマイチ」とYohan。

すると、YohanはIntervalを使った90年代風のスタイリングを見せてくれた。オーバーサイズにヴィンテージディテール、ロゴを目立たせインパクトあるプリント。合わせて3スタイルを作ってくれたのだが、上手く色を組み合わせた〈Reebok〉ならではのスポーツテイスト溢れるものだった。

ビッグロゴの流れはしばらく続くとYohanは考えているようだ。スニーカーに限らず、ファッション全体での話だ。もちろん、彼自身もヴィンテージとビッグロゴを取り入れたスタイルを、自身のコレクションにも落とし込んでいくとのことである。

Reebok〉Intervalは、ブランドやスニーカーそのものに内在する90年代スタイルと大胆なスピリットを届けるため、アイコニックなVectorロゴを携えシーンにカムバックする。

Reebok〉Intervalは、2019年7月12日、中国時間の午後4時にHBX限定で発売される。もちろん、激しい競争になるのは必至だ。

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