新時代の幕開けを予感させる2019年のNBAファイナルを総括

カワイ・レナードの躍進からケビン・デュラントとクレイ・トンプソンの悪夢の負傷まで話題づくめの「NBAファイナル」をおさらい

スポーツ 
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6月13日(現地時間)に幕を閉じた2019年の「NBAファイナル」。レギュラーシーズンからプレイオフまで幾多の激戦の末に優勝への切符を掴んだトロント・ラプターズとゴールデンステート・ウォリアーズによる頂上決戦。本項ではさまざまなドラマや記録が生み出された「NBAファイナル 2019」を総括する。

ラプターズ初優勝と幻に消えたウォリアーズの3連覇

Ezra Shaw/Getty Images

Ezra Shaw/Getty Images

1995年に創設されたラプターズがNBA参入24年目にして初のファイナル進出、悲願の初優勝を達成した。ウォリアーズはオフにDeMarcus Cousins(デマーカス・カズンズ)を獲得。生え抜きのStephen Curry(ステフィン・カリー)を筆頭にスターター全員がオールスターという体制で史上4チーム目となる3連覇を目指したが、5年連続でファイナルまで戦い抜くという過酷なスケジュールの前に、疲労の色は隠せず力尽きる形となった。ウォリアーズは過去5年間のプレイオフで合計105試合を消化しており、他チームより1シーズン以上多くプレーしていることになる。そして、Stephen Curryにとって初となるファイナルMVP受賞もお預けとなった。

“King of the North” カワイ・レナードがNBA新時代の顔に名乗りを上げる

NBAファイナルを総括 Toronto Raptors Golden State Warriors 2019 NBA Champions Drake Basketball Game 6 Win First Kawhi Leonard(カワイ・レナード) Stephen Curry(ステフィン・カリー) Kevin Durant(ケビン・デュラント) Klay Thompson(クレイ・トンプソン)

Kyle Terada-Pool/Getty Images

サンアントニオ・スパーズからラプターズに移籍した今季のKawhi Leonard(カワイ・レナード)。2017-18シーズンは怪我のため9試合しか出場しておらず、その復調を疑問視する声も聞かれたが、蓋を開けてみればLeonard自身は82試合中60試合に出場し、平均26.6点、7.3リバウンド、3.3アシストを記録。チームは58勝をあげイースト第2位でプレイオフに進出した。プレイオフではMichael Jordan(マイケル・ジョーダン)ばりの驚異的な活躍を見せ、LeBron James(レブロン・ジェームズ)が去ったイーストで覇権争いを繰り広げるフィラデルフィア・76ersとミルウォーキー・バックスを粉砕。敗退した相手チームのGiannis Antetokounmpo(ヤニス・アデトクンポ)やJoel Embiid(ジョエル・エンビード)が悔し涙を流したことも話題に。NBAファイナルにおいても満身創痍のウォリアーズの前に立ちはだかったLeonard。シリーズ平均28.5点、9.8リバウンドを記録し、2014年以来2度目となるファイナルMVPを獲得。2つの異なるチームでファイナルMVPを獲得したのはKareem Abdul-Jabbar(カリーム・アブドゥル=ジャバー)、LeBron James以来史上3人目、東西両カンファレンス(ラプターズは東、スパーズは西)でのファイナルMVP選出は史上初となる快挙。また移籍初年度でのファイナルMVPは史上4人目であり、今プレイオフであげた732点はJordanの759点(1992年)、LeBronの748点(2018年)に次ぐ史上3位とまさに記録づくめ。さらにKawhiは今プレイオフにおいて、得点、リバウンド、スティールという3部門でリーグ全体をリードしており、これは1984年のLarry Bird(ラリー・バード)以来だという。Kawhiとスパーズは2014年にマイアミ・ヒートの3連覇も阻止しており、“3ピートキラー”という新たなニックネームも誕生した。ちなみに、Leonardが率いたスパーズは2016年のウエスタンカンファレンス・ファイナルでウォリアーズに敗北。Kawhiはそのシリーズでスパーズ退団のきっかけにもなった怪我を負っており、3年ぶりに雪辱を果たす形となった。

ケビン・デュラントとクレイ・トンプソンの悪夢の大怪我

NBAファイナルを総括 Toronto Raptors Golden State Warriors 2019 NBA Champions Drake Basketball Game 6 Win First Kawhi Leonard(カワイ・レナード) Stephen Curry(ステフィン・カリー) Kevin Durant(ケビン・デュラント) Klay Thompson(クレイ・トンプソン)

Lachlan Cunningham/Getty Images

「NBAファイナル」の行方より気がかりだった人も多いであろうKevin Durant(ケビン・デュラント)とKlay Thompson(クレイ・トンプソン)の怪我の度合い。第5戦で負傷したDurant、第3戦を欠場後に第6戦で再び戦線を離脱したThompson共に選手生命を左右するようなアキレス腱断裂、左前膝前十字靭帯断裂という最悪の事態に。今オフFA市場において最大の目玉でもあった両選手であるが、現段階では来シーズン全休も見込まれ、ウォリアーズはおろかリーグ全体に暗雲が立ち込める結果に。歴史に“if”はないというが、“もし”KDが第5戦、6戦とフル出場していたら、“もし”Thompsonが第6戦でプレー続行できていたら……。第7戦までシリーズがもつれていたことは想像に容易い。逆にDurantが第5戦を欠場し、そのままラプターズが4勝1敗でシリーズを終わらせていたら、この怪我も発生していなかったと考えるとウォリアーズ陣営は辛いところであろう。

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