原宿で行くべきインディペンデントなセレクトショップガイド

トレンドの震源地から“スタイル”を提案し、ファッションというカルチャーと真摯に向き合う8店舗を厳選

ファッション 
57,105 Hypes

原宿は、世界から一目置かれる唯一無二の存在である。90年代に誕生した“裏原”という特異な区域は、ストリートを定義し、カルチャーの礎を築いた。当時の景色は一変してしまったものの、ファッションというひとつの文化に対する先人たちの飽くなき愛は、今なおこの街のアイデンティティとして語り継がれている。

さて、時代の移り変わりにともない、昨今はオンライン依存が加速し、欲しいモノが容易に購入できる便利な時代になった。しかし、ウェブサイトにいくらブランドや商品の詳細を書いたり、AIを導入しても、スタイルを生み出すという使命において、セレクトショップの地位は揺るがない。ストアのスタッフから公にされていないものづくりへのこだわりや裏話を聞きながら、独自の価値観で編集されたスタイルを身にまとうことは、物欲を満たすのではなく、ショップが提案する“スタイル”への共感とも言えるだろう。

外出や旅行先での“オプション”となる「HYPEBEAST City Guide(ハイプビースト シティガイド)」の“原宿セレクトショップ編”では、先見の明と確かな審美眼を持ち、ファッションという複雑なカルチャーと真摯に向き合うインディペンデントなリテーラーを厳選。ここにリストアップしたストアは、購入した商品のみならず、ストーリーやインスピレーションなど、かけがえのない“何か”を持ち帰ることのできるストアなのだ。

DOMICILE TOKYO

A$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)も敬愛するセレクトショップ、それが『DOMICILE TOKYO(ドミサイル トウキョウ)』だ。2017年7月にオープンしてまもなく、原宿のキーアカウントとして確固たる地位を確立した『DOMICILE』は、ファッション、音楽、アートなどさまざまなカルチャーをコンセプトに、期間限定のポップアップやコラボレーション展開でトピックメイキングを行ってきた。また、彼らのエクスクルーシブ性は、取扱ブランドにもある。店内には手に入りにくい国内外の次世代アンダーグラウンドストリートブランドがラッキングされており、日本では『DOMICILE』でしか購入できないインポートものも少なくない。

“近未来的な日本の民家”をコンセプトにした店舗デザインは、2018年に開催された『HYPEBEAST』初の大型オフラインイベント「HYPEFEST」でもキービジュアルを手がけたYOSHIROTTEN(ヨシロットン)によるもの。メジャーには興味がないという根っからのストリートヘッズは、彼らのバイイングの動向を追いかけていくと面白いかもしれない。

住所:東京都渋谷区神宮前4-8-29(地図
Tel:03-6447-1068
営業時間:11:00 – 20:00
定休日:なし
オフィシャルサイト:www.domicile.tokyo
Instagram@domicile.tokyo
取扱ブランド:LQQK Studio, CNY, iggy, Joe Garvey, lies records, Blue-Sun, humble, HARDBODY, Onyx Collective, Stingwater, EXTENSION etc…

FAN

原宿中心部の路地裏、そこに佇むビルの半地下に軒を構える『FAN(ファン)』は、このガイドで紹介するストアの中で最も国内ブランドを多く取り扱うストアだろう。セレクトショップとヴィンテージショップのバイヤーとして10年以上のキャリアを持つ伊藤万里と坂本一が率いる同セレクトショップは、“侘び”という日本の美的センスの礎を築いた茶人・千利休に着想を得た温故知新な価値観をもとに、“Roots & Technically Design”をキーワードに掲げ、モード、ストリート分け隔てなく、現代の東京に映えるものをセレクトしている。また、ラインアップを作り上げるバイヤー陣自らが店頭に立っているのも魅力。これは今の大手企業には出来ないことであり、そのブランドやプロダクトをセレクトしてきた張本人が、生の声でモノとしてのこだわりや背景にあるストーリーを伝えるというセレクトショップの本質を体現している。

換気扇などの羽を意味する『FAN』には、ファッションを通じて風通しを良くするという意味が込められている。プロダクトのみならず、オンラインでは決して得られない知識や洋服へ対する愛情を持ち帰りたい真の服好きには、是非足を運んでもらいたいストアのひとつだ。

住所:東京都渋谷区神宮前3-22-1 神宮前スクエア#102(地図
Tel:03-6447-4566
営業時間:12:00 – 20:00
定休日:なし
オフィシャルサイトhttps://fanharajuku.thebase.in/
Instagram@fan_harajuku
取扱ブランド:ACRONYM, kudos, ALMOSTBLACK, O-, RWCHE, COTTON PAN, YASHIKI, SON OF THE CHEESE, MOUT RECON TAILOR, VINTAGE CLOTHING etc…

goffa.x

『goffa.x(ゴッファ エックス』は、東京セレクトショップ界の奇才である。昨今は著名なデザイナーや建築事務所を起用するのが当たり前になりつつあるが、住宅街に佇む普通の一軒家を改装した特異な外観がそれを物語っている。『goffa.x』の源流を辿ると、大阪『fethers goffa(フェザーズ ゴッファ)』に行き着く。家系図には『hnw(ハヌー)』、『11747391』、『STRIPS STORE(ストリップストア)』が名を連ねるが、このファミリーはいつの時代も業界やトレンドに媚びることなく、唯一無二の“スタイル”を追求してきた。

セレクトの定義は、シーズン性を感じとれ、新しいクリエーションに富んでいること。そして、一歩先を行く新しいスタイルをどのように提案できるかを基準にラインアップが構築されている。また、共存するユーズドとの相性も絶妙なものがあり、複雑な方程式を解き明かして、彼らなりのファッションが提示されているのだ。

住所:東京都渋谷区神宮前2-31-9(地図
Tel:03-5411-8717
営業時間:12:00 – 20:00
定休日:なし
オフィシャルサイトhttp://goffax.com/
Instagram@goffa.x
取扱ブランド:Charles Jeffrey LOVERBOY, AFTERHOMEWORK (PARIS), MAGLIANO, Napa by Martine Rose, XANDER ZHOU, Anton Belinskiy,ERNEST W. BAKER, VINTAGE CLOTHING etc…

GR8

ストリート、アート、カルチャーからラグジュアリーブランドまで、独自の選球眼でメジャーからアンダーグラウンドまでを網羅する『GR8(グレイト)』が、東京ファッションシーンで唯一無二の存在であることに疑いの余地はない。“BoF”と“HB100”に連続選出された久保光博が2005年にわずか20坪からスタートした『GR8』だが、2019年には131.69坪へと拡張。『ラフォーレ原宿』で唯一、ワンフロアに一店舗で営業するまでに成長を遂げた。

鋭い感性を持つ東京のスタイルアイコンから往来する各国のファッションフリークたちをも虜にする『GR8』は、ロジックよりも“五感”を大切にしている。バイイングは、久保氏らバイヤー陣が実際に海外各地へ足を運び、デザイナーやクリエイターたちと触れ合うなかでセレクト。また、〈Phire Wire(ファイヤーワイヤー)〉の主宰 KIRIがキュレーションした映像を投影する123台のTVモニターと音楽、そしてKensei Yabunoの巨大スカルプチャーや〈1017 ALYX 9SM(アリクス)〉の装花も手がける平田春果の生け花など、セレクトショップの領域を越えた五感に訴える内装づくりを心がけているという。無論、裏玄関に広がる日本庭園“源氏山テラス”も『GR8』の名物。東京を象徴するアカウントだけに、原宿に赴く際には必ず『GR8』を予定表に組み込むべきだろう。

住所:東京都渋谷区神宮前1-11-6 ラフォーレ原宿 2.5F(地図
Tel:03-3408-6908
営業時間:11:00 – 21:00
定休日:ラフォーレ原宿開館日に準拠
オフィシャルサイトhttps://gr8.jp/
Instagram@gr8_tokyo
取扱ブランド:1017 ALYX 9SM, A-COLD-WALL, GENTLE MONSTER, BALENCIAGA, READYMADE, JIL SANDER, 032C ARIES, P.A.M., MARTINE ROSE etc…

NUBIAN HARAJUKU

NUBIAN HARAJUKU(ヌビアン 原宿)』は、国内外のモード・ストリートカルチャーを融合させ、新たなトレンドを発信する前衛的なセレクトショップだ。ラグジュアリーストリートを牽引する代表格から、ファッション偏差値の高い人々がチェックするアップカミングレーベルまで、その行き届いたセレクトがファンから信頼を集め、今では国内外から客足の絶えない日本のキーアカウントのひとつと認識されている。また、A$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)やPost Malone(ポスト・マローン)など世界的な知名度と人気を誇るラッパー勢やハイプロフィールを持つブランドのポップアップストアも頻繁に主催し、そこでは『NUBIAN』の限定アイテムをリリース。週末はひとまず、『NUBIAN』に足を運ぶという人も少なくないのではないだろうか。

ファッション的コンテンツもさることながら、内装や什器は〈Hermès(エルメス)〉のディスプレイや新鋭建築ファームの「トラフ建築設計事務所」が担当し、カウンター横に設置されたスピーカーは、耳の肥えた音楽関係者も一目置く「田口音響」にフルオーダーしたもの。これは、商品ラインアップはもちろんのこと、それら商品と出会う体験そのものをデザインしたいという『NUBIAN』の想いを体現したものである。

住所:東京都渋谷区神宮前1-20-2(地図
Tel:03-6447-0207
営業時間:11:00 – 21:00
定休日:なし
オフィシャルサイトhttps://www.nubian-ave.com
Instagram@nubian_tokyo
取扱ブランド:OFF-WHITE, PALM ANGELS, HERON PRESTON, FEAR OF GOD, 1017 ALYX 9SM, M+RC NOIR, AIPL, AMBUSH, GREG LAUREN, RICK OWENS etc…

PROV

「原宿 スケートボード ショップ」でGoogle検索をかければ、『PROV(プルーヴ)』は必ず上位にヒットするストアだろう。ストアマネージャーの用松誠司は、10代の頃からスケートカルチャーに両足を突っ込み、自身のバックボーンはスケートで形成されていると語る。そんな彼がマネージメントする『PROV』は、地域を問わず、各カンパニー/ブランドの背景に着目し、“本物”を見極める審美眼を持ち合わせている。それゆえ〈Alltimers(オールタイマーズ)〉や〈Polar Skate Co.,(ポーラー)〉といったスケーターお馴染みのレーベルも取り揃えていれば、コアなブランドの窓口を担う一面も持ち合わせており、特にUKでインディペンデントな路線を貫く〈Yardsale(ヤードセール)〉クルーとかなり深い交友関係がある。

そういえば、『PROV』でも取り扱われている〈DC SHOES(DCシューズ)〉と契約する、アメリカ東海岸の代表的なOGスケーター Josh Kalis(ジョシュ・カリス)が、近頃のスケートボードとファッションの関係性について「どういう広がり方だろうが、ベースにスケートがあれば問題ないでしょ」と語っていた。そういう意味で、東京カルチャーの震源地に店舗を構える『PROV』は、スケートとファッションをクロスオーバーさせ、ブランドのノリや空気感をダイレクトに伝えることができる数少ないアカウントかもしれない。

住所:東京都渋谷区神宮前4-28-18 カトルバン原宿2F(地図
Tel:03-6447-0660
営業時間:11:00 – 20:30
定休日:なし
オフィシャルサイトprovtokyo.jp
Instagram@prov_tokyo
取扱ブランド:Yardsale, Polar Skate Co., GX1000, Alltimers, Quartersnacks, Peels, Iggy nyc, Hellrazor, Paradis, Sci.fi fantasy, Dime, Bronze 56k etc…

TOXGO

とんちゃん通りにある『TOXGO(トゥーゴー)』は、2008年より続く原宿の人気ヴィンテージショップ『KINSELLA(キンセラ)』の山上達生と、海外のアップカミングブランドをどこよりも早く発掘してきた池ノ上『MIN-NANO(ミンナノ)』のオーナー 中津川吾郎の2人が舵を取る。分野は異なるが、出処では共通点の多い同い歳の2人のオーナーが新しい価値観の提案する“遊び”と“発見”に満ち溢れたこのショップには、フレッシュなブランドとヴィンテージアイテムが同居。世間的に人気のあるブランドを扱うのではなく、オーナーたちが素直に「良い」と思うラインアップは、アメリカ、イギリス、オーストラリア、イタリア、ドイツ、台湾、韓国など世界中に及び、古着のセクションでもフットボールカルチャーやパンク・ハードコアから多大な影響を受けたオーナー2人のルーツが垣間見れるようなセレクトを意識している。

店内には『ガーフィールド』などのぬいぐるみが散見され、BGMは主にカウンター後ろにあるカセットテープとレコードを使用。また、商品にはバックグラウンドがある物が多く、お客さんにそのストーリーを伝えるために、いつも同じスタッフが常駐しているとのことだ(※水曜日を除く)。仲良くなって、差し入れ片手に買い物しながら溜まる。『TOXGO』は、噛めば噛むほど、足繁く通ってこそ味が出るショップだろう。

住所:東京都渋谷区神宮前3-27-13 B1F(地図
Tel:03-3408-6779
営業時間:12:00 – 20:00
定休日:なし
オフィシャルサイトwww.toxgo.jp
Instagram@toxgo
取扱ブランド:The Good Company, Better, GRIND LONDON, Come sun down, LO-FI, BOOK WORKS, PELVIS, Internatiiional, Gabber Eleganza, NoRoll, Vintage etc…

UNION TOKYO

UNION(ユニオン)』は、まだ“ストリートウェア”という言葉の定義が曖昧だった1989年に創業した老舗セレクトショップである。創業当初から今まで変わらない、“自分たちが着たいと思えるブランド”と“ファッション性と機能性を併せ持つウェア”という2つのコンセプトを基軸に、〈Supreme(シュプリーム〉や〈STÜSSY(ステューシー)〉の直営店がない頃からこれらのブランドを取り扱い、設立30周年を超える今でも、世界中のアップカミングなデザイナーズブランドから入手困難なハイエンドなブランドまでを織り交ぜた懐の深いラインアップで、ひねりを加えた独自のクラシックを提案し続けている。

『UNION TOKYO』は、若い頃からヒップホップやスケートボードに傾倒してきたオーナー兼ディレクターのChris Gibbs(クリス・ギブス)が、2018年4月にオープン。「casereal(ケース・リアル)」の二俣公一が設計した店内は、〈NOAH〉の主宰 Brendon Babenzien(ブレンドン・バベンジン)の妻であるインテリアスタイリスト、Estelle Babenzien(エッセル・バベンジン)が選んだ家具や、1700年代のハーレムの様子を描いた手刷りの壁紙などでデコレーションされており、セレクトの魅力を引き立てる唯一無二の空間を作り上げている。

住所:東京都渋谷区神宮前 2-26-5 1F(地図
Tel:03-6434-5510
営業時間:11:00 – 20:00
定休日:不定休
オフィシャルサイトwww.uniontokyo.jp
Instagram@uniontokyo
取扱ブランド:A-COLD-WALL*, ALYX, AWAKE NY, Bianca Chandon, DIGAWEL, JIL SANDER, MARNI, Martine Rose, NEEDLES, OAMC, TOGA, UNUSED, WTAPS etc…

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