Interviews:K・SWISS がコラボパートナーに招聘した Lil Jupiterr とは

彗星のごとくシーンに姿を現し、あのヴァージルやロニー・ファイグも注目するピンク髪の青年の正体に迫る

フットウエア 

スニーカーゲームが加速するなか、現代のトレンドの震源地・ロサンゼルスを拠点とする〈K・SWISS(ケー・スイス)〉は、この熾烈な争いに真っ向勝負を挑むのではなく、カルチャーの底上げという視点を持ち、未来を担う若手クリエイターやアントレプレナー(起業家)たちをバックアップすることに注力している。『HYPEBEAST(ハイプビースト)』読者にも馴染み深く、〈K・SWISS〉と同郷のAnwar Carrots(アンワー・キャロッツ)とのダブルネームはその際たる例であり、その他にも国際女性デーに合わせてAmber Vittoria(アンバー・ヴィットリア)とコラボレーションし、女性支援を目的とした取り組みを実施するなど、ユース層に影響のある新進気鋭なパートナーを招聘し、ブランドとしてのメッセージを発信している。

最新プロジェクト、Lil Jupiterr(リル・ジュピター)とのコラボレーションもこれに通ずるものだ。先月末に情報解禁を迎え、「atmos con vol.6」で会場限定発売を迎えたCR-329 Jupiterrは、2002年に発売されたテニストレーニングシューズのST-329に、Shock Springテクノロジー搭載のチャンクソールでアップデートを施したモデルで、世界でも日本でのみフレンズ&ファミリーのブラックも限定展開された。シーンの新たなアイコンであるLil Jupiterrに目を付ける〈K・SWISS〉の視点とアティチュードは、スニーカーシーンを俯瞰し、絶えず動向を追いかける『HYPEBEAST』から見ても、非常に新鮮で確かな意義を感じる。

しかし、読者の中には〈K・SWISS〉がフックアップするまで、Lil Jupiterrの名前を聞いたことがないという人も少なくなかったのではないだろうか。新時代の旗手Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)をはじめ、Kanye West(カニエ・ウェスト)やRonnie Fieg(ロニー・ファイグ)の目にも止まるピンクヘアの若者の正体とは……。以下のインタビューを読み進めていけば、Instagram上だけの存在だった彼のアイデンティティが見えてくることだろう。

ようこそ、日本へ! 日本に来るのは初めて?

うん、俺にとっては今回が初めての日本滞在になる。ここに来れて嬉しいよ。本当に多くの人が行き交い、それでいてスタイルも様々。刺激になるようなインスピレーションの宝庫といった感じだね。昨日と今日で見た全てモノ・コトが俺にとってはクレイジーで、驚くべきことばかりなんだ。食文化も信じられないね。ベタかもしれないけど、渋谷のスクランブル交差点にも行ってみたよ。俺はニューヨーク出身なんだけど、似て非なるというか大違いだね。本当に日本を満喫していて、五感でこの地を満喫できていると思うな。

ここにいる間に見ておきたいものや行っておきたい場所とかはある?

ロボットレストランかな。公道マリオカートは見れたしね。ロボットレストランは本当に是が非でも行ってみたいよ。

そろそろ本題に入ろうか。早速だけど、日本のスニーカーカルチャーについて、何か思うところはある?

日本以上に多様多種なスニーカーのスタイルがある場所を俺は知らないね。もしかしたら実際は異なるのかもしれないし、俺の想像を上回るものなのかもしれないけど、俺は日本のスニーカーカルチャーの全てが興味深いし、素晴らしいと確信しているよ。日本にある他の文化と同じようにね。

Lil Jupiterrの起源や自身の活動コンセプトを教えてくれない?

特別なコンセプトはない、というのが正直なところだね。全ては偶発的に始まったんだ。俺は至って普通のファッションが好きな少年だった。スニーカーや洋服を買うね。でも、俺はこのカルチャーにのめり込むにつれて、自分だけのものを着たくなり、2年間、自分でブランドをやろうと活動していたんだ。でも、現実は厳しかったよ。なぜなら、俺は子供だったし、友達でファッションに本気な奴はいなかったしね。もちろん、著名人との繋がりだってない。とにかく、がむしゃらに打ち込んできたけど、現実を突きつけられたんだ。

だから、俺は自分が好きなものを紹介するためにInstagramを始めたんだ。自分の内に人に見せたいスタイルがあったからね。でも、それが物事を大きくするなんて当初は思いもしなかったし、少しずつ成長していった感じだよ。そうして、俺はもし何かやりたいことがあるなら、全力で取り組みたいと考えるようになったんだ。今はこれがようやく仕事になったよ。

Lil Jupiterrとしての活動が軌道に乗ったと思ったのはいつ頃?

(K・SWISSと自身が共同製作したスニーカーを手に取り)このコラボシューズを初めて手にした時、俺は全てが始まったと感じたよ。今、この瞬間、俺は何でもできると確信している。自分が本当にしたいことや自分が今までどのような道を歩んできたとかを考える必要なんてない。俺はどん底から這い上がってきたし、これまでもなりたい自分になれるなんて思ったことはないよ。俺はただ色々な人と働き続けていきたいだけなんだ。

〈K・SWISS〉とのコラボレーションはどのようにして始まったの?

彼らが俺に連絡をくれて、俺と働きたいと言ってくれたんだ。彼らは俺に最高の機会を与えてくれた。本当に頭が上がらないし、心から感謝しているよ。そして、俺はまずこう考えたんだ、「実際、どれだけ多くの人が靴を履いているのか」ってね。アーティストも、アスリートも、とにかく全ての人が靴を持っているよね。だから、俺はこのプロジェクトに全力を尽くしたいと強く思ったんだ。何も決まっていなかったけど、俺はLAに飛んだ。そして、俺たちは話し合いの場を設けて、どのようにこの仕事を進行するかを決めたんだよ。彼らは直接俺と会うまで、俺がどういう人物か知らなかったんだ。俺は“ページ上の存在”だったからな。

〈K・SWISS〉とのコラボレーションシューズを製作する際のインスピレーション源は?

ランニングだね。自分の高校時代のスタイルだ。俺のイメージはそこにあった。このシルエットを見た瞬間、俺はこれが俺のやりたいことだとすぐにわかったよ。配色は悩んだね。シンプルなものを作らないといけないことは理解していたけど、色々なカラーを組み合わせないといけないこともわかっていた。それに関しては特別な着想源はなかったから、そこは自分に素直に、自分自身が履きたいと思うものにしたって感じだね。

膨らみ続けるコラボレーション文化を俯瞰して、何か思うことはあったりする?

俺は、全てはInstagramから始まったと思っているよ。昔とは違う。これまでとは異なり、Kanyeのような人ともコラボできる可能性がある。現代では多くの人にチャンスがあって、1日ごとに新しいチャンスが巡ってくる可能性がある。この世界は広すぎる、そして拡大の一途を辿っているよ。

誰にこのコラボレーションシューズを履いてもらいたいですか?

全ての人さ。特定の誰、とかではなくね。ただ、TravisやDrakeが持っていることは知っている。でも、俺から誰かにシューズをあげたりはしていないよ。彼らが本当に欲しいと思ってくれたのか、履きたくて履いてくれてるんじゃないかな? 全てはその人次第だね。どんなトップアーティストもこのスニーカーを履くに値するはずだけど、特定の誰かをプッシュすることはないし、彼らを囲ったりする気もない。良いと思ってくれた人たちにリーチするためには、当の本人がフラットでいることが大切なんじゃないかと思っているよ。

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Lil Jupiterrと君が展開するブランドの展望についても教えてもらえるかな?

俺のブランド〈Designer Humans(デザイナー ヒューマンズ)〉を今年リリースする予定だよ。パッキングやシッピング関連など、ブランドとしての機能をきっちりと整備してからね。それに向けて、奮闘している最中なんだ。Lil Jupiterrとしては、今年9月に発売予定の2足目について、〈K・SWISS〉とも絶賛ワークを進行中さ。洋服に関しては、他のブランドとも話しを進めている。俺は何にだってオープンでありたい。世界はひとつの場所に止まるにしてはあまりにも広すぎる。ここ(日本)に来て、それを実感したよ。全ての物事が俺の好奇心を駆り立ててくれるんだ。

これから何かに挑戦したい若者たちに伝えたいことで締めくくってもらえるかな?

最も重要なことは、緻密な計画を練ることだ。自分が心からしたいと思うことについてプラン立てを行い、一歩ずつ実行し、クリアしていくように。今は自分のブランドをやりたいと思っている若者がたくさん存在する。そして、途中で諦めないでくれ。何かをやる時間はたくさんある。でも、有名ではないからといって「もう終わりだ」なんて思わないでほしい。俺は、自分を認めてもらうために知名度が必要だなんて感じたことはない。世の中にはみんなが知らないクールなものが至るところに散らばっているんだ。


いかがだっただろうか。彼は自ら述べているように、天賦の才に恵まれたオンリー・ワンの存在ではない。ファッションが好きで、日常的にSNSを使用する、どこにでも存在する若者である。しかし、その熱量と行動力が彼を今のポジションへと押し上げたのは紛れもない事実であり、情熱に従うことに忠実だったからこそ、一個人として〈K・SWISS〉の目に止まったのだ。彼の言うとおり、国境という概念が取り除かれた今の世界はあまりにも広すぎて、1日ごとに新しいチャンスが巡ってくる可能性がある。このファッションというカルチャーをプレイヤーとして生きていくために必要なことは、アクションを起こし、アクションを起こし続けることなのかもしれない。

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Presented by KSWISS
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