佐野玲於とサミュエル・ロスが DIESEL RED TAG x A-COLD-WALL* のコンセプトやデニムアイテムの魅力に迫る

〈DIESEL〉に革新的な技術を持ち込んだサミュエル・ロスと無類の服好きである佐野玲於が、“実験”を継続する〈DIESEL RED TAG〉を双方の視点から語った特別対談

ファッション 

DIESEL RED TAG(ディーゼル レッド タグ)〉は、〈DIESEL〉が世界的な影響力を持つクリエイティブなデザイナーを招聘し、コラボレーターが〈DIESEL〉のDNAを独自解釈する実験的プロジェクトである。彼らは先日、Shayne Oliver(シェーン・オリバー)、Glenn Martens(グレン・マーティンス)、Gosha Rubchinskiy(ゴーシャ・ラブチンスキー)に続く第4弾として、〈A-COLD-WALL*(ア・コールド・ウォール)〉を主宰するイギリスの才能、Samuel Ross(サミュエル・ロス)とコレクションを発表。誇張的なパイピングやポケット、特殊な染色方法、そしてワークウェアからサンプリングした実用的なディテールを〈DIESEL〉の技術で具現化したコレクションは、デニムというファッションの定番に新たな一面をもたらす、コラボレーションの真髄を突くものだった。

去る12月10日(火)、本コレクションの発表と日本でのローンチイベント開催にともない、Samuelがイギリスから来日。当日はSamuelの友人や〈DIESEL〉ファミリーを含む多くの関係者と共に、知的でハイコンセプトなデザインが体現されたカプセルコレクションのリリースが祝福されが、そこには無類の服好きであるGENERATIONS from EXILE TRIBEの佐野玲於の姿があった。今回『HYPEBEAST』は、Samuel、そして彼と久しぶりの再会を果たした佐野玲於に〈DIESEL RED TAG〉x〈A-COLD-WALL*〉のコンセプトや印象を尋ねてみた。

佐野玲於がサミュエル・ロスに尋ねる DIESEL RED TAG x A-COLD-WALL* のコンセプトとコラボレーションの意義

〈DIESEL RED TAG〉とのコラボレーションは、どのようにして始まったのでしょうか。

Samuel Ross(以下、Samuel):このコラボレーションは、ファッションのニッチな市場とグローバル市場の双方に訴えかけるコレクションを共に制作するために、方向性はもとより、生きる世界も違う2つのブランドが互いを理解するところから始まりました。〈DIESEL〉が培ってきたデニムのエンジニアリングと生産プロセスに触れた時は、興奮を覚えました。この実験的なプロジェクトでは、彼らの技術に〈A-COLD-WALL*〉のデザイン言語を取り入れているのです。

コラボレーションの前後で、〈DIESEL〉の印象に変化はありましたか?

Samuel:〈DIESEL〉は唯一無二のブランドだと思います。過去30年以上にわたり、メインストリームのカルチャーに継続的に携わってきました。子供の頃から大人になった今でも、常にそこに存在し、まるで共に成長してきたような気持ちですね。〈DIESEL〉と仕事をする機会を与えられて最も興奮したことは、衣服のレベルでより幅広いカルチャーにリーチすることができたことです。ブランドに対するイメージは変わらないし、それは玲於も同じなのではないでしょうか?

佐野玲於(以下、佐野):僕もSamuelに同意見です。〈DIESEL〉は僕が小さい頃から身近な存在で、ダンサーを含め周りのカッコいい先輩たちが着ていた憧れのブランドのひとつです。クオリティの高さは、当時洋服のいろはを知らなかった僕でもわかりましたし、それでいてカルチャーへの造詣も感じたから、ハイブランドとストリートのハイブリッドのような印象でした。あとは、ファッション性が高いけど、コーディネートが難しくないところも魅力のひとつで、憧れのイタリアブランドでありながら(価格的に)購入しやすいアイテムもあります。大人になった今でもワードローブに残るし、それでいて若い層も背伸びをすれば届く、あまり類のないブランドなのではないでしょうか。


Samuelは今回のコラボレーションに至るまで、デニムを扱ったことがないと伺いました。

佐野:それは僕にとっても意外なストーリーでした。アイテムを手に取った時に、そうは見えませんでした。

Samuel:なぜ、僕が今までデニムを扱わなかったかというと、僕自身が極端に実験的な洋服を作っているからかもしれません。例えば、プラスチックとポリエチレンを溶解して縫い合わせ、それをデニムと融合させようとしたこともありました。しかし、これはあまりにも実験的すぎて、その発想から実際に着用可能なプロダクトを作ることは決してありませんでした。あくまで材料の研究であり、どのような結果になるのかを見るものに過ぎなかったということです。デニムを〈ACW*〉からリリースするには、まずはじめに、僕がデニムの生まれるプロセスや扱い方を学習する必要がありました。僕が専門とするのは、合成繊維とナイロンです。これらの知識を〈DIESEL〉に持ち込み、彼らと可能性を探ることで、僕はデニムという素材をどのように扱うべきかを理解することができたと自負しています。

佐野:Samuelが扱ったからこそ、僕も〈DIESEL RED TAG〉と〈ACW*〉のデニムピースには、馴染みのあるデニム素材にもかかわらず、今までに感じたことのないような新鮮さを感じたのだと思います。染色の仕方、機能性の取り入れ方、立体感。もし、日頃からデニムを扱い慣れているデザイナーだったり、デニムに凝り固まったイメージがある人であれば、絶対にこのようなディテールにはならないはずです。〈DIESEL〉が長い歴史で培ってきた技術をもとに、Samuelの発想や好奇心を具現化したクリエイティブは、純粋にカッコよく、きっとシーンもこのような刺激を求めていたのではないでしょうか。これを機に、デニムがより自由な素材として認識されたら面白いですね。

Samuel:僕は、ユースファッションとその表現方法について様々な次元から可能性を提示している〈DIESEL RED TAG〉が本当に素晴らしい仕事をしていると思っています。彼らが共に仕事をしてきたコラボレーターたちの芸術性は最高水準にあり、それを継続していることは、間違いなく評価に値するでしょう。〈ACW*〉には現代を代表するグローバルなデザイナーの生態系にとてもマッチする、僕らならではの色彩感覚や素材の質感、ニュアンスなどがあると思っています。だからこそ、僕らは〈DIESEL RED TAG〉が紡ぐ物語の一部になりたかったのです。


コレクション全体のコンセプトやディテールへのこだわりで、何か注力したことはありますか?

Samuel:メインコンセプトは、〈ACW*〉と〈DIESEL〉が交わる箇所におけるエンジニアリングと僕らが所有する素材の専門性をコレクションに反映することでした。だから、僕は〈ACW*〉のアイデンティティのひとつでもある染色の技術で、視覚的なステートメントをもたらす術を考えました。コレクションにはまるでタイダイのように見えるものがありますが、あれは3つの異なる染色技術をレイヤリングしています。目を凝らさないとわからないかもしれませんが、染料が組織レベルで反応することで、このようなマルチレイヤーならではの質感が生まれます。〈ACW*〉の染色へのこだわりを〈DIESEL〉にどのように持ち込むか、これこそが僕たちの挑戦であり、やりたいことでした。

もうひとつのポイントは、再設計したデニムをどのようにして〈ACW*〉の世界観にフィットさせ、それと同時に視覚的な遊びを感じる洋服を生産できるかということ。通常、〈ACW*〉の洋服は建築的で、内向性や重厚感、抑制力などを感じるものが多いです。でも、〈DIESEL〉が生産する洋服は、そのようなエッセンスを柔軟に取り入れる包容力があります。だから、僕らの目標は〈ACW*〉のストロングポイントと〈DIESEL〉の寛容さを活かし、視覚的な刺激を与える“密度”の高いコレクションを作り上げることでした。

佐野:〈ACW*〉はコレクションを通して、イギリスの労働者階級のスピリットを表現しています。そして、今回はそれが〈DIESEL〉のアイデンティティであるデニムとしてアウトプットされました。だからなのか、僕はすごく“ユニフォーム”のような空気感を感じています。デザイン性や機能性が高くてもポップな要素を感じず、スーツではないけど、着ることでどこか身が引き締まる。最近はロゴをミックスした平面的なコラボレーションも多いけど、〈ACW*〉と〈DIESEL RED TAG〉のジョイントワークは、コラボレーションの本質を突いていると思います。

最後に、もしお二人が次に〈DIESEL RED TAG〉とコラボレーションするデザイナーを選べるとしたら、誰を指名しますか?

Samuel:悩ましい質問ですね……。〈DIESEL RED TAG〉の多様性を重んじる哲学を踏襲できる人がいいはずです。Charles Jeffrey(チャールズ・ジェフリー)は〈DIESEL RED TAG〉と間違いなく相性がいいでしょう。彼の感性はこれまでのコラボレーターとは一線を画します。もし、Charlesが〈DIESEL RED TAG〉を切り取ったらと考えると、それだけでワクワクしますね。玲於は誰を指名したいですか?

佐野:そうですね……。〈DIESEL RED TAG〉には、Samuelや次回のコレクションを手掛ける〈READYMADE(レディメイド)〉の細川(雄太)さんと、日頃から交流のあるデザイナーが参加しているので、僕とSamuelが仲良くなるきっかけを作ってくれた〈EYEFUNNY(アイファニー)〉のJURY(川村洋一)さんを指名します。JURYさんはジュエラーですが、既存店舗の空間や家具、インテリアのデザインもしていて、様々な国を訪れているから文化への寛容さもあるし、自然の美しさを感覚的に理解しているはずです。〈DIESEL〉の服飾的なアシストがあれば、純粋なファッションデザイナーにはないものを表現してくれるのではないでしょうか。

佐野玲於がサミュエル・ロスに尋ねる DIESEL RED TAG x A-COLD-WALL* のコンセプトとコラボレーションの意義

〈DIESEL RED TAG〉x〈A-COLD-WALL*〉の詳細は、こちらから。

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Presented by DIESEL
テキスト
Akiharu Ichikawa
フォトグラファー
Akiharu Ichikawa
インタビュアー
Akiharu Ichikawa, Nami Saito/Hypebeast
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