Interviews:“Nike: On Air” で東京1位を獲得した Air Max 1 “Tokyo Maze” デザイナー 宅万勇太

“TYO: ON AIR CLASSROOM”参加に際して〈Nike〉が課した1,500文字以下の作文欄には「ナイキ好きすぎる」の8文字のみを書いて提出したとのこと……

フットウエア 

2018年3月のAIR MAX DAYのプロジェクトの一環で開催された“Nike: On Air”コンテストは、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ソウル、上海の6都市から選ばれたファイナリストが、それぞれの街をテーマにデザインし、オンラインによる一般投票でウィナーを決めるプロジェクトだ。そうして見事選ばれた誇り高き6名のウィナーたちは、2018年7月中旬に米オレゴン州ビーバートンにある〈Nike(ナイキ)〉本社に集合。フットウェアデザイナーやマテリアル、カラーデザイナー、開発担当者とチームを組みながら、自分たちがデザインしたスニーカーの完成に向けて作業を進めた。東京の投票で選ばれたAir Max 1 “Tokyo Maze”のデザイナーである宅万勇太にインタビューを敢行し、自身のサンプルの率直な感想や、このプロジェクトの意義、そして現状のスニーカーシーンに対して思うことを聞いた。

- サンプルの出来栄えはどうでしたか?

最初は思っていた以上にデザイン画からの再現レベルが高く、むしろこのまま店頭に出てもいいと思ったほどです。しかしメンターのKOJIさん(atmosディレクターの小島奉文)やグローバルのデザインチーム、そしてナイキジャパンの担当者に細かなアドバイスを頂きながら、ディテールをブラッシュアップすることができました。終わってみてこんなにたくさん詰められる余地があったかと思うと、改めてスニーカーは奥が深い、と感じましたね。

- 今まではスニーカーヘッズとして、そして今回はデザイナーとして。立場が変わったかと思うのですが、心境の変化はありましたか?

大きな変化を感じました。今までは「みんなが持っていない」とか「人と被りたくない」とか、デザインよりもワンアンドオンリーであることが重要だったと思います。しかしこのプロジェクトに参加できたことで、デザイナーの想いや解釈、生まれた背景に興味が湧くようになりました。ちょうどここに来る前日、Air Max 1 “Anniversary”を買ったのですが、深く調べると顕微鏡レベルでシルエットが忠実に再現されていることを知り、ますます魅力的に見えました。他のモデルも、もっと色々な舞台裏を知りたくなったし、今回のプロジェクトについても、僕のデザインのストーリーにも、多くの人に面白さを感じて欲しいと思います。

- “Nike: on Air”は、スニーカーヘッズの価値観を変えるプロジェクトになり得ると思いますか?

なんとも言えない、ですかね。人と違うモデルを履きたい気持ちが常に僕の中にはあるから、こういったインパクトのあるデザインをしたのも事実だし、譲れないこだわりでもある。しかしプレ値だけが価値基準の時代は、これから少しずつ変わるのではないか、とも思います。そう思い始めた自分の中での大きな変化といえば、欲しいと思う幅が広がりすぎて、所有数がどんどん増えてしまったこと(笑)。

- 心臓部であるNike本社に来てみて感じたNikeの魅力は?

僕が物心ついた頃から人気のブランドで、デザインも先進的。今までは、とにかく“イケてる”ブランドだったが、アスリートのためのさまざまな研究施設なども見学させてもらったことで、アスリートのためのブランドであることを再認識することができました。この広大な敷地に、膨大な設備と人を投資できる。すごく稀有なブランドであり、他には真似できない強みを知れて嬉しいです。

- 他の都市のウィナーたちによる作品を実際に見てみて、刺激を受けましたか? また同じスニーカー好きとして共通点を見つけることはできましたか?

ソウル(韓国)とは、距離が近いからか都市に対して抱くイメージが近かったように思いますね。それはウィナーのGwang Shinだけでなく、ファイナリストすべてに共通していた気がする。一方で同じアジアでも、上海はインスピレーションの源がまるで違った。そして、パリやニューヨークやロンドンになると、ピックアップするカラーリングが自分の発想にないものばかりで刺激を受けました。スニーカーを通じて、生まれ育った環境や文化が嗜好性に大きな影響を与えていることを知ることができたということは、それだけスニーカーが世界共通の基準になっていることを証明していると思いますね。

- ちなみに、Air Max 1 “Tokyo Maze”のデザイン構想はいつから頭にありましたか?

ワークショップとして開催されていたCLASSROOMに参加はしたものの、事前応募でその思いを1,500字以内で提出しなくてはならず、作文が苦手な僕がそこに書いたのは「ナイキ好きすぎる」という8文字だけ。それがなぜか当選してここまで来てしまった感覚です(笑)。デザインについて考えたのはイベント当日だけ。3月にCLASSROOMに参加して、来日していたグローバルのデザインチームにデザインについての簡単な説明を受けて、ようやくコンセプトが固まりました。今回のテーマは“自分にとっての東京”。この街には、自分よりも抜きん出た才能をもった人が沢山いる。いろんな意味でフラットで、競争の少ない田舎で育った自分は、東京という街でどう生きていくのか、持っている価値観は正しいのか、現状の生活に満足しているのか、いろんなことを自問自答してきました。その答えはいまだに見つかっていません。東京で暮らすことで感じた人生という迷路と、18歳で上京したばかりの右も左もわからない頃に、地下鉄の路線図が迷路に見えたことが、ふと結びついたんです。

- 今後、スニーカー業界やカルチャーシーン全体がどうなっていくことを望みますか?

価値観は人によって違うから、それぞれがそれぞれの好きなスニーカーを好きに履けばよいと思います。大切なのは、好きな気持ちがブレないこと。僕はもっとヒストリーとストーリーを深く掘り下げて、スニーカーというものを常に究極の自己満足ツールにしておきたいと思います。

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MASAYUKI OZAWA

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