シッピングコンテナを創造的に再利用した世界に点在する魅惑のホテル 10選
優れた凡庸性で世界的に需要が高まるコンテナを居住スペースとして応用したクリエイティブな宿泊施設
今、船の積み荷として使用されるシッピングコンテナの需要が高まってきていることはご存知だろうか。海を渡り、世界中に商品を届けるため、安全性を1番に考えられて設計されたコンテナは面白い創造力のもと、輸送意外の用途で使用されることが多くなってきているのだ。例えば、カタールに設置された再利用可能なサッカースタジアム、海の上を浮遊する学生用住宅や星のような面白い形が特徴的なカリフォルニアの『Joshua Tree Residence(ジョシュア ツリー レジデンス)』など、シッピングコンテナの持つ凡庸性の高さによって、次々と独創的な新空間が作り続けられている。特に、今回紹介したいのがホテルやシングルルームのリトリートなど様々なタイプの宿発施設である。
Quadrum Ski & Yoga Resort / ジョージア
標高2,200メートル、ジョージア州グダウリにある『Quadrum(クアドゥルマ)』は、リサイクル出荷用コンテナから作られたブティックホテルだ。エコを考慮して作られたホテルは、雄大な自然を抱えるこの場所と共存するよう、周囲の自然環境にできるだけ影響を与えないように設計されている。積み上げられたかのように設置された1つ1つの部屋全てから見えるコーカサス山脈の景色は圧巻だ。
Tiny Urban Escapes / インディアナポリス
失われた睡眠を追い求めた少し罪悪感のある怠惰な日曜日。人間らしい生活を楽しんで息抜きのできる場所。そんなコンセプトが垣間見えるインディアナポリスの『Tiny Urban Escapes(タイニー アーバン エスケープ)』もリサイクル輸送コンテナがベースとなっている。カナダ企業「Glasshaus(ガラスハウス)」が製造した各キャビンには、ダブルベッドと広々とした専用デッキ、床から天井までのユニークな壁が特徴だ。
Artikul Architects の Containhotel / チェコ
チェコにある『Containhotel(コンテインホテル)』は、リトムニェジツェの町の近くを流れるエルベ川沿いにあるポップアップ型宿泊施設だ。2つの6メートルのコンテナの上に、更に積み重ねられた12メートルの長さのコンテナで構成された本ホテルの近くにはレイルトラックがあるため、地元では“トレインスポッティング”という愛称で親しまれている。
Beach Box Hotel / インド
インドのバガゴアに位置する『Beach Box Hotel(ビーチボックスホテル)』は、使用されていたシッピングコンテナによる完全リサイクルの宿泊施設だ。赤いカラーがゴージャスなインドらしいホテルは、全16室からなる客室、レストラン、バー、スイミングプールを併合した高級感漂うリゾート施設のような仕様になっている。
FlopHouze / テキサス
『FlopHouze(フロップハウス)』では、ゲストがどのような設計でどのようなデザインの部屋に住みたいのかを決める前に、6つある内のいずれかに滞在できるコンテナハウスだ。テキサス州ラウンドトップに位置する『FlopHouze』は、各ゲストハウスにリビングルーム、キッチン、ベッドルーム、バスルームを設置。さらにニューヨーク州北部にあるカンパニーファームによる木造家具や、フィラデルフィアの解体予定の学校の窓、そしてブルックリンのラボラトリーによるキッチンキャビネットなどが付属している。
Studio Edward van Vliet の The Yays / オランダ
デザイナーであるEdward van Vliet(エドワード・ヴァン・フリート)によってアムステルダムの『NDSM』内に作り出された空間は、古いパーツと新しいパーツを組み合わせることで、今までになく珍しい空間にシッピングコンテナを改装したものだ。「Yays Concierged Boutique Apartments」が運営するこの滞在施設は、休日にゲストを空中に宿泊させるという新たな試みはもちろん、クレーンの持つ長い歴史の一部にすることで、ゲストに一生ものの思い出を残してくれることだろう。
Hougoumont Hotel / オーストラリア
『Hougoumont Hotel(ウーグモン ホテル)』 は、1901年に建てられたオリジナル部分と、全くを持って新しい海上コンテナを融合させることによって、ゲストに過去から未来へ想いを馳せる体験を提供する、歴史的な観光地の中心に位置する小さなブティックホテルだ。色やマテリアルなど大胆なコンビネーションが上手に融合する革新的な建造物は、新たな観光スポットとして人気を博している。
TAK architects の Ccasa Hostel / ベトナム
「TAK建築研究所」によって設計された『Ccasa Hostel(Cカサ ホステル)』には、ベトナムを訪れるバックパーカーを歓迎する暖かいムードが漂っている。古く使われなくなったコンテナを生き返らせたホテルのデザインは、電車のキャビンからインテリアのインスピレーションを受けたとのこと。また、各ベッドルームが完全なる家具付きキャビンというのも嬉しいポイント。
WineBox Valparaiso / チリ
その名の通り、ワインをテーマにして作られたこのホテルは、近郊の港から回収された25個の輸送用コンテナで構成される宿泊施設。『WineBox Valparaiso(ワインボックス ヴァルパライソ)』ではリユース家具やグラフィックペイントなど、アーティスティックなアイテムやスペースで、唯一無二の体験を味わうことができるはずだ。また、各ゲストの部屋にはプライベートテラスも併設しているとのことなので、ゆったりと空間を楽しむことも。
Geoffrey Stampaert、Didier Opdebeeck、Ellen Wezenbeek の Sleeping Around
『Sleeping Around(スリーピング アラウンド)』は、需要に基づいて世界中どこにでも旅することが可能なポップアップホテルだ。輸送コンテナは凡庸性が高いので、田園地帯にも刺激的な都市部にでも適応することが可能。ゲストは常に、ホテルが今どの場所に移動したのかを確認することができ、このモバイルホテルは次なるターゲットとなる場所を見つけ、到着してから5時間以内にホテルとして機能することが可能。『Sleeping Around 』は、宿泊施設の新たな価値観を産み出したと言っても過言ではない。