adidas が大学バスケのプレイヤーに賄賂を与えているとして Skechers に訴えられる
デザイン盗用裁判で敗訴した〈Skechers〉のカウンターアタック
スポーツカンパニーが自社の権利や商標を巡って、競合他社と裁判になるケースは決して珍しいものではないが、〈Skechers(スケッチャーズ)〉と〈adidas(アディダス)〉の法廷におけるバトルが新たな展開を迎えている。
これまでに「adidas」社から、そのシューズデザインの類似性を巡って度々訴えられてきた「Skechers」社であるが、2016年から続いたStan Smithのデザイン盗用裁判で敗訴の判決を言い渡された僅か数日後に反撃に打って出た。今度は「adidas」社に対し、同ブランドがNCAAのカレッジバスケットボール選手に賄賂を渡し、市場の公正な競争を妨げていると提訴した。
その申し立てによると、「adidas」社は高校や大学のバスケットリーグでプレーする学生アスリートとその家族に対して不正に金銭を渡し、同ブランドのプロダクトを着用するように抱き込んでいたという。それにより、ストリートバスケのレベルからNBAレベルのエンドースメントに至るまで、「Skechers」社およびその他ライバル会社の競争力を奪い、バスケットボールフットウェアの枠を大きく超えて、〈adidas〉のブランド価値/イメージに対する消費者の認識を不当に引き上げているとした。
現在、バスケットボール部門を持たない「Skechers」社からの訴えとなると、裁判に負けた腹いせにも見えてしまうが、同社の傘下にある〈BlandBlack(ブランドブラック)〉では、バスケットボール事業を展開しており、過去にはJamal Crawford(ジャマール・クロフォード)やJosh Smith(ジョシュ・スミス)といったNBA選手と契約していた。
同社は、「adidas」社が不正に獲得した利益、自社の売上損失の被害、低下したブランド価値、それに伴い増加した広告やマーケティング費用のリカバリーと、これ以上の同ブランドによるアマチュア選手への違法な契約金の受け渡しを防止する禁止命令を求めている。
この訴えに対して「adidas」社のスポークスマンは「根拠がなく馬鹿げており、即座に棄却されるべき」としたが、火のないところに煙は立たず、昨年9月にはFBIの過去2年に渡る捜査の末、アマチュアアスリートへの賄賂と同ブランドがスポンサーを務める大学への進学に加え、プロ入り後の契約を不正に誘導したとして、同社の幹部と社員が逮捕されている。
同社の先物買いは現在に始まったことではなく、1990年代には当時ダイヤの原石と呼ばれ、高校卒業後にプロ入りしたKobe Bryant(コービー・ブライアント)やTracy McGrady(トレイシー・マグレディ)にいち早く目を付け、多額の契約金で自社の広告塔に迎えている。
昨年、〈Jordan Brand(ジョーダン・ブランド)〉を抜き、全米スポーツフットウェアのナンバー2の座に就いた同ブランドなだけに、今後も金の卵を一つでも多く獲得していきたいというのが本音だろうが、行き過ぎた争奪戦に発展しないことを願う。
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