Hender Scheme と adidas Originals の両者が語るコラボプロジェクトの起源とこだわりの製造過程

柏崎亮とErman Aykurtの両者が互いへのリスペクトから今回の価格設定までを赤裸々に明かす必見のインタビュー

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浅草に工房を構える日本のレザーブランド〈Hender Scheme(エンダースキーマ)〉はモダンなシルエットからクラシックなものまで、あらゆるスニーカーを長年の職人技で芸術的に再構築し、世界的に高い評価を得ている。ブランド創設者/デザイナーの柏崎亮は東京のレザー業界で靴職人としてノウハウを学び、そこで培ったスキルとデザインへの愛情がスニーカーを手がける現在の原動力だという。

〈kolor(カラー)〉、〈White Mountaineering(ホワイトマウンテニアリング)〉、〈mastermind WORLD(マスターマインド ワールド)〉など日本を代表するブランドの数々とコラボレーションしてきた〈adidas(アディダス)〉は、今回初めて〈Hender Scheme〉と手を組む。そのパートナーシップを記念し、両者は上質のタンレザーと伝統的な職人技術を採用しMicroPacer、NMD R1、 Superstarの全3型をリメイク。〈adidas〉の代表作にラグジュアリーなエッセンスを注入した本コレクションは『HBX』でも絶賛販売中だ。

幸いにも、我々『HYPEBEAST』は〈Hender Scheme〉の柏崎氏と〈adidas Originals(アディダス オリジナルス)〉のシニアデザインディレクター Erman Aykurtの両者に話しを伺う機会を得た。本プロジェクトの発端から製造過程までを赤裸々に語ってくれた必見のインタビューを、是非以下よりお楽しみください。

ー adidasとHender Schemeのパートナーシップはどのように始まったのでしょうか。

Erman Aykurt: 亮さんが手がけている商品はこの業界でも非常にアイコニックで、もはや殿堂入りしたスニーカーのような存在です。東京にadidas Originalsのオフィスがあって、元々関係性が築かれていたんです。今回はそこから派生したような感じですね。

ー このプロジェクトに向けてモデルをどのように選んだのでしょうか。Hender Schemeのスタイルを落とし込むのは難しかったですか?

柏崎亮:同じコンセプトでやってきていることなので基本的には最初のコンセプトを守りながら手がけました。SUPERSTARとMICROPACERはすでにMIPのシリーズで作っていて、今回adidasとコラボするにあたってNMDを新作として作りました。

ー 今回、adidasのテクノロジーは組み込まれたのでしょうか。

Erman Aykurt: お互いにとって初めての挑戦なので、より相手を知り、互いに何を提供しなければならないかを知るために、お互いがこのコレクションを次へのステージとして考えました。前もって決めたゴールはなく、ただお互いの技術を評価し、何がそこから生まれるかを決めたのです。

ー 全体的な制作過程はどのような感じでしたか? それぞれの靴を作るのにどれくらいかかったのでしょう。

柏崎亮: 僕らは工業と工芸の中間の手工業というメソッドを採用しているので機械も使います。なので一概に一足にどの程度の時間がかかるかを言うのは難しいですが、平均で2〜3ヶ月くらいかなと思います。

ー NMDを選ぶにあたりどのような考えをお持ちでしたか?

柏崎亮: スニーカーをリメイクするという考えは、一から靴を作ることとはまた違います。Ermanは意図的によく知られているスタイルやモデルを選ぶので、完成時にはみなさんに違いがわかるようになっています。同じシリーズですが、製造工程はまったく違います。

ー 他のモデルで候補に入っていたものはありますか?

柏崎亮: これらは僕らの背景で作っているので将来的には、逆にこのエッセンスをadidasの背景と融合させたいと思っています。

ー この共同プロジェクトでもっとも大変だったことはなんでしょう。

Erman Aykurt: adidasにとっては少なからず、一緒に働き、良いパートナーであろうとすることですね。そして、新しいモデルを手がけるのは挑戦でした。亮さんは靴作りにおいて本当に熟練されていて、彼の靴職人や製造における考えから我々は多くを学びました。彼から学ぶというのはとても頭の下がる経験です。

ー 初めてHender Schemeが手がけたadidasのクラシックなモデルを見たとき、どのようなリアクションをしましたか?

Erman Aykurt: この洗練されたスニーカーがadidasに仲間入りするというのは光栄なことです。私たちは基本的なデザインを踏襲して協業することに良い印象を受けました。我々adidasはクラフトの専門技術に強い関心を持っているんです。その過程は手作業にフォーカスしているので、違った形やスタイルが生まれます。亮さんはこの領域に精通するマスターですから、これが将来的にもうまくいくと思いました。

ー 価格は900ドル〜1,000ドルで設定されていますが、価格設定について詳しく聞かせてください。価格帯はどのように決められたのでしょうか?

Erman Aykurt: adidasの観点から言わせてもらうと、今業界はその方向(高価格設定)に向かっていて、この価格帯は珍しくありません。このアプローチによって、限定品を作ることに対してより多くの理由が持てるのです。製造能力と所要時間によって生産数が限られますから、もちろん最高級のレザーを使った特別な製品ができるわけです。そして、靴の構造を深く考え、タイムレスなものを作ることをゴールとしています。

柏崎亮: 製造方法で自然と価格は決まってくるので、戦略的な価格設定を持つのは難しいですね。

ー 今回のコラボフットウェアをadidasの現在のカタログに載っている靴とはどのように区別しますか?

柏崎亮: NMDを初めて手がけたのですが、スタピライザーやロゴが入ることもあり見え方もガラッと変わったと思っています。よく見るとわかるのですが、それぞれのモデルに違う素材を採用しました。例えば、これはニットのアッパーをオマージュしており、柔らかいウォッシュドレザーを選び、見た目と触り心地をできるだけオリジナルに近づけました。ヤギと牛のレザーを合わせたものを使ったりもしましたよ。

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