有罪となったマーティン・シュクレリが2億円で買った Wu-Tang Clan の幻のアルバム冒頭10分を公開
「僕がWu-Tangのアルバムに200万ドルも払う必要はなかったけどそうしたのは、僕が音楽を愛してるからなんだよ。」

あのMartin Shkreli(マーティン・シュクレリ)が、Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)の幻のアルバム『Once Upon A Time In Shaolin』の冒頭数分を公開した。彼の名前に聞き覚えのない人もいるかもしれないが、このMartin Shkreliはアメリカで最も嫌われている人物とも言われている実業家。その理由をざっくり言うと、エイズ治療などに使われる薬の権利を買い取り、その価格を50倍以上に引き上げたという、病に苦しむ人たちをカモにする金儲けをしたこと。さらに証券詐欺で訴えられ、女性へのTwitter上での嫌がらせ行為をしたことに加え、2015年12月にWu-Tang Clanの世界に一つしかないアルバム『Once Upon A Time In Shaolin』を200万ドル(約2.2億円)で買い取り、それを独占している人物だ。世間の強い風当たりにも負けず飄々としている態度も嫌われている原因のよう。そんな嫌われ者“pharma bro”が、証券詐欺など複数の詐欺罪でニューヨーク現地時間8月4日に有罪評決を受けた。裁判の後、保釈された彼だが、マンハッタンの自宅に帰ってきて早々、訪れたインタビュアーと1時間ほどの対談をしている。Wu-Tangにはさほど興味なさそうなインタビュアーだが、その様子を記録した映像の中で、「そのアルバムは今聞けるの?」とナイスな質問。それに応えShkreliは、以下のような発言をしつつ、幻のアルバム『Once Upon A Time In Shaolin』の冒頭と思われる10分ほどを明らかにしたのだ。その音源は下のプレーヤーの49:00頃からスタートする。Shkreliたち構わず話し続けているのでBGMとしてではあるが、ヒップホップファンたちが聞きたくてたまらないその貴重なトラックを、以下より是非チェックしてみよう。
僕はここ数年で、ニューヨークの高校や難病を持つ人々に総額1,000万ドルくらい寄付をしてる。それが僕っていう人間の生き方だ。僕は贅沢品に囲まれたいわけじゃない。僕はWu-Tang Clanに200万ドルも寄付して、その引き換えにミックステープを手にいれた。素晴らしい投資と言えるじゃないか。僕はこれを寄付だととらえるね。人はこれを贅沢だとか無駄遣いだと見るかもしれないけど。世界には、僕ほどヒップホップをサポートしている人はそれほどいないと思ってる。僕がこの音源を買ったことを、金持ちの傲慢や見せびらかしだとか思っている人がいるけど、Wu-Tang Clanたち自身がこのアルバムを5,000枚売れば採算がつくところを、200万ドルでまるっと売ったっていう事実が、まず物語っているじゃないか、彼らは単純に“施し”を求めていたんだってことを。だから僕はそれに乗ったまでだ。だって実際、僕個人がWu-Tangのアルバムに200万ドルもつぎ込む必要はなかったんだ。でもそうした。それは僕が音楽を愛してるからなんだよ
そんなShkreliは現在、500万ドル(約5.5億円)の保釈金を支払い保釈中の身。最高で20年の禁固刑の可能性もあるが、本人はその判決は受けないだろうとの見解だ。有罪評決後、Shkreliが述べたFacebookでのコメント(英文)はこちらから。