巨匠の新作を観にいこう:田名網敬一 個展 “貘の札”

『NANZUKA』にて開催中

アート
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現在、移転した『NANZUKA』ギャラリーにて開催中の田名網敬一の新作個展“貘の札”を覗いてみよう。幼少期の戦争体験が反映された、サイケデリックな作品で有名な巨匠・田名網氏。過去には〈Stüssy(ステューシー)〉や〈C.E(シーイー)〉などとのコラボレーションも行ってきた氏の今回の個展では、大型作品を含む約10点のペインティングや、世界各地の国際映画祭で上映されている新作アニメーション作品『笑う蜘蛛』などを鑑賞することができる。妖怪風の生き物やアメコミような風刺、裸の女性や水のモチーフなど、奇怪ながらポップにも感じる氏の作品は、戦争に紐づく戦闘機や爆発、負傷者の姿、また死や恐怖といった事象、感情が、田名網氏の夢の中で変換されたものだという。以下はギャラリーによる田名網氏の作品解説の一節。上のフォトロールの作品と一緒にチェックしてみよう。

骸骨姿の様々なモンスターたちは、戦争で傷ついた人々であり、恐れを知らぬ私たち自身を暗示します。こうした創作行為は、しばしば田名網の夢の中で起こります。-中略- 記憶や夢と並行して、キリコやウォーホル、リキテンシュタイン、若冲、エッシャーといった田名網が好きなアーティストたちの作品も随所に登場します。こうした引用は、「死」への恐怖やトラウマ体験をむしろエネルギーへと変換することで今なお進化を続ける田名網敬一にとって、プラスの効能として自然な成り行きなのかもしれません。田名網は、これらの作品について自身が「死後に住む世界」だと、まるで冗談とも思える解説をしていますが、ここに描かれているものは、ポップ、サイケデリック、シュールレアリスムなどといった美術のあらゆる類型を超えて行こうとする孤高の領域なのです。

さらにこの個展に合わせ、『貘の札』、『Psychedelic Death Pop』と題された2冊のアートブックも登場。特別付録として2つの大型ステッカーがついてくるとのこと。近年自身の80年以上の人生を集約した“曼荼羅(まんだら)図”のような作品制作に取り組んでいるという世界的アーティストの作品の力を感じに、この個展へ是非足を運んでみてほしい。

田名網敬一 個展 “貘の札(Amulet of the Tapir)” @ NANZUKA
住所:東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイビスビルB1F
Tel:03-3400-0075
会期:6月24日(土)〜8月5日(土)
時間:11:00-19:00(日・月・祝祭日定休)

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