クリス・ヴァン・アッシュが Dior Homme にもたらす、ニューウェーブスピリットとは

東京へ来日したKVAが語るDior Hommeに対してのビジョン

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ファッション

Kris Van Assche(クリス・ヴァン・アッシェ)と〈Dior Homme(ディテール オム)〉がチームアップしてから10年が経ち、〈Dior Homme〉が彼とともに進化していることは誰もが気づいているであろう。アッシュは不本意ながらも「人々を混乱させたい」という欲望をコレクションに反映させているだけではなく、現代のボーダレスなファッション風景も表しているのだ。しかし彼の柔軟な創造性などがあっても“Dior”というビッグネームを維持しなくてはならない大きな責任を負っているのは確か。また彼は〈Dior〉の偉大なる伝統が許す範囲内でやるべきことをやらなくてはならず、そしてこれを達成するための唯一の方法はバランスを取ること。このテーマは彼がいう「ブランドの本質」なのだ。

今回は『GINZA SIX』でのオープニングも兼ねて、同ブランドのアニバーサリーイベントを東京で開催。そしてそんなビッグセレブレーションのためにKris Van Asscheが来日。そこで彼が今まで手掛けてきたキャンペーンやバランスの重要さなどについて語ってもらった。

Kris Van Assche Tokyo 2017

ー今年で〈Dior〉は創業70周年を迎えます。そしてあなたは10年もデザイナーとしてブランドと関わりを持っていますが、あなたが入ってからブランドに変化があったと思いますか?
このストアの広さを見てもらえば分かると思うけど、かなり成長したよ。僕はこのストアがとても好きな理由は、現在ブランドとして提供している物の規模が自分の目で見れる素晴らしい環境だからなんだ。ブランドのバックストーリーとアイテムを上手く見せるということが、〈Dior〉だと思うから非常に重要なんだ。僕はブランドとして大きく成長したのが、最大の変化だと思うよ。

ーあなたはどのような永続的な影響を〈Dior〉にもたらしたいですか?
僕はそのような考えは一切もっていないんだ。僕は来季のことまでしか考えていないよ。どのように人々に興味を持ってもらえるか、どのように期待してもらえるか。これが僕が唯一心配していることだよ。僕はすぐに物事にスタンプを押すような革命家ではないんだ。僕の仕事は一貫性を持ちながら進化していくこと。だから多くのアイテムは僕が手掛けたデザインだと認識しやすいシルエットに仕上がっていると感じているし、特に自分のレーベルを休止してから〈Dior〉にKris Van Asscheさが更に落とし込まれていると思う。僕はヘリテージを心配するよりか、来季について心配するんだ。

ーあなたは〈Dior Homme〉のSNSにかなり関わっていますが、あなたが気に入っているInstagramのアカウントはありますか?
正直なところ、僕は作品が持つ深みや新たな情報を提供するためにInstagramを使用しているだけなんだ。僕は毎晩、深夜の3時に踊ったりしているけどそれをセルフィーするタイプではないし、それをアップしたとしても創造的なプロセスや理解力に何かプラスになるとは思えない。そして僕にとって、この情報だらけの世界から何を選ぶかというのも大事だと思うんだ。今では誰もがジャーナリストになれ、誰もが意見を発することができ、誰もがいい記事、悪い記事を書くことができる。また誰もが写真を含め、何もかも投稿できる時代。しかしそれは僕が〈Dior〉の正しいブランドイメージを発信するいい方法だと思ったし、Instagramは〈Dior〉の正しい情報であり、良い記事を投稿しているということでもあるんだ。そして私が考えていることをすべて知りたいと思っている人にとって、僕のInstagramから僕の明確なアイデアが見えると思う。それ以外に、僕は本当に時間や関心を持っていないんだよ。Instagramは僕の考え方を魅せるだけのプラットフォームなんだ。

ーつい最近になって、テクノロジーはファッション界においてもマーケティング、プレゼンテーション、時には衣類にも使われ重要な要素となってきました。今後〈Dior Homme〉がテクノロジーを衣類に取り入れることはあると思いますか?もしあるとしたら、どのように融合させてみたいですか?
先ほども言ったように僕は来季より先のことは考えていないんだ。しかし来季にテクノロジーを使うことはないとは断言できるよ。しかしこれから何が起きるかわからない。生地は今までよりも知的的になっているし、10年前と比べると今ははるかに面白い生地が存在しているからそれとともにファッションも前に進んでいると思うし、特にスニーカーやスポーツウェアは更に進化することができる。そしてこの10年間で学んだことはたくさんあるから僕でもこれから何が起きるかはわからない。でもテクノロジーと〈Dior〉のアイデンティティが結びつくかといえば、そうとは思わないけど、さっきも言ったようにこれから何が起きるかわからないだろ?

ー〈Dior Homme〉は音楽界やエンターテイメント界、さらにはスポーツ界を代表する人々とチームアップすることが多いと思いますが、〈Dior〉のアンバサダーにはどのような要素を求めていますか?
重要なのはその人が色々なブランドのアンバサダーになれてしまえそうな人かどうかということ。ブランドとその人にはリアルなリンクがないといけないと思っているよ。Larry Clark(ラリー・クラーク)に撮影を頼んだ理由は僕のムードボードが彼の作品で埋まっていたからなんだ。最初は彼が撮影した子たちを新たに撮影しようかと考えていたんだけど、30秒後ぐらいにラリー本人を撮影してみようということになったんだ。またA$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)も前から何回も僕のショーを見に来てくれていたし、キャンペーンに参加して欲しいと依頼する前から彼とはリアルな関係性を築き上げていたんだ。ファッションについて誰も想像することのできないような素晴らしい会話を僕はロッキーとしたことがあるんだ。彼は僕の仕事をとてもよく理解してくれているから彼がアンバサダーになることは理解できることなんだ。でもそれはロッキーだけではなく、Boy George(ボーイ・ジョージ)もいい例だよ。今となってはジェンダーレスなファッションショーが多くなっているけど僕がまだ子供の頃、20-25年前は彼が“ジェンダーレス”を代表する人物だったんだ。私は生き方や人生においてのルール、自分が何を意味するものなのかなと疑問に思っていた頃に彼がいた。私が一緒に仕事をしたいと思う人たちは、僕が個人的に何か深い思い入れや関係を持っている人たちなんだ。

Kris Van Assche Tokyo 2017

ーあなたのビジョンを〈Dior Homme〉に取り入れる際、どのような挑戦がありますか?
僕にとって〈Dior〉はバランスです。ディオール氏本人もバランスがよく取れていたし、コントラストも大事にしていたと感じるんだ。シルエットはフェミニンだけど生地はマスキュリンであるとか。ディオール氏はそんなコントラストを大事にしていたし、僕も同じなんだ。僕がニューウェーブミュージックからインスピレーションを得ているのであれば、僕はスポーツウェアの要素が欲しいと思う。もしダークでロマンティックなミュージックだったらスケートボードと合わせたり、僕はいつも強いコントラストを求めているんだ。それは文字通りの文脈から物事を取り除き、新しい視点とスタイルを与えること。例えば80年代の音楽であったらそれは文字通りになりすぎてしまうと思うし、僕はシアターやノスタルジックなのはやりたくないんだ。だからコントラストとバランスを上手くとることが重要。基本的に僕には限界がないので、僕が実際どのぐらいショーに自分を入れ込むことができるのかもわからないんだ。ただブランドに合うということが大事なんだ。

ーあなたは伝統的な黒のスーツをさまざまなフォルムや素材で再解釈してきましたが、何がそんなにもあなたの目を引くのですが?
基本的に〈Dior Homme〉のDNAだからかな。黒のテーラードスーツを僕は正確に表すことが、僕の役割でもあるし喜びでもあるんだ。こないだの1月にあったショーではスポーティなスケーターパンツと黒のテラードジャケットを合わせたのがキールックだったんだ。いつも新しい世代のために黒のスーツを改革することは、ブランドの本質でもあり、大事なことでもあるんだ。スポーツウェアやテーライングを取り入れても、いつもブランドの中心にあるのはコンテンポラリーなスーツなんだ。

ーつい最近に亀井徹さんとコラボレーションをしましたよね? それはどのように始まったのですか? なぜ亀井さんの作品があなたの目を引いたのですか?
それはとても自然なプロセスで始まったんだ。僕は昔から花がとても好きで、ディオール氏も同じだった。そして僕はニューウェーブやゴシックミュージックについて研究をはじめ、そこから僕はチームにゴシックと花についてリサーチするよう頼んだんだ。もちろん最初はスカルと花といったらGuns-N-Rosesが出てくるけど、僕たちはその考えから離れようと思ったんだ。僕たちはさらにリサーチを進め、ダークロマンティックで詩的な要素を持つスカルを見つけようと努力し、最終的に亀井徹さんの作品に出会ったんだ。彼の作品は文字通り、ゴシックな花やスカルだから完璧だったんだ。それから僕たちは彼に連絡を取り、コラボレーションが始まった。同じ疑問を抱いている人に接触することができるのは興味深いと思うんだ。

ー上記のコラボレーションに加えて、あなたは今季スケートボードやパンクの要素を手がかりにしていましたが、2つのテーマのどこがあなたの興味をそそったのですか?
それはただ単に物事を正確に保つことであった。もちろん、18歳の時は僕もロマンティックだったし、ニューウェーブのクラブに通っていたからニューウェーブは僕にとって甘酸っぱい思い出でもあるんだ。でも昔を振り返るだけではなく、今のことも考えないといけない。これらの2つの世界のコントラストは非常に興味深いと思うんだ。僕が若い時はニューウェーブキッズになるか、ハウスキッズになるか選ばないといけなかった。全く違うスタイルだったし、明らかに同じ音楽を聴かない、一緒に遊ぶことなんてなかった。だから今はさまざまな箱から良い要素だけ摘み取って、それを再構造するのを僕は楽しんでいるよ。新たなスタイルを作り上げることができるからね。男の子、いや男性も何か“コード”を持ったり、属することが好きなんだよ。スポーツクラブや、バイククラブ、銀行員の集まり、バンドなど、男性は何かしらの“コード”を求めるんだ。そして僕のファッション界においての役割はすべての“コード”をミックスさせること。すごくそれが楽しく感じるし、人々を混乱させつつも、それらの“コード”を振り返らせることができるんだ。

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