Interviews: ギョーム・フィリベール of Filling Pieces

26歳の若き気鋭シューズデザイナーが語るそのクリエーションやマインドについて

フットウエア 
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高級百貨店の『Barneys New York』やNYの『KITH』、パリの『Colette』などといった錚々たる人気リテーラーにて展開され、お騒がせセレブとしてお馴染みのChris Brown(クリス・ブラウン)や人気モデルのGigi Hadid(ジジ・ハディッド)、ヒップホップシーンの重鎮Puff Daddy(パフ・ダディ)らを始めとする世界中のセレブリティやアイコンたちがそのスニーカーを愛用するオランダ・アムステルダム発のフットウェアブランド〈Filling Pieces(フィリング ピース)〉。そんな人気フットウェアブランドを手掛ける26歳の若きデザイナー/クリエイティブディレクター・Guillaume Philibert(ギョーム・フィリベール)が6回目となる来日を先日果たした際に、『HYPEBEAST』ではそのクリエーションやマインドに迫るインタビューを敢行。日本のメディアに露出するのは今回がほぼ初めてとのことなので、まずはその彼のクリエーションやマインドについて迫った貴重なインタビューをチェックしていただきたい。

- まずは日本へようこそ。日本に来たのは今回で何回目?
ありがとう。そしてインタビューの機会を設けてくれたことに対しても感謝するよ。日本に来たのは今回で6回目になるね。僕は東京が大好きさ。世界で一番好きな場所と言ってもいい。もちろんアムステルダム以外でね。

- 最初に簡単に自己紹介をお願いしてもいい?
もちろん。僕はフットウェブランド〈Filling Pieces〉のファウンダーであり、クリエイティブディレクターを務めるギョーム・フィリベール。僕は以前アムステルダムの建築学校で空間や家具のデザイン、建築学などを学んでいたんだ。それからシューズデザインに興味をもって、7年前の19歳の頃に最初のシューズデザインを手がけてブランドを設立した。

- ブランドを設立したきっかけについてもう少し聞かせてくれる?
昔ひとりのファッション好きとして沢山のウェアやシューズを買っていたとき、ラグジュアリーブランドが出すようなカッコよくて高品質でハイプライスなフットウェアと、スポーツブランドからリリースされるような大量生産でマス向けなフットウェアの中間に存在するプロダクトやブランドがないと感じたんだ。だからその中間にあるギャップを“埋める存在”としてフットウェアブランド〈Filling Pieces〉を設立した。ブランド名の由来も同じ理由だね。(“Filling”とは英語で“埋める”、“Pieces”とは“断片、一部、モノ”の意)

- アパレルではなくてシューズデザインの道に進んだきっかけは?
7年前にブランドを設立した当時、もう既に世には多くのアパレルブランドやクロージングレーベルが存在していた。でもインディペンデントなフットウェアレーベルってのは当時無くて、そのマーケットはとてもニッチなものだったんだ。でも単に簡単な道を取ったわけではないよ。言うまでもなくアパレルよりフットウェアの方がそのデザインやプロダクションのプロセスは複雑。でもさっきも言った通りフットウェアに関してはラグジュアリーとマスの間に存在するプロダクトやブランドは当時はなかった。そういう意味でより多くの人々にアプローチ出来ると思ったんだ。

- 建築学校にいたそうだけど、そこで学んだことはシューズデザインにどのように反映されてる?
洋服や服や家具などを含むなにかプロダクトをデザインするとき、全てはコンセプトからスタートする。アイディアの裏にある最初のアイディアだね。僕が思うに、デザインをするということは問題を解決していくということ。どんなプロダクトや建築物をデザインするにしても、デザインするという行為はそういう意味で同質なものなんだ。そしてモノに美しく機能性を与えていくということが僕のデザインにおけるキーポイント。建築物もシューズも機能的でなくてはならないだろ。そういう意味で建築学校での経験は今の僕にとってかけがえのないものになっているよ。

– シューズデザインのプロセスはどんな感じ?
7年前に最初のフットウェアとしてデザインしたLow Topっていうモデルがすべてのベースなんだ。とてもシンプルだけどディテールまで拘りぬいたモデル。ヒール部分は一見シンプルに見えて履いた時のバランスがよく見えるように計算しつくされているし、タン部分の形状も全ての〈Filling Pieces〉のフットウェアに統一されたディテールなんだ。それから各モデル毎に合わせてデザインするソールも特徴的だね。ぼくらが作るシューズはブーツからスポーティーなテイストのモデルまで全てがこのLow Topをベースにデザインされている。だからこそ表情の異なるシンプルかつミニマライズされたシューズながらもコレクション全体に統一感が出るし、そこにブランドらしさが現れるんだ。

- 建築学の他にデザインにインスピレーションを与えるモノやコトはある?
文化だね。僕はこれまでに色んな国々を訪れてきて、その先々で僕にとって新鮮な文化に多く触れてきた。その国や都市が持つ街並みや自然、モノ、そこで交流した人々、例えば今もこうやって君と東京の街で対面して会話を重ねてるだろ? そういった異文化の経験の積み重ねが僕らのクリエーションにとって非常に大きなインスピレーション源になっていると思う。

- 日本とアムステルダムのストリートシーンを比べてみて何か感じることはある?
正直に言うと、世界のそれなりに大きな都市の場合はそこまで大きな差はないんじゃないかな。それも全てソーシャルメディアが世界をよりフラットにしたから。基本的に今は世界のどこかで起こるモノやコトはほぼ同時発生的に世界中に広がるだろ。でも10年前は違った。でも今はオンライン上で見た日本のイケてるプロダクトをヨーロッパにいながら買うことが出来るし、その逆もできる。だからストリートシーンやそのカルチャーにおいては、日本とアムステルダムの間に根本的な違いみたいなものはないと思うね。でも圧倒的に違うと感じる点もひとつある。それは日本人の方が外からの見られ方や他人とは違うユニークなスタイルになることに気を使っているように感じるんだ。僕のホームタウンであるアムステルダムでも人々はもちろんファッションやルックスに気を使っているけど、なんていうかアムステルダムの人々はまだ”安全志向”なんだ。そういう意味でも日本の人々は本当にユニークなスタイルを持っているからヨーロッパを拠点とする僕にとってはとても刺激的だね。

- 少し話が変わるけど、尊敬しているアーティストやデザイナーはいる?
それはいくつかのジャンルに別れるね。一番僕とは離れたハイレベルなところで言えば、建築家のFrank Lloyd Wright(フランク・ロイド・ライト)。アメリカ・ペンシルベニア州の『落水荘』やNYの『グッゲンハイム美術館』をデザインした人。何ていうか彼のデザインにはフィロソフィーが確立されてるんだ。スピリチュアルな存在っていうか。プロダクトデザインやビジネス的な視点で言えばではSteve Jobs(スティ―ブ・ジョブス)やElon Musk(イーロン・マスク)かな。アーティストで言えばDaniel Arsham(ダニエル・アーシャム)が好きだね。ファッションに関するところで言えば『KITH』のRonnie Fieg(ロニー・ファイグ)や〈OFF-WHITE™〉のVirgil Abloh (ヴァージル・アブロー)はリスペクトする存在かな。

- 今後のブランドの動向や展望について聞かせて。
今よりもアジア地域で受け入れられるブランドになっていきたいと思うね。アジア地域の取扱店を増やしていって、〈Filling Pieces〉の存在をもっと多くの人々に知ってもらいたいと思ってる。それからゆくゆくはスニーカーだけでなくアパレルアイテムも展開してブランドの認知度がよりワールドワイドなものになるといいと思うよ。

- 最後にHYPEBEASTの日本の読者に一言もらえる?
ソーシャルメディアが発達してよりフラットなものになっている世界を見ても、日本は特にユニークな存在だと思うんだ。ファッションはもちろん、その他の面でも日本のカルチャーは世界に誇れる稀有な存在。いまのスタイルを変えずに、世界で唯一無二のそのスタイルを貫き通してこれからも世界に刺激を与えるクールな存在でいてほしいね。

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