人気覆面アーティスト Banksy が新たなプロジェクトとしてホテルをオープン

その名も『The Walled Off Hotel』、キャッチコピーは“世界最悪の景観を持つホテル”

アート
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世界中のセレブリティたちやアートマニア、そしてそこに金の匂いを嗅ぎつけるアートディーラーたちを虜にする謎の覆面グラフィティアーティストBanksy(バンクシー)。2015年に開催されたネズミのキャラクターでお馴染みの某夢の国をオマージュしたテーマパーク型エキシビション“Dismaland”で世界中から注目を集めたことも記憶に新しいそんな人気ストリートアーティストより、今回更なる注目のプロジェクトが登場。

本記事のタイトルにもある通り、Banksyによるその新たなプロジェクトを一言で表せば“ホテル”。英語で“遮断された”または“壁に取り囲まれた”という意味を持つ英熟語を用いて『The Walled Off Hotel』と名付けられたそのホテルは、中東イスラエル国の自称首都であり、ユダヤ教/キリスト教/イスラム教の3つの宗教の聖地でもあるエルサレムから南へ約10kmの位置にあるベツレヘム(パレスチナ自治区内)地域に位置している。実はこのホテルがあるベツレヘム地域は、“パレスチナ人によるテロ行為の抑制”という大義の下にイスラエル国によって建てられたイスラエルとパレスチナ自治区を隔てる分離壁に接する地域であり、一般に“パレスチナ問題”と呼ばれる紛争問題が世界中で長らく議論の的になっている地域でもある。またこのベツレヘム地域はBanksyにとっても馴染みの場所であり、彼(もしくは彼女という可能性も)は過去に複数回このベツレヘム地域を訪れ、手榴弾の代わりに花束を手に持ちそれを投げようとしている若者の姿を描いた代表作のひとつ“Flower Thrower”を含む数々の作品を街中やその分離壁に残している。

その分離壁に向き合うように建ち、客室からはその忌ま忌ましき無機質な壁を見渡すことのできる景観を持つ『The Walled Off Hotel』のキャッチコピーは、“the worst view of any hotel in the world(世界最悪の景観を持つホテル)”。全10室の客室はもちろん、館内の至る所にはBanksyのアートワークや立体作品が展示されており、今後はこれまで世界にその実力を披露する機会すら与えられなかったパレスチナ人アーティストによるエキシビションも開催される予定だという。

『The Walled Off Hotel』がこの地に新たな雇用を生み出し、世界中から更なる観光客を呼び込み、そのオープンがこうして世界中で話題になることで、人々の目を改めて“パレスチナ問題”に向けさせるBansyらしい手法と社会的なメッセージが含まれたこのプロジェクト。このような例を見るとアートやカルチャーといったものが持つ力の大きさを改めて感じさせられるように思うが、読者の皆様はどのようにお考えになるだろうか。

ちなみに『The Walled Off Hotel』の予約デスクは、日本時間で3月11日(土)のPM6時にオープンするとのこと。次の旅行先をお考えの方は是非選択肢のひとつにパレスチナ自治区を追加してみてはいかがだろうか。

まずは『The Guardian』誌がレポートしたその内部の様子と、約80週間ぶりとなるBanksyによるInstagramの更新を下よりチェックしてみよう。

The Walled Off Hotel
http://banksy.co.uk/index.html

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