Supreme x Aquascutum コラボレーションが中止になりかけた理由とは

たった1回のGoogle画像検索で全てが解決

ファッション
28,209 Hypes

〈Supreme(シュプリーム)〉とのコラボレーションがいかに有意義かを理解していないブランドはない。〈Supreme〉と組みたがらないブランドなど、もはやおらず、彼らは〈Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)〉とですらコラボレーションできる地位まで登りつめたのだ。10年前では考えられないことだか、今となっては当然の結果といえよう。

〈Supreme〉のコラボ相手は誰もが納得するものから、意外なものまで、非常に幅が広い。しかし、時に彼等は我々が全く予期しなかったブランドをコラボ相手に選ぶことがある。2016年の〈Aquascutum(アクアスキュータム)〉はその良い例だ。同ブランドは防水トレンチコートを最初に発表したブランドの1つ ー言うまでもなく、〈Burberry(バーバリー)〉は自社が最初に防水トレンチコートをリリースしたと確信しているー として知られている。〈Aquascutum〉は世界的に認知されてはいないかもしれないが、サッカーのフーリガンたちを中心に形成されていた1970代イギリスのカジュアルシーンではリスペトされていたことで有名で、当時の人気は絶大なものだった。しかし、人気の絶頂に達して以降、カジュアルシーンから徐々に距離をおき始ると、その勢いが日増しに落ちてしまった。同ブランドの名高い歴史と上手くいっていない現状は〈Supreme〉とのコラボレーションについて、誰もを驚かせ、同時に納得させた。だが、我々が〈Aquascutum〉の元小売ディレクターであるJohn Robertshaw(ジョン・ロバートショウ)から聞いた話によると、同コラボレーションはドロップの危機に瀕していたというのだ。

RobertshawによるとJames Jebbia(ジェームズ・ジェビア)から当時の〈Aquascutum〉のオーナー「YGM Trading」に連絡があったそうだ。「JamesがYMG Tradingにコラボレーションの話を持ちかけたのです」。〈Aquascutum〉の〈Supreme〉への反応はというと、「彼らはSupremeが何者なのか知らなかったのです。もちろん、名前を耳にしたことはあったのですが、同ブランドの影響力について何の知識もありませんでした」と、ストリート界でもっとも権威のあるブランドのことを何ひとつ理解していなかったようだ。

では、〈Aquascutum〉が〈Supreme〉について調査をしたかというと、Robertshawは「いいえ」とは言う。「最高執行責任者のMark Taylor(マーク・テイラー)がSupremeからのオファーについて教えくれたんです。私がいつもSupremeで買い物をしていたのを知っていたので。いい人なんですよ」。Robertshawは以前、今はなきUKで唯一の〈Supreme〉正規代理店であった『Hideout』のような、UKでは数少ない感度の高いセレクトショップで働いていた。「私は、このコラボはやらなきゃダメだ、と言ったのです。私の発言が理由でコラボが実現したとまで言うつもりはありません。しかし、このチャンスを逃してはいけないと伝えました」。

だが、肝心のTaylorはあまり乗り気ではなかったようで、Robertshawはコラボレーションを断ることがいかに自社にとってマイナスか根気よく説明しなくてはならなかった。「コラボするというアイディアが気に入らなかった訳ではないのですが、私はわざわざMarkのオフィスまで行き、“シュプリーム 列 ソーホー”と検索し、これを見てくださいとプレゼンしなくてはならなかったのです。みんなそれを見て驚きを隠せない様子でしたよ。“そうなんです、ヤバイんです!こんな列が出来る商品を作りましょう”と私は言いました。こうしてプロジェクトが始まったのです」。

これ以降の過程は比較的スムーズだった。Robertshawは「私が知る限りではコラボレーションは、完全にSupreme主導で進みました」と言う。 「Jamesにはリリースするプロダクトの明確なビジョンがあったと思うのです。ハリントンジャケット、レインコート、マフラー、ポロシャツなどです。Aquascutumには素晴らしいアーカイブがあり、Supremeはそれを利用してくれました」。

両者のコラボレーションはUKでは成功したものの、香港ではそれほどうまくいかなかった。『I.T』ストアの30%オフコーナーに並んでしまうくらいだった。パリでもアパレル類は発売後数週間経っても売り切れることはなく、〈Aquascutum〉のオンラインにも在庫が豊富に残っていた。これを別にすれば、〈Supreme〉とのコラボレーションは自社のブランドを新たな人の目に触れさせる絶好のチャンスであり、そのチャンスをきちんと活かせば新たな顧客を獲得するいい機会になる。では、この6年間で2回も売却された〈Aquascutum〉はこのチャンスを活かせたのだろうか? Robertshawはこう結論づける「うまく活かせたようには思えません。Aquascutumのディレクションに関して言うと、様々な変化が起きているのです。去年、メンズウエアのヘッドであり、非常に良い仕事をしていたThomas Harvey(トーマス・ハーヴィー)が会社の方向性に幻滅して退社しました。結局〈Aquascutum〉はこのチャンスを全く活かせていないと思います」。

Read Full Article
 
ニュースレターに登録して、“最新情報”を見逃さないようにしよう。

購読ボタンをクリックすることにより本サイトの利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。