Interviews:音楽界とアニメ界に激震を与えた DJ のポーター・ロビンソンが語る自身の“今”

昨年にスランプを経験した彼の心境から最近よく聴くヒップホップ、好きな日本ブランドなど、彼の“今”を知ることができるインタビュー

By //Music 

2016年に独特な世界観を持つDJのMadeon(マデオン)と共に手掛けた短編アニメーションミュージックビデオ“Shelter”で音楽界のみならず、アニメ界までにも激震を与えたDJ/プロデューサーのPorter Robinson(ポーター・ロビンソン)。彼のバックグラウンドからインスピレーション源までを探った前回のインタビューから約1年が経ち、11月29日(水)には彼による新プロジェクト“Virtual Self”より新作EP『VIRTUAL SELF EP』のリリースを控えるいま、我々『HYPEBEAST』は昨年スランプを経験した彼に現在の心境や今後アーティストとしてどのようにステップアップしていきたいかを訊いた。

そのほかにも最近よく聴くヒップホップや好きな日本ブランドなど、Porterの“今”を知れるインタビューを以下よりチェックしてみよう。

- “Shelter”のリリース後、あまり目立った活動はせずに“静か”だったイメージなんだけど何をしていたの?
僕が好きなアーティストはよく5~6年“静か”になったりするんだよ。例えばアーティストとして一番インスピレーション源となっているDaft Punk(ダフト・パンク)は5~6年間を空けて新アルバムをリリースしたりしているだろ? 別にわざわざそうしたいとは思っていないけれど、僕は人から注目されたいがために作品を出すのではなくて、何か自分が人に経験してほしいものだったり、届けたいものがある時にみんなの前に出ていきたいと思っているんだ。それを踏まえて、僕はこの2~3年はずっと音楽制作に集中していたよ。僕はファンを驚かすことが好きだからまだ詳しくは教えられないんだけど、いま僕はこれまでよりも努力しているし、本当に素晴らしいものが出来上がりそうだから期待しててほしいな。

- 2016年には1年半ぐらい“行き詰まった”とツイートしていたよね? そのツイートにはどういう意味が込められていて、どうやって乗り越えたの?
2014年に『WORLDS』というアルバムをリリースし、2015年にはツアーも終わってやっと家に帰れたんだ。そして次回作のために音楽を作ろうと思い、1日12時間ぐらいスタジオに籠ったんだけど全く何も浮かばなかったし、自分が満足できるものを作り上げることができなかった。その時に作ったサウンドは自分にとって新しいものではなかったし、自分が成長した姿が見えず、どちらかというとこれまでに使ってきたアイデアを再利用している感じだったんだ。これでは誰もインスパイアされないと思ったんだよ。もし僕の好きなアーティストの新アルバムが前作と似ているものだったら僕はきっとガッカリしてしまう。例えば僕が好きなDaft Punkは新しいアルバムをリリースする度に新たな時代を切り拓いている。 新しいビジュアル、新しいサウンド…だから彼らは一枚のアルバムをリリースするのに長い時間がかかってしまうんだと思う。そして2015年、僕はもう若さの勢いで音楽は作れないと感じ、とても落ち込んでしまったんだ。でもすぐに僕はいつもと違った方向から音楽に取り組んでみようと思って、色々と挑戦してみたらすごく良いものが出来上がったんだ。その時から僕は人が変わったようにまた音楽を作れるようになったよ。“Shelter”でタッグを組んだMadeon(マデオン)からは新しいテクニックを学んだし、彼にはとてもインスパイアされたね。

僕はスランプから抜け出すことができたけど、いつかまたその時期がくると思うんだ。そして以前の僕と同じように行き詰まっている人たちにアドバイスするとしたら…正直スランプを簡単に解消する方法なんてない。そんな方法があったら僕は今ごろ億万長者にでもなっていると思うしね(笑)。ただ僕のように一日中どこかに籠って、自分を追い詰めて、無理に何かを作ろうとしては絶対にだめ。それをしたことによって、僕はもっと落ち込んだし、とにかく状況が悪化してしまったんだ。僕はほかのアーティストのコンサートを見にいったり、これまで自分がしてこなかったことを色々チャレンジしてみたよ。そのお陰で僕はスランプから抜け出すことができたんだ。

- Zedd(ゼッド)のようなエレクトロDJたちはSelena Gomez(セレーナ・ゴメス)、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)などの大物ポップスターたちとコラボしてきたけど、今までポップスターたちとコラボしようとは思わなかったの?
今までさまざまなアーティストからオファーをいただいたことはあるんだけど、あまり興味が湧かなかったんだよね。音楽制作において、僕が一番大切にしているのは自分がすべてコントロールするということ。例えばジャケットにも僕はとてもこだわるんだ。手掛けてくれるアーティストとしっかりと打ち合わせをしたいし、ライブのビジュアルもすべて僕がディレクションを手掛ける。ライト、スクリーンと音楽のタイミングも全て僕が決めているからそれができなくなってしまうのは嫌なんだ。だけど“Shelter”でコラボしたMadeonのスタイルはとても尊敬していたし、僕らはお互いに持っていない部分を埋め合うことができるからコラボした。だけど、ポップスターのために音楽をプロデュースするだけのことはしたくないんだ。でもコラボレーションしてみたいと思うアーティストはいるよ!例えば僕が昔から大好きなKanye West(カニエ・ウェスト)や、The Weeknd(ザ・ウィークエンド)、Daft Punk(ダフト・パンク)とかね。ポップスターのために楽曲提供することに反対はしてないし、実際してみたら素晴らしい曲が出来上がるかもしれない。とても仲が良いZeddやSkrillex(スクリレックス)は本当に素晴らしい楽曲を生み出してきたと思うしね。ただ今の時点ではそれは僕の分野ではないと思ってるんだ。

- Kanye WestやThe Weekndが好きだと言ってたけどヒップホップもよく聴くの?好きなアーティストはいる?
もちろんさ。Kanye Westは僕にとって大きな存在なんだ。あとはLil B(リル・B)や最近はLil Uzi Vert(リル・ウージー・ヴァート)が好きかな。あとDrake(ドレイク)はラッパーとしてではなく、アーティストとして尊敬している。彼が創る音楽はエモーショナルだし、メロディにどこか甘さがあるから女性も聴きやすいヒップホップだと思うよ。男性ももちろん共感できる部分があると思うし、現在最もパワフルなポップスターといえばDrakeとRihanna(リアーナ)だと僕は思うね。Rihannaがやり遂げる全てが大規模だし、誰も彼女を止めることはできない。

- デビュー当時はZedd、Madeonと共に“Complextro”アーティストとして名を馳せてきたよね。そして“Language”のリリースをキッカケに、“カワイイ”や“アニメ”テイストの強いスタイルを生み出したと思うんだけど、今後もそのスタイルを維持していくつもりなの? それとも新しいスタイルにチャレンジするつもり?
実は“Complextro”という言葉は僕が生み出したんだ!2011~12年に僕は“Spitfire”、“Language”、そして“Easy”というEPをリリースして、きっと多くは僕のことをEDMアーティストだと認識していたと思う。そしてアルバム『WORLDS』をリリースした時は僕がインディーなテイストにシフトしたと思った人は多くいるんじゃないかな? それから僕はゲームやアニメなどにインスパイアされたサウンドを落とし込みはじめた途端、ファンは僕の音楽を日本っぽいサウンドだと感じたと思うんだ。そして一つ言えるのはこれからも僕は日本のカルチャー、アート、音楽にインスパイアされていくと思う。僕が音楽をはじめたキッカケが日本の音楽であったし、実は僕が初めてエレクトロミュージックを聴いたのは『ダンスダンスレボリューション』だったんだよ。しかし僕にとって日本がどんなに大きな存在だとしても、これからはさりげなく入れ込んでいくと思う。僕は日本を訪れても自分が観光客だとは感じなくなったからかもしれないけど、多くの外国人が持っている日本のイメージ…“可愛い”、“アニメ”、“原宿”とかではなく、僕が尊敬している日本の作曲家やプロデューサーからインスパイアされたものを入れ込んでいきたいと思っているんだ。

- Madeonと共に手掛けた“Shelter”はEDM界のみならず、アニメ界にも激震を与えた傑作だったね。またアニメを制作する予定、またはもう一度制作してみたいという願望はある?
出来るのであればもう一度チャレンジしてみたいね。僕は“Shelter”のようなプロジェクトに参加することができて、とてもラッキーだと思っているんだ。脚本からキャラクター設定まで、ゼロから取り組めて、僕にとっては夢が叶ったような出来事だったからもう一度するのは少し貪欲すぎるかなと個人的に感じてしまうよ(笑)。しかしもしまたあのような機会があるならば絶対に引き受けたいと思っているよ。まだまだやりたいこともあるからね。

- そんなにアニメが好きなんだね。では今まで一番好きなアニメと今のお気に入りの作品を教えて。
僕が一番好きなアニメは『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』かな。とても悲しいストーリーなんだけど、僕は好きすぎてアニメも実写版も観たよ。そして僕が最近唯一観た中でとても気に入ったのが『君の名は。』かな。僕は新海誠監督の大ファンなんだ。彼のスタイルは本当に美しい。初めて『君の名は。』の予告編を観た時、僕は本当に感動したよ。RADWIMPSの曲と新海監督が創り上げたビジュアル、とにかくすべてが美しかった。あとは細田守監督による『おおかみこどもの雨と雪』もオススメだね。本当にエモーショナルな作品で、サウンドトラックからビジュアルまですべてが美しかったよ。

- 次はファッションの質問をするね。約1年前にインタビューした時、〈Reebok(リーボック)〉のInstapump Furyがお気に入りだと答えていたけど、現在のお気に入りは何?

僕は〈Raf Simons(ラフ シモンズ)〉と〈adidas Originals(アディダス オリジナルス)〉によるOzweego Bunnyを毎日履いているよ。面白いのが10年前であったら僕はこのスニーカーを見てもなんかおじいちゃんが履いてそうな靴だと思って、興味を示さなかったと思うんだ。しかし今このスニーカーをアメリカで履くと、「Rafはいいよね!」と声かけてくれる男の子たちがたくさんいるんだよ。すごく履きやすいし、どんなスタイルにも合わせられるからお気に入りなんだ。あと〈Vetements(ヴェトモン)〉と〈Reebok〉によるGenetically Modified Pumpというスニーカーがあって、すごくレアで見つけるのが難しいモデルなんだよ…と言いつつも僕はもう2足オーダー済みなんだけどね(笑)。とにかくこのようなスタイルのスニーカーが今は大好きなんだ。

- 洋服の好きなブランドはある? 現在はどのようなスタイルがムードなの?
僕は結構日本のブランドが好きなんだ。今着ているジャケットは日本ブランドの〈POTTO(ポト)〉によるジャケットなんだけど、そのほかにも〈Balmung(バルムング)〉、〈Hatra(ハトラ)〉、そして〈Chloma(クロマ)〉とか日本の新鋭ブランドに注目しているよ。〈Balmung〉は服だけではなく、ルックブックなどのビジュアルもすごい好きなんだ。僕は結構日本ブランドのヲタクかもしれないね。正直〈Chloma〉の服は普段着としては着れないけど、彼らの美学はとても興味深いね。

 

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InterviewsPorter Robinson

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