Interviews: ストリート界から注目を集めるバンド ONYX COLLECTIVE とは?

〈Know Wave〉や〈Supreme〉らの目に留まるなど、今話題のバンド ONYX COLLECTIVE が来日

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Isaiah Barr(イザイア・バー)を中心にジャズ愛好家の幼馴染や高校の同級生が、ニューヨーク・ブルックリンの ONYX という地域に集まった。それが“ONYX  COLLECTIVE(オニキス・コレクティブ)”(@onyxcollective1)のはじまりだ。若くしてフリージャズ、R&B、ファンクなどを自己流にミックスし、〈Know Wave〉や〈Supreme〉らの目に留まりレコードをリリースしている。そんな ONYX COLLECTIVE が来日。サックスの Isaiah とボーカルの Julian に話を聞いた。

–〈Know Wave〉と〈Supreme〉からリリースが決まった経緯は?
Isaiah(以下I):2年半前、俺は Rat King とか Letter Racer といったアーティストのショーにゲスト出演していたんだ。その時は、Forsyth に〈Know Wave〉のヘッドクオーターがあって。俺が遊びに行ってサックスを吹いていたら、Aaron Bondaroff(エーロン・ボンダロフ)が俺のことを見て「ジャズ番組やれよ!」って。それで、、ヘッドクオーターに OG ジャズ奏者であるジョン・ベニータ、デイブ・グラサー、ロイ・ネンセンソンから同い年位の奴らまで、たくさんミュージシャンを呼んで水曜日に毎週レコーディングを始めたんだ。さまざまな人にフライヤーを描いてもらって、 ONYX が〈know Wave〉と一緒に育って行くのを肌で感じた。〈know Wave〉で働いている人たちとはみんなと親しくしてたし、〈know Wave〉が原動力となった。それから、エーロンがレコードをリリースしようと言い出したんだ。どんな方法が良いか考えて、まず今まで録り貯めたものの中から曲を厳選した。その後アンジェロ・バケやジェームズ・ジェビアと会い、彼らも曲が好きで協力したいと言ってくれた。それで、今に至るよ。

–〈Supreme〉が音楽をリリースするのは初めてだよね?
I: そうだね。唯一あったのはマイルス・デイビスの再リリースだけだよね。こんなプロジェクトまたとないことだと思うね。レコードを作ろうと思ってレコーディングしてたわけじゃないのに、〈Supreme〉がそれを気に入ってくれて、リリースできたっていうことが俺たちのスタイルに合ってると思うんだ。普通じゃないだろ? ONYX 自体が普通なプロジェクトじゃないからね。

–独特だよね。
I: そうだね。誰もアルバムを*路面店でレコーディングしたりしないだろ? 俺は〈Know Wave〉とツーカーだったからいつでも遊びに行けたし、空きがあれば好きなだけ練習できた。朝5時とかに行ったりしてね。ほかにこんなことができる場所はないよ。
*〈Know Wave〉はショップを居抜きしたラジオスタジオで、窓は全部フライヤーで埋め尽くされていて中は見えなくなっている。

– ONYX のTシャツは〈Supreme〉でも売られているから、Tシャツから入ったファンも日本には多いんだ。ひょっとしたら ONYX がバンドだという認識がなかった人もいるかもしれない。その事についてはどう思う?
I: 良いと思うよ。バンドのマーチって今ではちょっとした流行りになってるよね。NYで起きてることの象徴だと思うんだ。マーチは国際的にバンドを知ってもらうための足がかりっていうか。でも、ONYX はバンドであってブランドではない。皆が共感できるバンドなんだ。特定のメンバーがいるわけでなくて色んな人の集合体だから。
次は“NYXO”にも注目してほしいね。見ての通り ONYX を並べ替えてるんだけど、もっと大きな規模でニューヨーク周辺のビジュアルアーティストから写真家、他のミュージシャンをショーケースするプロジェクトなんだ。俺は色んなアーティストとずっと一生懸命コラボしてきて、ONYX としての色は確立できたと思っている。この夏にはトライベッカでポップアップクラブを開いて他のバンドのためのライブの企画なんかもしていた。それで自分が ONYX として演奏しなくても NYXO としての世界観を対外的にアピールできると気づいたんだ。それが、いわばマーチの大枠のテーマになると思う。最初は俺がデザインを集めて作ってたんだ。去年、Rat King と日本をツアーした時に俺のマーチを全部買っていったやつがいたんだ。それで「これはビジネスになる」って思った。それで、さまざまな場所に卸すことにした。まあ、別にファッションとONYX が密接に関係してるかっていったらそんな訳じゃない。ニューヨークで活動しているからそんな感じに見えるだけだよ。

–東京でのライブはニューヨークと比べてどうだった?
Julian (以下J): 日本の方がニューヨークよりも人が体を動かしてノってたね。NYの人ってシャイで感情を内に隠しがちなんだ。それが悪いわけじゃないし、音楽の楽しみ方は人それぞれだから。日本人は曲間のMCも何言っているか熱心に聞いてくれるし。

I: アメリカではソロとかでも全く拍手せずにただずーっと静かに聞いている様な地域もあるからね。別にバンドが嫌いってわけではなく。日本の3カ所はどれも独特なショーだった。『Vision』でのライブは最高だったし! Flatbush Zombies と日本で共演するってのもおもしろかったし、お客さんも良い雰囲気で楽しんでくれていたと思うよ。

J:満員だったしね。東京のナイトライフってすごいね(笑)。22:30にはまったく人がいないのに25:00なったらパンパンになったもん。

I:〈Supreme〉のパーティでは自分たちがずっとやってきた事を日本で見せられたと思う。すごくプライベートなショーだったし、DIYだったし、繊細だったし、朝の4時までジャムったし。

J:ニューヨークでお世話になったスティーブもいたしね。俺の1番最初のライブはスティーブがニューヨークでやってた Somethin Jazz Club なんだ。バンド史上一番大人数で演奏したショーだった。日本ででもう二度と会うことは無いと思ってたスティーブの店でまた演奏ができるなんてすごく感慨深かったよ。

I: ニューヨークの Somethin Jazz Club では30回くらいは演奏したよ。スティーブは何でも好きなことをやらせてくれた。自分よりずっと凄腕のミュージシャンやバンドとも共演したし。上下関係とかもほぼない。出順も全くもってランダムなんだ。だから、〈Supreme〉のショーは本当に特別なものだった。しかも、アルバムリリースライブでもあったしね。日本にも〈Supreme〉とかでアルバムを買ってくれている人がいて、そのファンたちに生演奏できることは、ニューヨークで演奏するのと同じくらい意味のあることなんだ。一番いい演奏ができたと思うよ。

J: 『Vision』は良い場所だね、アメリカにもあったら良いのに。

–東京で一番驚いたことは?
I: 前回は、Rat King のサポートで来たから、自分のプロジェクトで来日したっていうのが新鮮だった。時差ボケもあって、すごく疲れていることにも気づいたよ(笑)。2年前は全然時差ボケなんて感じなかったのに……。東京は、人が本当に親切だよね。おかげで音楽を演奏することに集中できたよ。

J: ホテルの屋上から見た富士山の景色には言葉を失ったね。日本に思っていたよりもずっと親近感が湧いた。学生の時に「いつか日本にくるかも」と日本語を習っていたのが良かったのかもしれない(笑)。

–じゃあ、東京が最高! だと思う点は?
J: 日本の食事は健康的だよね。マクドナルドを食べてる人なんてそんなにいないし。通りで日本人は長生きするわけだ。

I: 俺昨日マクドナルド食っちゃったよ。でも、1日だけだから良くない? プチパンケーキがメチャクチャ美味かったぜ(笑)。

I: あとは、人だよね。日本は良い人ばかりだったよ。文化の保存にも熱心だし。

J: こちらの言っていることが分からなくても、分かろうとする努力をしてくれるんだ。だから、こちらも相手が言おうとしていることを理解しようとより努力しなきゃって思えるんだ。

–それが本当の国籍、文化、人種、宗教を越えた本当のコミュニケーションだよね。
I: 代々木公園を歩いていた時にさ、たまたま出会った英語を全く話せない日本人と Chalie Parker(チャーリー・パーカー)を合唱したんだ! 素晴らしい体験だったよ。道を聞けば、行きたい場所まで一緒に歩いて連れてってくれるんだ! そんな人、ニューヨークにはいないぜ。少なくとも俺が道聞かれてもそんなことしないもん(笑)あと、日本にはイケてる服、楽器、レコード屋がたくさんある!

J: 『DISK UNION』は良い店だったよね。『Berberjin』も。

–次の音楽プロジェクトの予定は?
I: 今年は2枚レコードを出すつもりさ。1枚は俺の師匠のロイ・ネセンソンをフィーチャーしたものになる。彼の名前は絶対載せてくれよ! 彼がいなければ今の俺はいないよ。ロイは色んなアーティストのサポートで年に3回は日本に来てるんだぜ! エルヴィス・コステロなんかのサポートもするしね。日本には30回以上来てるよ。彼とフリージャズのもっと実験的なものをやりたいと思っている。ライブレコーディングをもっとレコードに載せたい。あとは、ジュリアン、ウィキやニックをフィーチャーした歌ものだね。

–日本のファンにメッセージを。
J: We LOVE you!

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テキスト
フォトグラファー
@danielregan____
インタビュアー
Sho Mitsui
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