Interviews: Nick Knight が語る Travis Scott のニューアルバム『Birds in the Trap Sing McKnight』のビジュアルアートワーク
「Travis Scott」のニューアルバム『Birds in the Trap Sing McKnight』のビジュアルアートワークを担当したフォトグラファー「Nick Knight」に『HYPEBEAST』がインタビューを敢行
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「Travis Scott」が9月2日にリリースした1年ぶりとなるニューアルバム『Birds in the Trap Sing McKnight』。客演に「The Weeknd」、「Knedrick Lamar」、「Andre 3000」、「Young Thug」、「Kid Cudi」らを迎えた今作はその売れ行きも絶好調のようだが、そのアルバムのビジュアルアートワークの撮影を世界的に著名なファッションフォトグラファー「Nick Knight」が担当したことでも話題となった作品だ。その明暗のコントラストが印象的なアルバムカバーフォトでは、デザイナー「Martine Rose」や「Gosha Rubchinskiy」がデザインした衣装を身に纏い、真っ黒な翼が背中から伸び、ブラントの煙が口から溢れる彼の姿がまるで神か悪魔かのように写されている。
そして今回『HYPEBEAST』は、そのビジュアルアートワークを担当した「Nick Knight」にインタビューを敢行。今回の「Travis Scott」とのチームアップについてのことや、アルバムカバーフォトについてのこと、またその美学や今後のことについてを尋ねてみた。
このビジュアルの制作にあたってどんな雰囲気を表現しようと考えましたか?
リアルなTravisの姿をそこに落とし込んだつもりだよ。僕はこれまでに彼が示してきた彼の美学やイメージをピックアップしただけさ。そういった彼のスタイルが自然とこのアルバムのタイトル『Birds in the Trap Sing McKnight』という言葉になったんだ。前にグラフィックデザイナーの「Peter Saville」とあるアーティストのアルバムカバーを制作したことがあるんだけど、彼は僕に“この仕事はそのビジュアルをアルバムのタイトルという言葉に無理に近づけようとするのではなく、そのイメージで捉えるんだ”と言ってくれたことがあってね。それがとても大切なことなんだと思うよ。
アルバムのリスナーまたはTravisのファンには、どのようにこのビジュアルイメージを受け取って欲しいですか?
僕はまだ自分が子供だった1970年代からレコードのアルバムを眺めることがとても好きだった。アルバムのカバーアートワークっていうのは、アルバムにとってすごく大事な要素なんだ。今でもきっとほとんどの人がそのアルバムの中に収録されている音楽を聞くよりも前にそのアートワークに触れる。だからアルバムのカバーアートワークは昔から今に至るまでとても重要な要素であり、人々は今もそのビジュアルからその中の収録されている音の連なりを想像してしまうんだ。
誰かと一緒にプロジェクトを進めるとき、その人のイメージを聴覚的・視覚的に想像して表現することはとても大切なこと。言ってみればそれは「Jackson Pollock(ジャクソン・ポロック)」や「Jean-Michel Basquiat(ジャン=ミシェル・バスキア)」(ともに今はなき20世紀に活躍した伝説のビジュアルアーティスト)が奏でる音楽を想像するようなもの。一見すると逆に思えるコンセプトをそこに置いてみることさ。
どのようにこのビジュアルのコンセプトを考えついたのですか?例えばTravis本人からアイディアを受け取ったり、共にそのコンセプトいついて考える時間を設けたりしましたか?
Travisと僕はこのプロジェクトの撮影時以前までは個人的に会ったことは無かったよ。ただ共通の知人である第三者を通してお互いにその存在は気になるものではあったんじゃないかな。前に僕が監督した「Edward Enninful(エドワード・エニンフル)」にフィーチャーした映画『The Seven Deadly Sins of Edward Enninful』のナレーションをTravisにやってもらったことはあったね。今回の『Birds in the Trap Sing McKnight』のビジュアルプロジェクトはスピード感がすごかった。Travisが僕に火曜日に電話して、木曜日には撮影してたからね。用意されたビジュアルコンセプトとしてではなく、マインドの部分で通じ合うものがあったんだろうね。
デザイナー「Martine Rose」や「Gosha Rubchinskiy」の衣装を撮影に際して使用した理由はなんですか?
Travisは現在のファッション業界において何がポピュラーで何がイケてるのかを本当の意味で理解しているんだと思う。ここ最近、「Martine Rose」や「Gosha Rubchinskiy」はファッション業界においてとても素晴らしいことを次々とやってのけてる。それがTravisが彼らのデザインを選んだ理由だろうね。見て分かる通り、アルバムのカバーアートワークではTravisは〈Martine Rose〉の洋服をメインにコーディネートしてる。僕が思うに彼は衣装という要素を誰よりも重要視している。彼は撮影前にスタジオの中でその衣装を着て飛び跳ねたり動きまわったりしていたんだ。一見すると変に思えるけど、それは衣装を自分の形にフィットさせるっていう意味があって、それは本当に大きな意味を成したことが僕には分かる。その日撮影したカットの中の一枚に白黒で撮ったTeavisの写真があるんだけど、彼の衣装は特に首周りが完全に彼にフィットしていて彼の悪魔のような表情同様に衣装までがそんな表情をしているような気にさせてしまうんだ。これはビジュアルを作る上で本当に大切な要素のひとつを表していると思うよ。
撮影の間やポストプロダクションの期間は、Travisとはどのように動いていたのですか?
撮影の間はTravisが画面を通して何が撮れたのかを確認できるようにしていたよ。彼は撮影の間はとてもアグレッシブだった。文字通り自分の身体を空中に投げ出して、何かとてつもないエネルギーは彼の中にこみあげているようだった。彼は持てる限りのエネルギーを撮影にぶつけてくれてたよ。撮影後の作業とてもシンプルだった。もう十分な作品が撮れていたから、メールで少し作品についての連絡を取り合うことぐらいだったね。もうほとんど僕らが共に作業したことは、既に撮影の場で画面の中に出来上がっていたんだ。
「Travis Scott」という才能があり、謎めいた一面も持ち合わせるアーティストについてどのように思いましたか?
彼はまさしく一緒に仕事する上で最高のインスピレーションだったね。共に作業を行って共にアグレッシブな感情を抱き、それを通しきってパフォーマンスを作り上げることは本当に滅多にないことなんだ。彼の特異な点はその格別なまでの形を作る才能を持ち合わせていること。本当に強烈な存在だよ。
『Birds in the Trap Sing McKnight』の音楽についてはどう思うますか?
素晴らしいの一言に尽きるね。彼は全体のセッションを通して1つのものを描いている。本当に素晴らしい作品だと思うよ。実は撮影の間もこのアルバムの音楽をスタジオで流していたんだ。
あなたとTravisがまた何か別のプロジェクトでタッグを組むことを期待してもいいですか?
いいと思うよ、僕もそれを願っているしね。実はもう彼と話していることはあるし、彼と再びタッグを組むことができれば、それはとても光栄なことだね。