なぜコカコーラはファッションの“親友”になれたのか?

ファッション業界から愛される炭酸水

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ファッションコラボレーションにいまさら驚く人はいないだろう。ハイエンドブランドとファーストファッション(例えばBalmain x H&M)や、ラグジュアリーとストリート(Louis Vuitton x Fragment designなど)がタッグを組むことによって、新鮮なアイデアが実現し、お互いのマーケット層を広げることができる。異なるジャンルのブランドとコラボレーションをすることにより、お互いが得意分野を共有し、クオリティを上げることを目指せるのであった。例えば〈Supreme〉と〈Palace〉を例に挙げてみよう。スケートボードブランドとして知られている両ブランドは、得意ではないシューズを大手フットウエアブランド、〈Nike〉、〈adidas〉、〈Dr.Martens〉、〈Reebok〉などとのコラボレーションを実現している。このようなコラボレーションは得意としていないアイテムをリリースすることを可能にしていくのだ。そしてファッションブランド同士ではなく、全く異なった分野とコラボレーションするファッションブランドも増えてきた。特にフード業界とのコラボレーションだ。その中でも目立つのが、「Coca-Cola」社。1886年頃から赤と白のシグネチャールックで世の中に大きなインパクトを与えていた。

そして最近「Coca-Cola」社は〈Been Trill〉、〈Opening Ceremony〉、〈Human Made〉などのストリートブランドとコラボを果たし、〈adidas〉は「Climacool 1 “Coca-Cola”」を復刻したり、〈Herschel Supply Co.〉は「Aimé Leon Dore」と「Tyrsa」と手を組み、コカコーラにインスパイアされたパーカーを発売した。しかしこれは今になって始まったことではなく、「Coca-Cola」社とストリートウェアの歴史は意外にも長かった。「ファッションはコカコーラブランドのDNAの一部としてずっとあったわ。初期の広告にも重要とされていたの。」と「Coca-Cola」社グローバルライセンスのグループディレクター、「Kate Dwyer」が語った。

飲食がファッションとコラボレーションするのを不思議だと思う人は多くいるだろう。しかしこれらはただのコラボレーションではないということを理解してほしい。「Coca-Cola」社は世界で一番多くの人に認識されるブランド。19世紀初期から「Coca-Cola」の赤と白のアイコニックなロゴは至る所にある。そしてドリンクとしても世代関係なく、たくさんの人から愛されているのだ。好き嫌いとは別にコカコーラを飲んだことない人を探す方が大変であろう。ここまで大きなマーケットを持ち、新たなオーディエンスを獲得できるブランドはないであろう。「Coca-Cola」社とのコラボレーションは、ファッションブランドにとって幅広いターゲット獲得を可能にし、ネームを知られる大きなチャンスでもあるのだ。

程遠い存在と思われているファッションブランドも多い中で「Coca-Cola」は、反対に誰でも手にできる商品だと思われている。それを理由にファッションブランドが「Coca-Cola」社とタッグを組むことによって新たなカスタマーたちが、ブランドのことを気軽に知れることができるのだ。ここで良い例として挙げられるのは、「Karl Lagerfeld」、『NEIGHBORHOOD』、〈Marc Jacobs〉などハイファッションブランドやデザイナーたちがデザインしたコカコーラボトルであろう。デザイナーアイテムを購入できない消費者たちでもハイブランドのコカコーラは購入できるのだ。そこでファッションブランドに対しての親近感が生まれるのであった。昨冬に『Opening Ceremony』がリリースした“Coca-Cola Collection”は、アイコンの白クマを用いた。そして「Aimé Leon Dore」と「Tyrsa」のコラボレーションは、「Coca-Cola」社のシグネチャーフォントや色を用いた。このようなデザインがウィンドウショッパーや新たなターゲットにブランドを認識してもらい、親近感を与え、ブランドへの入口を開くことにつながるのであった。

一方、「Coca-Cola」社にとって、ファッションブランドとのコラボレーションは消費ブランドからライフスタイルブランドに昇進することができる。飲むだけではなく、「Coca-Cola」のライフスタイルを人生の一部として過ごすことができるようになる。そして「Coca-Cola」社が抱える健康問題のギャップを埋めるためにファッションブランドとのコラボレーションを通し、消費者に「Coca-Cola」はポジティブでリュクスな輝きを与えるブランドという印象を与える効果を求めているのだ。「人がコカコーラやペプシを飲むと、『なんて美味しいの!』と言ってくれるが、グリーンジュースやココナッツウォーターなどヘルシードリンクの人気が高まるとソーダ界にとってネガティヴなんだ。」と「Coca-Cola」社のさまざまなキャンペーンをこなしたブランディング・スペシャリスト、「Nik Thakkar」が語った。ファッションブランドとのコラボレーションはポジティブな印象を与え、ドリンクの売れ行きも上がるのであった。「デザイナーコラボレーションのおかげで、私たちは消費者と深いコネクションを持つことができたわ。」と「Kate Dwyer」は教えてくれた。

しかしファッションブランド、特にストリートウェアが「Coca-Cola」社とコラボレーションを実現したい一番の理由は、トレンドのヴィンテージやレトロなロゴを用いたアイテムをリリースしたいというだけかもしれない。多くの人が「Coca-Cola」を認識しているため、新たな視点から解釈しようとしてもアットホームな印象を与えることができるのだ。そして「Coca-Cola」はどんなブランド、スタイルでもフィットできる多様性のあるブランドなのであった。

やはり「Coca-Cola」社が圧倒的にファッションブランドとのコラボレーション数は多いが、「Pepsi」社も負けてはいなかった。「Coca-Cola」社に比べるとまだそこまで大きく力は入れていないみたいだが、〈The Hundreds〉、〈Del Toro〉、〈AAPE〉などとコラボレーションは実現させている。そして「Pepsi」社が最も力を入れているのが、アート。多くのアンダーグラウンドアーティストたちとコラボを敢行し、”Pepsi Art Dome”などのイベントを開催した。

最終的にどのようなコラボレーションであっても、両サイドに大きな利益になることは間違いないであろう。売れ行きを上げて、ブランドをより多くの人に認識されたいというのは、ストリートウェアブランドも「Coca-Cola」社もお互い求めていることなのであろう。「Kate Dwyer」によると「私たちにとって、一番の評価方法は飲料の売れ行き。そしてファッションコラボレーションはブランド認識度を上げ、「Coca-Cola」の消費量も増えるのよ。」

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